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運動後の血圧低下に対するマウスウォッシュの効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日はクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療には廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
マウスウォッシュの血圧低下作用.jpg
2019年のFree Radical Biology and Medicine誌に掲載された、
運動後の血圧低下という生理現象と、
口内細菌とに関連があるのでは、
という面白い発想の研究についての論文です。

運動をするとその時は脈拍が増加して、
心臓から拍出される血液量も増え、
それにより血圧は上昇します。
その一方で、同時に血管は拡張し、
そのため運動をした後には、
脈拍が低下する一方で血管の拡張はしばらく持続するので、
今度は血圧が低下することになります。

この血圧の低下は、
血管の内皮細胞で産生される一酸化窒素が、
その原因であると考えられてきました。
しかし、最近の研究では血液中での一酸化窒素の産生を、
ブロックするような薬を注射しても、
運動による血管拡張作用は抑制されない、
というような結果も報告されています。

もしこれが本当であるとすると、
運動後の血管拡張には、
これまでとは別個のメカニズムが存在している、
という可能性が考えられます。

それはどのようなメカニズムでしょうか?

最近の研究によると、
血液中の一酸化窒素の25%は、
口の中で常在の細菌により産生される、
という報告があります。

それは事実でしょうか?

今回の研究はそれを検証する目的で行われたもので、
23名の健康なボランティアをくじ引きで2つの群に分けると、
一方は殺菌作用のあるクロルヘキシジンを含むうがい液で、
口の中をゆすぎ、
もう一方は殺菌作用はないうがい液で同じように口をゆすいで、
その後に同じ運動を行って、
その後の一酸化窒素の産生能と血圧の低下率を測定しました。

その結果、
口の中を殺菌してから運動を行うと、
殺菌しない場合と比較して、
運動中の一酸化窒素の産生能が低下し、
血圧の低下も有意に抑制されていました。

つまり、運動による一酸化窒素の産生と血圧低下は、
口の中の細菌が関連している現象だ、
ということになります。

実は口の中の細菌は、
身体の環境の維持に、
大きな役割を果たしているのかも知れません。

面白いですね。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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食物繊維とヨーグルトの肺癌予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ヨーグルトの肺癌予防効果.jpg
2019年のJAMA Oncology誌に掲載された、
食生活と肺癌のリスクとの関連についての論文です。

食事習慣と癌との関連については、
色々な報告がありますが、
最近とみにい注目されているのが腸内細菌叢のバランスと、
癌予防効果との関連です。

食物繊維は便通を良くする効果ばかりではなく、
腸内細菌のバランスを調節するような働きがあり、
ヨーグルトの乳酸菌にも、
腸内細菌のバランスを改善するような作用があるとされています。

今回の研究は、
世界各地のトータルで1445850名という、
10の疫学研究のデータを集積して、
肺癌の発症リスクと食物繊維、およびヨーグルトの摂取との、
関連を検証したものです。

その結果、
食物繊維の摂取量を5分割して検証すると、
最も少ない群と比較して多い群では、
肺癌の発症リスクが17%(95%CI:0.76から0.91)有意に低下していて、
ヨーグルトを食べる習慣のない群と比較して、
多く摂る群では、
肺癌の発症リスクが19%(95%CI:0.76から0.87)、
こちらも有意に低下していました。

更に食物繊維が最も多く、ヨーグルトも多く摂っているグループは、
どちらも最も少ないグループと比較して、
肺癌リスクの低下が33%(95%CI: 0.61から0.73)と、
より低下幅が大きくなっていて、
食物繊維とヨーグルトの摂取の相乗効果が示唆されました。

こうしたデータはこれまでにも多く存在していて、
結果もそれぞれ違っているので、
何とも言えないところがありますが、
今回の疫学データはこれまででも最も大規模なもので、
今後腸内細菌叢と癌リスクとの関連は、
今まで以上に注目されることになりそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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非アルコール性脂肪肝炎の新薬の効果(レスメチロム) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
NASHの新薬の臨床試験.jpg
2019年のLancet誌に掲載された、
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の新薬の、
第2相臨床試験の効果についての報告です。

非アルコール性脂肪肝炎というのは、
アルコール性の肝障害と非常に似通った病態が、
お酒を飲まない人にも生じるというもので、
従来の脂肪肝という概念とは異なり、
進行性で肝硬変に移行することも稀ではないのが特徴です。

その病態は内臓肥満やメタボと関連が深く、
高血圧や糖尿病、高脂血症などと高率に合併し、
インスリンの効きが悪くなってインスリンの濃度が高くなる、
インスリン抵抗性がその土台にあると考えられています。

