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SGLT2阻害剤の心不全患者のQOLへの有効性(2024年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
SGLT2阻害剤の臨床症状改善作用.jpg
JAMA Network Open誌に、
2024年4月4日付で掲載された、
心不全治療薬の臨床的な有効性についての論文です。

SGLT2阻害剤は、
尿へのブドウ糖の排泄を増加させることを主作用とする薬剤で、
2型糖尿病の治療薬として開発され、
糖尿病の血糖コントロールを改善する効果のみならず、
心血管疾患のリスクを低下させ、
生命予後にも良い影響を与えることが確認されたことから、
糖尿病の予後をトータルに改善する薬として、
大きな注目を集めました。

その臨床データの解析では、
特に心不全による入院などのリスクを、
低下させる作用が高いことが注目され、
その後糖尿病のない心不全の患者さんに対しても、
心不全の治療薬としてその適応が拡大されました。

現時点で心不全の患者さんに対して、
その入院のリスクと総死亡のリスクを低下させる効果については、
ほぼ実証されていると言って良いのですが、
実際のQOLの改善効果については、
あまり明確なことが分かっていませんでした。

そこで今回の研究では、
これまでの主だった精度の高い臨床試験のデータをまとめて解析することで、
SGLT2阻害剤の心不全患者のQOL改善効果を検証しています。

これまでの17の臨床研究に含まれる、
トータルで23523名の患者データをまとめて解析したところ、
SGLT2阻害剤の使用により、
運動耐用能が改善し、
心不全患者のQOLに良い影響を与える効果が確認されました。

SGLT2阻害剤は、
現行日本では通常の心不全治療をまず施行した上で、
考慮すべき治療としての位置づけですが、
このように近年肯定的なデータが蓄積されることで、
今後その位置づけは、
より高いものとなることは間違いがなさそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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