シンクロ少女「シンクロ・ゴッサム・シティ」 [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
シンクロ少女の本公演に足を運びました。
この劇団は初見です。
初物を観たいという気がして、
あまり予備知識なく直前に予約をして衝動的に観に行きました。
予想していたような感じとは違っていたのですが、
なかなか面白い芝居で、
観て損はありませんでした。
戯曲は新しいという感じはしないのですが、
凝ったトリッキーな構成が面白く、
役者さんの芝居も作品世界にフィットしています。
演出も悪くありません。
特に最初にインチキ・コスプレダンスのような場面があって、
おやおや、と思うのですが、
最後にもほぼ同じダンスがあって、
その時にはオープニングとは全く別の風景が見えるのです。
なるほどとちょっと感心しました。
「シンクロ・ゴッサム・シティ」という題名の通り、
バットマンの舞台である架空の大都市ゴッサム・シティで、
善と悪とがどのような成り立ちで生じるに至ったのかを、
小劇場的なレトリックを駆使して描いた作品です。
元のゴッサム・シティはダークなニューヨークですが、
このお芝居のゴッサム・シティは、
要するにダークな東京です。
ちらしが上のような感じですし、
何となくバットマンのコスプレ芝居みたいなものを期待してしまうのですが、
ペンギンっぽい人物や、
キャットウーマンっぽい人物、
悪の三姉妹みたいな感じのキャラなどが、
登場することはするのですが、
それっぽい、というだけのことで、
別にバットマンのパロディやコスプレではありません。
東京に暮らす等身大のそれでいてちょっと歪んだ人達が、
それっぽく登場する、というだけです。
肌合いとしては昔の倉持裕作品に似ています。
元ネタは別役実のパロディ風の作品だと思うのですが、
誰でも知っているような、
ある種の固定観念に包まれた物語の世界を舞台にして、
演劇ならではトリッキーな仕掛けを施して、
物語の底にある不条理のようなものを、
浮かび上がらせるという作劇です。
兄が弟に捧げる強烈で純粋な秘められた愛が、
誠実で無垢で愚鈍に見えた人間を、
破滅的で醜悪な悪党に変えてしまうのですが、
実際には人間の外面的な善も悪も、
同じ愛から生じているという物語で、
チラシにある「動機は愛」という一言がテーマでもあって、
それがラストに発せられる台詞でもある、
と言う辺りが極めて技巧的で巧みです。
2人1役という演劇的な仕掛けが、
上手く機能しているのも面白いと思いました。
作・演出の名嘉友美さんは、
非常に構成力に長けた方だと思います。
ただ、それが作品の弱点でもあって、
たとえば松尾スズキ作品などは、
まともに物語が収束することなど殆どなく、
概ね空中分解してしまうのですが、
キャラクターの破天荒さや畸形の魅力は、
今回の作品の比ではなく、
今回の作品はせっかく畸形的なキャラに命を吹き込みながら、
お話のまとまりを重視して、
全体をこじんまりとしたものにしてしまったようにも思います。
もっと役者の瞬発力でもたせるような場面や、
意味不明だけれども魅力的な場面などが少しあると、
作品自体の魅力ももっと大きく花開くのではないか、
というようにも感じました。
もう何回かは観てみようと思いました。
これからも期待しています。
頑張って下さい。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
シンクロ少女の本公演に足を運びました。
この劇団は初見です。
初物を観たいという気がして、
あまり予備知識なく直前に予約をして衝動的に観に行きました。
予想していたような感じとは違っていたのですが、
なかなか面白い芝居で、
観て損はありませんでした。
戯曲は新しいという感じはしないのですが、
凝ったトリッキーな構成が面白く、
役者さんの芝居も作品世界にフィットしています。
演出も悪くありません。
特に最初にインチキ・コスプレダンスのような場面があって、
おやおや、と思うのですが、
最後にもほぼ同じダンスがあって、
その時にはオープニングとは全く別の風景が見えるのです。
なるほどとちょっと感心しました。
「シンクロ・ゴッサム・シティ」という題名の通り、
バットマンの舞台である架空の大都市ゴッサム・シティで、
善と悪とがどのような成り立ちで生じるに至ったのかを、
小劇場的なレトリックを駆使して描いた作品です。
元のゴッサム・シティはダークなニューヨークですが、
このお芝居のゴッサム・シティは、
要するにダークな東京です。
ちらしが上のような感じですし、
何となくバットマンのコスプレ芝居みたいなものを期待してしまうのですが、
ペンギンっぽい人物や、
キャットウーマンっぽい人物、
悪の三姉妹みたいな感じのキャラなどが、
登場することはするのですが、
それっぽい、というだけのことで、
別にバットマンのパロディやコスプレではありません。
東京に暮らす等身大のそれでいてちょっと歪んだ人達が、
それっぽく登場する、というだけです。
肌合いとしては昔の倉持裕作品に似ています。
元ネタは別役実のパロディ風の作品だと思うのですが、
誰でも知っているような、
ある種の固定観念に包まれた物語の世界を舞台にして、
演劇ならではトリッキーな仕掛けを施して、
物語の底にある不条理のようなものを、
浮かび上がらせるという作劇です。
兄が弟に捧げる強烈で純粋な秘められた愛が、
誠実で無垢で愚鈍に見えた人間を、
破滅的で醜悪な悪党に変えてしまうのですが、
実際には人間の外面的な善も悪も、
同じ愛から生じているという物語で、
チラシにある「動機は愛」という一言がテーマでもあって、
それがラストに発せられる台詞でもある、
と言う辺りが極めて技巧的で巧みです。
2人1役という演劇的な仕掛けが、
上手く機能しているのも面白いと思いました。
作・演出の名嘉友美さんは、
非常に構成力に長けた方だと思います。
ただ、それが作品の弱点でもあって、
たとえば松尾スズキ作品などは、
まともに物語が収束することなど殆どなく、
概ね空中分解してしまうのですが、
キャラクターの破天荒さや畸形の魅力は、
今回の作品の比ではなく、
今回の作品はせっかく畸形的なキャラに命を吹き込みながら、
お話のまとまりを重視して、
全体をこじんまりとしたものにしてしまったようにも思います。
もっと役者の瞬発力でもたせるような場面や、
意味不明だけれども魅力的な場面などが少しあると、
作品自体の魅力ももっと大きく花開くのではないか、
というようにも感じました。
もう何回かは観てみようと思いました。
これからも期待しています。
頑張って下さい。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2017-07-22 08:18
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