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3種類の運動の健康効果比較 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
3種類の運動の健康効果比較.jpg
BMC public health誌に、
2023年6月14日付で掲載された、
3種類の運動毎の生命予後への効果を比較した論文です。

運動には大きく分けて、
有酸素運動と筋力トレーニング(無酸素運動)、
そしてストレッチの3種類があると言われています。

ジョギングなどをある程度の時間継続的に行うと、
身体は酸素を使って脂肪を燃焼させてエネルギーにします。
これが有酸素運動です。
一方で筋肉に強い負荷を掛けて緊張させる、
所謂「筋トレ」を行うと、
身体は筋肉に蓄えられた糖質を無酸素的に利用して、
エネルギー源にします。
これが無酸素運動です。
ストレッチングはエネルギーの消費よりも、
筋肉の曲げ伸ばしを行うことで、
身体の柔軟性を保つ目的で行われる運動で、
他の運動の前後に行うことが一般的です。

運動は健康に良いと言われていて、
それは科学的にも実証されている事実ですが、
その場合の運動というのは、
主に脂肪を燃焼させる有酸素運動のことで、
場合により、
有酸素運動に筋トレを組み合わせた運動プログラムのことです。

ただ、近年筋トレの単独の健康効果についても、
研究が進められています。

一方であまり触れられることがないのが、
ストレッチングの健康効果です。

今回の研究は韓国において、
大規模な健康調査のデータを活用することで、
この3種類の運動の生命予後に与える影響を比較検証しているものです。

その結果、
ストレッチングを全くしない場合と比較して、
週に5日以上行っていると、
総死亡のリスクは20%(95%CI:0.70から0.92)、
心血管疾患による死亡のリスクは25%(95%CI:0.70から0.95)、
それぞれ有意に低下していました。
週に50エクササイズ(メッツ・時)の有酸素運動を行うと、
全く行わない場合と比較して、
総死亡のリスクが18%(95%CI:0.70から0.95)、
心血管疾患による死亡のリスクが45%(95%CI:0.37から0.80)、
こちらもそれぞれ有意に低下していました。
筋力トレーニングのみを週に5日以上行っていると、
全く行わない場合と比較して、
総死亡のリスクは17%(95%CI:0.68から1.02)、
低下する傾向は示したものの有意ではなく、
心血管疾患による死亡のリスクの低下は、
認められませんでした。

このように、
生命予後に関してみると、
運動の効果は有酸素運動が最も優れていて、
意外にもそれに次い死亡のリスクを低下させていたのは、
筋トレではなくストレッチングでした。
ただ、勿論筋トレには筋トレの良さがあることも、
他の多くの臨床データで示されていて、
3種類の運動を適時組み合わせて行うことが、
現時点では最も賢い運動療法であると、
そう言って大きな間違いはないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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