非アルコール性脂肪肝炎というのは、
メタボの内臓に与える影響の1つの現れで、
単独でも肝硬変などの命に関わる病気に繋がる一方、
他の動脈硬化性疾患や糖尿病など、
メタボに関連する病気とも、
密接に結びついているのです。

さて、現時点で減量や運動療法などの生活改善以外に、
特効薬のような治療薬のない非アルコール性脂肪肝炎ですが、
ビタミンEやインスリン抵抗性改善剤であるピグリタゾンなどが、
一定の有効性があるという報告があります。
ただ、その効果は限定的で、
たとえばアメリカのFDAが、
現時点でその有効性を認めている治療薬はありません。

以前FGF19という一種の増殖因子の誘導体の新薬の効果を、
ご紹介したことがありましたが、
今回ご紹介するのはそれとは別個の、
レスメチロム(Resmetirom)という薬です。

この薬は甲状腺ホルモンのβ受容体の刺激剤です。
甲状腺ホルモンが細胞で働く時の、
受容体は窓口のようなものですが、
この受容体にはαとβの2種類があり、
それぞれの組織で少しずつその働きも違います。

肝臓の細胞においては、
甲状腺ホルモンのβ受容体が多く発現していて、
その代謝に深く関連していて、
その発現が非アルコール性脂肪肝炎においては低下している、
という報告があります。

そこでその刺激剤に脂肪肝炎の改善効果があるのでは、
と推測されたのです。

そこで今回の臨床試験においてはアメリカの複数施設において、
肝生検にて非アルコール性脂肪肝炎と診断された、
84名の患者さんをくじ引きで2つの群に分けると、
一方はレスメチロムを1日80ミリグラム使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
36週間の経過観察を行っています。

その結果、偽薬と比較してレスメチロム群では、
血液のトランスアミナーゼは有意に低下し、
肝臓内の脂肪含量にも有意な低下が認められました。
有害事象は下痢や吐き気が認められました。

この薬の有効性は、
まだ今後の臨床試験の進捗をみないと、
何とも言えないところがありますが、
甲状腺ホルモンの末梢の代謝を改善するという、
そのメカニズムは非常に興味深く、
他の疾患にも応用出来る可能性も秘めているように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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アメリカ医師会の大腸癌スクリーニングガイドライン [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アメリカの大腸癌スクリーニング.jpg
2019年のAnnals of Internal Medicine誌に掲載された、
アメリカの大腸癌スクリーニングの基準についての論文です。

大腸癌検診としては、
便潜血検査と大腸内視鏡検査の有効性が、
世界的に認められています。

ただ、そうした検査をどのような組み合わせで行い、
どのような年齢層を対象として、
どのような間隔で行うのが適切か、
というような点については、
国や地域、推奨する組織においても、
それぞれ異なっているのが実際です。

今回のガイドラインはアメリカ医師会(the American College of Physicians)
によるものですが、
アメリカの大腸癌スクリーニングについての、
標準的な考え方を示しているものです。

これによると、
大腸癌のスクリーニングは、
平均的なリスクの成人では、
年齢は50から75歳を対象とし、
便潜血検査を2年毎に、
大腸内視鏡検査(S状結腸鏡を含む)を10年毎に、
施行することが適切であるとされています。

大腸癌の家族歴があったり、
長期の炎症性腸疾患に罹患していたり、
家族性腺腫性ポリープがあるようなケースは、
高リスクと考え別個のスクリーニングの基準を適応する、
となっています。

日本においては、
年齢はより広く適応し、
検査の間隔もより短くする傾向がありますが、
それはトータルに見て、
スクリーニングの有益性を低下させ、
過剰診断や過剰検査に結び付き易いという点は、
押さえておく必要があると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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降圧剤の国際的効果比較 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

昨日から色々あって夜の更新になりました。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
降圧剤の第一選択薬は?.jpg
2019年のLancet誌に掲載された、
降圧剤の第一選択薬についての論文です。

アメリカの現行のガイドラインにおいては、
高血圧の薬物治療の第一選択薬は、
サイアザイド系利尿剤、ACE阻害剤、アルドステロン受容体拮抗薬、
そしてカルシウム拮抗薬のいずれかで、
そこに特に順番はもうけられていません。
ヨーロッパの主要なガイドラインにおいては、
そこにβ遮断剤が追加されています。

それでは、実際にこれらの薬の中で、
どの薬が最も患者さんへの有効性が高いのでしょうか?

