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モデルナ社新型コロナウイルスワクチンの遅発性皮膚反応 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
モデルナワクチンの遅発性副作用.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年3月3日ウェブ掲載された、
モデルナ社の新型コロナウイルスワクチンの、
遅発性の皮膚症状についての解説記事です。

モデルナ社の新型コロナウイルスワクチンは、
今日本で接種が開始されてるファイザー社のワクチンと同じ、
mRNAワクチンで、
日本では武田薬品を介して2021年3月5日に申請が出され、
今審査が進められています。

このワクチンの臨床試験において、
初回接種後に接種部位が発赤したり痛みが生じる副反応は、
その84.2%に見られるほど多いものですが、
その後の追跡調査において、
接種後8日目以降に出現する、
遅発制の皮膚反応が報告されています。

こうした報告は初回接種30420回の0.8%に当たる244例に認められ、
2回目の接種の0.2%に当たる68例にも認められています。
こうして事例は遅延性のアレルギーの一種と思われ、
通常4,5日で自然に回復していますが、
中にはかなり特徴的な広がりのある反応が、
接種部位ではない場所に現れるなど、
興味深い事例が認められ、
そのうちの12例が上記文献において示されています。

こちらをご覧下さい。
モデルナワクチンの皮膚病変1.jpg
これは事例2とされたもので、
61歳の女性ですが皮膚のアレルギーの既往があり
初回接種の8日後に、
大きな発赤が現れ、14日後に消失。
2回目の接種後にはより早期に発赤が現れ、
熱や寒気を伴っています。

それではこちらをご覧下さい。
モデルナワクチンの皮膚病変2.jpg
この事例では接種部位の発赤と共に、
1回目の接種から11日後に、
接種部位ではない肘に発赤が出現しています。

このように、
通常の接種部位の早期の反応以外に、
1週間以上が経過してから、
遅発性の皮膚反応が見られる事例が、
少なからず認められていて、
通常時間は掛かっても自然に回復しているので、
ワクチン接種の継続自体には、
現状大きな問題は確認されていませんが、
今後慎重にその経過をみてゆく必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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高齢者の糖尿病治療の問題点(カナダの老人ホームのデータ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
糖尿病の不適切治療.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2021年3月1日ウェブ掲載されたレターですが、
カナダの老人ホーム(ナーシングホーム)で調査された、
高齢者の糖尿病の不適切治療についての報告です。

2型糖尿病の治療においては、
血糖値をなるべく正常に近づけることが、
患者さんの予後を改善する上で重要と考えられています。

ただ、生活改善のみで血糖が正常化すれば、
それに越したことはありませんが、
経口剤や注射薬といった薬剤を使用する場合、
血糖を正常化しようとコントロールを強化すると、
副作用である低血糖の危険が増す、
というジレンマがあります。

最近開発されたインクレチン関連薬や、
SGLT2阻害剤と言った糖尿病治療薬は、
低血糖は起こしにくい薬とされていますが、
それでもそのリスクはゼロではありません。

特にインスリンの注射薬と、
SU剤を呼ばれる強力な血糖降下作用を持つ飲み薬は、
低血糖のリスクの高い薬として知られています。

特に高齢者は低血糖が重症化しやすく、
低血糖による脳のダメージも受けやすいため、
現状世界中の糖尿病の治療のガイドラインにおいて、
概ね75歳以上の高齢者では、
血糖の目標値を高めに設定して、
インスリン製剤やSU剤の使用は極力控えることが、
望ましいとされています。
そのため血糖値の目標としては、
1、2ヶ月の血糖コントロールの指標であるHbA1c値を、
7.5%未満にはしないことが、
一応の目安とされていることが多くなっています。
(個々のガイドラインにより違いはあります)

