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食物繊維とヨーグルトの肺癌予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ヨーグルトの肺癌予防効果.jpg
2019年のJAMA Oncology誌に掲載された、
食生活と肺癌のリスクとの関連についての論文です。

食事習慣と癌との関連については、
色々な報告がありますが、
最近とみにい注目されているのが腸内細菌叢のバランスと、
癌予防効果との関連です。

食物繊維は便通を良くする効果ばかりではなく、
腸内細菌のバランスを調節するような働きがあり、
ヨーグルトの乳酸菌にも、
腸内細菌のバランスを改善するような作用があるとされています。

今回の研究は、
世界各地のトータルで1445850名という、
10の疫学研究のデータを集積して、
肺癌の発症リスクと食物繊維、およびヨーグルトの摂取との、
関連を検証したものです。

その結果、
食物繊維の摂取量を5分割して検証すると、
最も少ない群と比較して多い群では、
肺癌の発症リスクが17%(95%CI:0.76から0.91)有意に低下していて、
ヨーグルトを食べる習慣のない群と比較して、
多く摂る群では、
肺癌の発症リスクが19%(95%CI:0.76から0.87)、
こちらも有意に低下していました。

更に食物繊維が最も多く、ヨーグルトも多く摂っているグループは、
どちらも最も少ないグループと比較して、
肺癌リスクの低下が33%(95%CI: 0.61から0.73)と、
より低下幅が大きくなっていて、
食物繊維とヨーグルトの摂取の相乗効果が示唆されました。

こうしたデータはこれまでにも多く存在していて、
結果もそれぞれ違っているので、
何とも言えないところがありますが、
今回の疫学データはこれまででも最も大規模なもので、
今後腸内細菌叢と癌リスクとの関連は、
今まで以上に注目されることになりそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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