今回の検証は、
世界規模で健康保険や医療データベースのデータを集積し、
トータルで490万人という大規模な高血圧患者のデータから、
急性心筋梗塞、心不全、脳卒中の予防効果に絞って、
その有効性を比較検証したものです。

その結果、
現在最も広く使用されている降圧剤は、
ACE阻害剤でしたが、
病気の予防効果において最も優れていたのは、
サイアザイド系の利尿剤でした。

副作用などの安全性においても、
利尿剤は脱水や高尿酸血症など、
有害事象が多いと考えられがちですが、
今回の大規模データにおいては、
最も安全性に優れていたのも利尿剤でした。

どうしても臨床医は、
より新しい薬を第一選択にしてしまいがちですが、
その使用法には検証が必要であるものの、
降圧剤として最も優れているのは、
利尿剤であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。


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新規骨粗鬆症治療薬オダナカチブは何故開発中止されたのか? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
保育園の健診などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
オダナカチブ.jpg
2019年のLancet Diabetes & Endocrinology誌に掲載された、
新規骨粗鬆症治療薬の臨床試験結果をまとめた論文です。

骨粗鬆症の治療薬は、
最近長足の進歩を遂げていますが、
癌のリスク上昇の可能性や、
非定型的骨折や顎骨壊死と言った有害事象、
長期の安全性が未確立と言った問題はあり、
安全で有効と太鼓判を押せるような薬はないのが実際です。

端的に言えば、
骨量の減少に結び付く骨吸収を、
強力に抑える薬はあるのですが、
健康な骨を増やす、
と言えるような薬はないのが実際なのです。

そのため、現在でも多くの薬が研究され、
開発される途上にあります。

今日ご紹介するオダナカチブ(odanacatib)も、
そうした新薬候補の1つです。

オダナカチブは、
カテプシンK阻害剤と呼ばれる薬です。

カテプシンKというのは、
骨を壊す働きを持つ破骨細胞で産生されている酵素で、
骨の構成成分の1つである1型コラーゲンを、
強力に分解するような作用を持っています。

要するに骨を溶かす酵素です。

この酵素を阻害することにより、
破骨細胞の骨を壊す働きが弱まり、
結果として事粗鬆症の進行が予防され、
骨の量が増加する、
と考えられます。
この仕組みはこれまでの骨粗鬆症治療薬とは異なり、
破骨細胞自体を攻撃するものではないので、
骨吸収は抑えても、
骨の健康な新陳代謝は妨害せず、
骨形成にも影響を与えないと想定されました。

もしそれが本当であれば、
これまでにない画期的な骨粗鬆症治療薬となる筈です。

初めてのカテプシンK阻害剤であるオダナカチブの開発は進められ、
臨床試験が開始されました。

ところが…

2016年にオダカカチブの臨床開発は中止されました。

行なわれていた第3相臨床試験において、
骨折予防効果と骨量増加の効果は認められたものの、
偽薬と比較して脳卒中の発症率が、
有意に増加していることがその理由とされました。

臨床試験自体はそのまま継続され、
その結果をまとめた論文が今日ご紹介するものです。

臨床試験は世界40か国の388の医療機関において、
閉経後5年以上を経過した65歳以上の女性で、
椎骨の骨折の既往があるか骨量が減少している16071名で、
対象者にも施行者にも分からないように、
くじ引きで2つのグループに分けると、
一方はオダナカチブを1週間に一度経口で50mg使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
延長期間を含め中間値で47.6か月の経過観察を行なっています。

その結果、
偽薬と比較してオダナカチブ投与群では、
椎骨の骨折のリスクが54%(95%CI: 0.40から0.53)、
椎骨以外の骨折のリスクも23%(95%CI: 0.68から0.87)、
大腿骨頸部骨折のリスクが47%(95%CI: 0.39から0.71)、
それぞれ有意に低下していました。

その一方で脳卒中のリスクは、
32%(95%CI:1.02から1.70)有意に増加していました。

何故オダナカチブで脳卒中が増加したのか、
そのメカニズムは不明ですが、
コラーゲンは血管においても重要な働きがあり、
それが影響した可能性は否定出来ません。

確かに骨折予防効果は認められていますが、
現行使用されている複数の薬剤を、
明確に凌駕しているというほどではなく、
有害事象が否定出来ないということであれば、
この薬の臨床使用が中止されたことは、
当然の結果であったようにも思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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妊娠中のアセトアミノフェンの使用と胎児への影響 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アセトアミノフェンの妊娠中の影響.jpg
2019年のJAMA Psychiatry誌に掲載された、
現状妊娠中に最も安全に使用可能と考えられている、
解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンに、
胎児の自閉症などの発達障害を増加させるリスクがあるのでは、
という気になる報告です。