ところが…

実際にはこの指針は常に守られている、
という訳ではありません。

これは国内外を問わないことだと思いますが、
SU剤で長く良好な血糖コントロールを維持しているような患者さんでは、
75歳になったからと言って、
急にSU剤を中止したり、
他の薬に切り替えるというのは、
主治医として勇気のいる決断です。
勿論明らかな低血糖症状があれば、
治療の変更は当然ですが、
実際には高齢者の低血糖は、
認知症などと誤認されることも多く、
気がつかれないまま、
低血糖を繰り返していても薬が処方され続けている、
というような事態も多いと考えられます。

日本の場合、
国外では基礎薬とされていて、
高齢者でも安全に使用可能な薬剤の筆頭であるメトホルミンが、
高齢者では慎重投与の扱いとなっていて、
薬剤の添付文書を読む限り、
高齢者に使える薬が殆どないという点が、
問題を複雑にしています。

今回の研究ではカナダのオンタリオ州において、
日本の特別養護老人ホームに似た施設であるナーシングホームに入所している、
2型糖尿病で治療中の65歳以上の高齢者、
トータル15034名の血糖コントールと認知症の重症度を解析したところ、
平均のHb1c値は7.3%で、
全体の50.3%に当たる7592名は、
HbA1cが7.0%以下になっていました。

入所者を認知症の重症度で分けて検討すると、
軽症から中等症に比較して、
重症の認知症の高齢者では、
HbA1c値が低い傾向が認められ、
特にリスクの高い薬剤(インスリンやSU剤)を使用していると、
そうした傾向が強く認められました。

このようにカナダの高齢者施設においても、
ガイドラインでは問題とされている、
HbA1cが7.0%以下の事例が多く、
低血糖が認知機能の低下に結び付きやすいことを考えると、
認知症が高度の事例でHbA1cが低い傾向があるという結果は、
今後慎重な検証が必要なものであるように思います。

老人ホームにおける糖尿病治療というのは、
身近でありながら管理に問題が生じやすく、
今後こうしたデータも蓄積しながら、
より適切なガイドラインが作成され、
遵守されることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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喫煙の世代を超える影響について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
喫煙の世代を超えた影響.jpg
Thorax誌に2021年2月4日ウェブ掲載された、
喫煙の世代を超えた影響についての論文です。

喫煙が慢性閉塞性肺疾患や肺癌、
心血管疾患や食道癌などの強いリスクとなり、
トータルに見ても生命予後に悪影響を強く与えることは、
これまでの多くの疫学データにより実証されている事実です。

喫煙率自体は、
特に医療水準の高い国や地域では減少していますが、
そこで問題となることの1つが、
喫煙の次の世代への影響です。

妊娠中の女性が喫煙をしていると、
生まれて来るお子さんの喘息や呼吸器疾患、
肺機能の低下に繋がるという多くの報告があります。
更には孫の世代にも影響を与えるという報告が、
動物実験は一部の疫学データにおいて指摘されています。
祖母が喫煙をしていると、
孫の世代の喘息が増えると言うのです。

これは本当に事実でしょうか?

今回の研究はオランダにおいて、
大規模な世代間研究のデータを用いて、
祖母の妊娠中の喫煙が、
孫の世代に与える影響を検証しています。

対象はトータルで37291名の一般住民で、
25747名の成人と11544名のお子さんが含まれています。
祖母が妊娠中に喫煙していると、
孫の男児は、祖母が非喫煙の場合と比較して、
気管支喘息のリスクが38%(95%CI:1.06から1.79)、
乳幼児期の喘鳴のリスクが49%(95%CI:1.06から2.11)、
肺機能の低下(FEV/FEV%で判定)が4%(-1.91から-0.16)、
それぞれ有意に増加していました。

性差があるなどちょっと微妙な結果ですが、
これまでの同種の研究と同じ結果が得られていて、
こうした現象があること自体は事実であるようです。

それでは何故こうした現象が存在するのでしょうか?

エピジェネティクスと言って、
DNAの配列に関わらない遺伝子の調節機構があり、
それは生殖細胞を介して、
子供や孫の世代にも伝わると考えられています。
こうしたエピジェネティック情報によって、
喫煙による体質の変化が、
子供から孫の世代まで伝わっているという仮説が、
提唱されているようです。

そのメカニズムはともかくとしても、
こうした現象があること自体は非常に興味深く、
今後の慎重な検証の継続を期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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スタチンによる筋肉痛とその意味 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
スタチンと筋肉痛.jpg
British Medical Journal誌に、
2021年2月24日ウェブ掲載された、
コレステロール降下剤の筋肉系の副作用についての論文です。

スタチンはコレステロール合成酵素の阻害剤で、
強力に血液中のコレステロールを低下させる薬です。
スタチンにはそれ以外に抗炎症作用など、
コレステロールによらない動脈硬化の進行予防効果も併せ持つとされ、
心血管疾患リスクが高いと想定される人では、
スタチンを使用することが心血管系疾患の予防に繋がる、
というように考えられています。

つまり、
スタチンはコレステロール降下剤である以上に、
心血管疾患の予防薬なのです。

このように非常に有用性の高い薬であるスタチンですが、
稀に横紋筋融解症という、
重症の筋肉系の副作用の原因となることが知られています。
その頻度は上記文献の記載では、
スタチンで誘発される筋炎全体では、
年10000処方当たり1例程度ですが、
重症の横紋筋融解症に限ると、
年10000処方当たり0.2例程度です。

横紋筋融解症はこのように稀な合併症ですが、
スタチンの使用に伴い、
筋肉の痛みや違和感などを生じる事例自体はもっと多く、
強い痛みがあれば患者さんも心配になりますし、
主治医もそれを聞けば、
これはひょっとして横紋筋融解症では、
と心配になりますから、
多くの場合スタチンは中止されることになります。

しかし、実際にこうした筋肉の症状は、
どの程度スタチンと関連があるのでしょうか?

今回の研究では、N-of-1試験という方法で、
スタチン使用時の筋肉痛などの症状が、
本当にスタチン由来かどうかを検証しています。

このN-of-1試験というのは、
1人の患者に対して色々な条件をくじ引きで与えて、
その影響を評価するというものです。

イギリスの50か所のプライマリケアの医療機関において、
スタチン使用後に筋肉痛などの、
筋肉由来の症状が出現し、
血液検査では横紋筋融解症の所見はなく、
それによりスタチンが中止されたか、
中止が検討されている200名の患者を登録し、
個々の患者において、
2か月毎にスタチンの1つであるアトルバスタチンを、
1日20ミリグラムで使用するか、もしくは偽薬を使用して、
その間の症状の比較を行います。

結果として解析された患者は151名で、
トータルに見て、スタチンの使用期間と偽薬の使用期間とで、
筋肉痛などの症状に有意な差は認められませんでした。
また、経過中に耐えられない筋肉由来症状で投薬が中止されたのは、
スタチン使用期間中が9%に当たる18名であったのに対して、
偽薬使用期間中が7%に当たる13名で、
こちらも違いはありませんでした。

つまり、同一の条件であれば、
それがスタチンであっても偽薬であっても、
同じように筋肉由来の症状が出現したということになります。
逆に言えば、スタチン使用後の筋肉由来の症状の多くは、
それが血液検査で横紋筋融解症の所見のないものであれば、
スタチンとは関連のない可能性が高いということになります。

今回のデータは薬の副作用や有害事象の解釈として、
とても興味深いもので、
これだけで全てのスタチンの筋肉系の副作用が、
スタチンと無関係とは言えませんが、
全てが関連する訳ではないことも明らかで、
今後より適切に薬の副作用を判別するための、
方法の開発に繋がることに期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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GI(グライセミック・インデックス)と心血管疾患リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は終日レセプト作業の予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
GIと心血管疾患リスク.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年2月24日ウェブ掲載された、
グライセミック・インデックスという糖質の吸収の指標と、
心血管疾患リスクとの関連についての論文です。