アセトアミノフェンは、
妊娠中の発熱や疼痛の治療薬として、
世界的に広く使用されている薬剤です。

その安全性はほぼ確立されていると考えられていましたが、
最近幾つかの疫学データにおいて、
妊娠中のアセトアミノフェンの使用と、
自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動性障害(ADHD)との関連が、
指摘されて問題となっています。

アセトアミノフェンは胎盤を通過することが確認されていて、
胎児への神経毒性や、
胎児の男性ホルモン産生を阻害するような働きが、
実験的にはあることも報告されています。

ただ、これまでの疫学データにおいては、
単純に妊娠されている女性への聞き取りで、
アセトアミノフェンの使用が推測されているだけなので、
実際に胎児がどの程度薬剤の影響を受けているのかについては、
確実であるとは言えませんでした。

今回の研究はアメリカにおいて、
996名の母親と子供のペアを対象とし、
出産時の臍帯血における、
アセトアミノフェンの代謝物の濃度と、
その後の自閉症やADHDの発症リスクとの関連を検証しています。

その結果、
アセトアミノフェンの臍帯血濃度を3分割すると、
最も少ない濃度と比較して、
最も多い濃度ではADHDと診断されるリスクは、
2.86倍(95%CI: 1.77から4.67)有意に増加していました。
自閉症スペクトラム障害についても、
同様に3.62倍(95%CI: 1.62から8.60)、
アセトアミノフェンのが代謝物が最も多い群で有意に増加していました。
2つの病気とも、
アセトアミノフェンの曝露量が多いほど、
そのリスクが増加するという関係が見られたのです。

今回のデータは薬剤の曝露量を、
臍帯血で確認している分信頼性の高いもので、
今後妊娠中のアセトアミノフェンの使用については、
その量を含め適切な使用のガイドライン作りが急務であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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レストランでのカロリー表示の効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
カロリー表示の効果.jpg
2019年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
レストランのカロリー表示の効果を検証した論文です。

世界的に肥満による健康リスクの増加が、
大きな社会問題となっています。

その原因の1つと考えられているのが、
ファストフードを含む外食の、
カロリーが高く糖質を多く含む、
口当たりが良く癖になりやすい食品の存在です。

こうした食品の摂取量を抑える目的で、
国内外で導入されている方策の1つが、
食品のカロリー表示の義務化です。

食品をレストランなどのメニューで選ぶ際に、
そのカロリーが表示されていると、
「こんなにあるのか、もう少し控えよう」という意識が働き、
カロリーの少ない食品を選ぶ、
という効果が期待されたのです。

しかし、このようなカロリー表示は、
実際にどの程度のカロリー制限効果があるのでしょうか?

今回の検証はアメリカのもので、
カロリー表示の導入前後で、
104のフランチャイズのレストランにおける、
消費者の動向を調査しています。

その結果、
カロリー表示の導入後に、
1つの注文当たり60キロカロリー程度の、
軽度のカロリー制限効果が認められました。
しかし、その後1週間に0.71キロカロリーのペースで、
カロリーはむしろ増加に転じ、
1年を経過した時点ではカロリー表示のカロリー制限効果は、
相殺されてしまっていました。

このように、
外食のカロリー表示の効果は、
あっても一時的なもので、
長期的なカロリー制限の維持には、
実際には繋がっていないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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80歳以上の潜在性甲状腺機能低下症の治療効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日はクリニックは、
午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
80歳以上における甲状腺機能低下症の治療効果.jpg
2019年のJAMA誌に掲載された、
高齢者における潜在性甲状腺機能低下症の治療効果についての論文です。

甲状腺機能低下症は、
その名の通り甲状腺機能が低下した状態のことですが、
甲状腺ホルモンであるT4と、
下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定して、
TSHが上昇しているもののT4が正常範囲に留まっている状態を、
潜在性甲状腺機能低下症と呼んでいます。

この潜在性甲状腺機能低下症に治療が必要かどうか、
という点には色々議論のあるところです。

多くの潜在性甲状腺機能低下症の患者さんには、
特に甲状腺機能低下による症状は見られませんが、
中には便秘や全身倦怠感、抑うつ気分などの症状が、
出るような患者さんもいます。
また、潜在性甲状腺機能低下症であっても、
心血管疾患のリスクが増加するという報告もあります。

こうした点からは、
一部の潜在性甲状腺機能低下症の患者さんに対しては、
甲状腺ホルモンの補充療法が有益である、
という可能性が示唆されます。

ただ、それはどのような患者さんでしょうか?