同じカロリーで同じ量の糖分を含んでいても、
それを食べた後の血糖値は、
高い場合とそれほど高くない場合があります。

ブドウ糖を摂った場合を100とした時に、
その食品を摂った時に糖分がどのくらい吸収されるのかを、
数値化したものをグライセミック・インデックスと呼んでいます。
略してGIです。
(何を基準にするかについては定義により様々です)

白いパンは71と高GI食品ですが、
これがライ麦パンでは50と低GI食品になります。
(これも別の基準値も存在しています)

つまり、同じパンで同じカロリーでも、
白いパンの代わりにライ麦パンを食べると、
それだけ食後の血糖値は上がり難いということになります。

この理由はライ麦パンの方が食物繊維などを多く含んでいるので、
それだけ糖質の吸収が緩やかになるため、
と説明されます。

食事においてなるべく高GI食品を避け、
それを低GI食品に切り替えるようにすると、
摂取カロリーは同じでも糖尿病の予防になることは、
ほぼ間違いのない事実として認められています。
ただ、高GI食品を避けることで、
他の心血管疾患のリスクの低下や、
生命予後の改善に結び付くのか、
と言う点については、
大多数のデータが欧米のものなので、
たとえばアジアや中東、アフリカなどの地域においても、
同じことが成り立つのかどうかは不明でした。

そこで今回の研究では、
カナダ、スウェーデン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、
アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、イラン、
マレーシア、パレスチナ、ポーランド、南アフリカ、トルコ、
バングラデシュ、インド、パキスタン、タンザニア、ジンバブエ、
の世界5大陸20か国で、
35から70歳の一般住民137851名を登録し、
食事調査でGI値を計測して、
中間値で9.5年の経過観察を施行しています。

この場合のGIは各食品を平均化して重み付けをし、
白いパンを100として算出されています。
その結果をGIにより5分割して比較を行なっています。

その結果、
最も高GIの食事をしている群は最も低GIの食事群と比較して、
心血管疾患の発症と死亡を併せたリスクが、
心血管疾患の既往のある人では1.51倍(95%CI:1.25から1.82)、
既往のない人では1.21倍(95%CI:1.11から1.34)、
それぞれ有意に増加していました。

このように世界的に見ても大きな地域差なく、
高GIの食事が心血管疾患のリスクとなっていることは、
ほぼ間違いのない知見で、
高GIの食品を低GIの食品にシフトしてゆくことが、
糖尿病や心血管疾患のリスクを低下させるために、
重要であることも間違いがないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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新型コロナウイルス感染症に対するインターロイキン6受容体拮抗薬の有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
インターロイキン6抗体の新型コロナ感染への効果.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年2月25日ウェブ掲載された、
サイトカインを抑制する治療の、
新型コロナウイルス感染症への有効性についての論文です。

新型コロナウイルス感染症の治療については、
有効な抗ウイルス剤は見付かっておらず、
重症事例におけるステロイド(主にデキサメサゾン)以外は、
予後を明確に改善する治療もない、
という状況が続いています。

その中でこの病気の重症化には、
身体が産生する炎症物質であるサイトカインの過剰産生が、
影響しているという知見が多く得られ、
この炎症性サイトカインを抑制することで、
患者の予後改善が見込めるのではないかという期待から、
臨床においては特にアメリカにおいて、
サイトカイン抑制療法が試みられているという現状があります。

その目的で主に使用されているのが、
炎症性サイトカインの代表である、
インターロイキン6の受容体拮抗薬の使用です。

今回の臨床試験はREMAP-CAPという臨床研究の一環で、
ヨーロッパ、オーストラリアなどを中心に、
世界52カ所の集中治療室に入室した、
新型コロナウイルス感染症の患者で、
酸素療法や呼吸器、人工心肺などの治療が必要となった重症事例で、
くじ引きの上353名はインターロイキン6受容体拮抗薬のトシリツマブを、
48名は同じ作用を持つサリルマブを、
402名は通常の治療のみを行って、
その後の経過を比較検証しています。