これまでに妊娠中の女性においては、
流早産の予防などの目的のために、
潜在性甲状腺機能低下症を治療する意義が、
ほぼ実証されています。

ただ、それ以外の患者さんに対しては、
明確な結論が出ていません。

特に高齢者においては、
トータルに甲状腺機能低下症の患者さんは増える一方で、
軽度の機能低下症はむしろ生命予後に良い影響を与える、
というような報告もあるので、
よりその治療の可否については議論が大きいのです。

2017年にNew England…誌に掲載された論文では、
65歳以上の潜在性甲状腺機能低下症の患者さんに、
甲状腺ホルモン剤を使用した臨床試験の結果、
甲状腺ホルモンによる治療はそのQOLを改善する効果を、
確認出来ませんでした。

しかし、この臨床試験においては、
80歳を超えるような高齢者における治療効果については、
確認はされていませんでした。

そこで今回の研究においては、
オランダとスイスで行われた疫学研究、
および、オランダ、スイス、イギリス、アイルランドにおける疫学研究の、
2つの住民データから、
251名の80歳以上の潜在性甲状腺機能低下症の事例を抽出し、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は甲状腺ホルモン製剤を使用して、
TSHがこの研究における基準値である、
0.4から4.6mIU/Lになるように治療を行い、
もう一方は偽薬を使用して同様の調整を形だけ行って、
1年の時点での甲状腺機能に関わるQOLを比較検証しています。

その結果、
甲状腺ホルモン治療は、
80歳以上の潜在性甲状腺機能低下症の患者さんにおける、
症状などのQOLを有意に改善しませんでした。
一方で治療による有害事象も、
両群で差はありませんでした。

今回の検証においても、
高齢者における潜在性甲状腺機能低下症の、
明確な治療効果は確認されませんでした。

ただ、事例によっては一定の有効性がある可能性も、
現時点では否定は出来ず、
心血管疾患リスクの軽減効果などについては、
今後も検証が必要ではないかと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コーヒーの胆石発作予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーと胆石症.jpg
2019年のJournal of Internal Medicine誌に掲載された、
コーヒーと胆石症との関連についての論文です。

コーヒーに心血管疾患予防などの、
健康効果のあることは、
これまでにも何度もご紹介した通りです。

ただ、そうした報告の多くは、
メカニズムが明確ではない疫学データが殆どです。

そのうちの1つとして、
胆石発作の予防効果のあることが、
複数の研究者により報告されています。

推測としては、
コーヒーの成分に、
胆嚢の動きを活発にして、
胆汁の排泄を促すような働きがあり、
それが胆石症の症状を軽減しているのではないか、
というような考え方があります。
ただ、明確に立証されたものではありません。

コーヒーを飲む人に多い生活習慣が、
胆石発作の予防に結び付いている、
という考え方もあります。
その場合は直接コーヒーが胆石症軽減の原因ではない、
ということになる訳です。

果たしてどちらが正しいのでしょうか?

今回の研究はデンマークにおいて、
まず一般住民104493名を対象とし、
中間値で8年の経過観察を行なって、
コーヒーの摂取量と胆石発作の発症リスクとの関連を、
再度検証しています。

その結果、
コーヒーを多く飲むほど、
胆石症の発症リスクは低下していました。

そのリスク低下は、
コーヒーを1日3杯以上で統計的に有意となり、
1日6杯以上では、
23%(95%CI: 0.61から0.96)有意に低下していました。

ここまではこれまでの疫学データに合致する結果です。

次にメンデル無作為化解析という手法を用いて、
これがコーヒーの直接の効果によるものか、
それとも間接的な影響によるものかを検証しています。
カフェインの代謝に関わる遺伝子変異があると、
それだけコーヒーの摂取量が多いことが知られています。
これを利用して、
遺伝子の変異と胆石発作の発症リスクとの関連を検証します。
遺伝子変異自体は全くの偶然で生じると考えられるので、
これで同じような関連があれば、
直接の関係であると推測が可能なのです。

その結果、
コーヒーの摂取量に関わる遺伝子変異と、
胆石発作のリスクとの間には負の相関があり、
今回の検証からは、
コーヒーが胆石発作のリスク軽減に、
直接的に関連している可能性が示唆されました。

メンデル無作為化解析という手法は、
最近多くの論文で活用されていますが、
内容はやや疑問を感じるようなものもあります。

今回の結果もこれだけでコーヒーの直接効果とは、
決めつけられないように思いますが、
胆石発作の予防効果が確認されたことは興味深く、
今後もコーヒーの健康影響については、
話題は尽きないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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