その結果、
入院中の死亡事例は通常治療群では36%に対して、
インターロイキン6受容体拮抗薬投与群では27%で、
その使用は有意に入院中の生命予後を、
改善していると判定されました。
より長期の生存率や人工呼吸器の離脱日数など、
他の幾つかの指標においても、
インターロイキン6受容体拮抗薬使用群は、
有意な予後の改善効果を示していました。

この治療に一定の有効性が認められた、
という結果です。

ただ、同じ紙面に掲載されたもう1本の同種の研究論文では、
トシリツマブの有効性は示されませんでした。
同じ紙面の解説記事によると、
上記論文では殆どの事例でデキサメサゾンなどのステロイド剤が、
標準治療として使用されていて、
これまでの無効とされた研究では、
ステロイドはそれほど多くの事例では使用されていなかったので、
インターロイキン6受容体拮抗薬とステロイドを併用することで、
相乗効果が得られたのではないか、
という推測が記載されています。

インターロイキン6受容体拮抗薬による治療は、
単独で新型コロナウイルス感染症の予後改善に役立つ、
というほど有効性の高いものではなさそうですが、
補助的な治療としての有効性はありそうで、
今後どのような事例に有効性が高いのかなどの検証が、
実証的に行われることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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イスラエルにおける新型コロナウイルスワクチンの有効性(第1報) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
COVID19のイスラエルでの有効性.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年2月24日ウェブ掲載された、
ファイザー社などによる新型コロナウイルスワクチンの、
イスラエルでの実際の接種の有効性を、
短期的なものですが解析した論文です。

現在少しずつ、
新型コロナウイルスワクチンの医療従事者への接種が、
日本でも開始されています。

現状接種されているのは、
ファイザー社/ビオンテック社によるmRNAワクチンですが、
このワクチンの症状のある感染に対する有効性は、
約95%と報告されています。

ただ、これは敢くまで臨床試験の結果です。
実際に一般の多数の人に接種をした場合の有効性は、
また別であるという可能性もあるのです。

イスラエルでは先行して新型コロナウイルスワクチンの、
一般住民での大規模な接種が行われています。

今回のデータはそのイスラエルにおいて、
2020年12月20日から2月1日までに接種が終了した、
トータル596618名の一般住民を、
条件をマッチングさせた596618名の非接種者と、
1対1で比較しているものです。
観察期間は中央値で15日間ですから、
短期の有効率のみを見たものです。

その結果、
未接種者と比較したワクチン接種者の、
報告された新型コロナウイルス感染症の発症リスクは、
1回目のワクチン接種から14日から20日後で46%(95%CI:40から51)、
2回目のワクチン接種から7日後以降で92%(95%CI:88から95)、
それぞれ有意に低下していました。
この結果は無症状の感染も含んでいます。

未接種者と比較したワクチン接種者の、
有症状の報告された新型コロナウイルス感染症の発症リスクは、
1回目のワクチン接種から14から20日後で57%(95%CI:50から63)、
2回目のワクチン接種から7日後以降で94%(95%CI:87から98)、
それぞれ有意に低下していました。

重症の新型コロナウイルス感染症の発症リスクは、
同様に62%と92%、
入院のリスクは同様に74%と87%、
こちらもそれぞれ有意に低下していました。

このように有症状の新型コロナウイルス感染症の発症リスクを、
94%低下させているという実臨床のデータは、
ほぼ臨床試験に一致しているもので、
このワクチンの高い有効性が裏付けられた、
と言って良いものです。

1回の接種後にも限定的ではありますが、
既に有効性は認められており、
特に入院や重症化のリスクについては、
比較的早期から有効となる可能性が高いと想定されます。

これは変異ウイルスでも同様の効果、
ということではなく、
かつ1か月以内程度という、
非常に短期の結果のみをみている、
という点には注意が必要ですが、
まずは臨床試験と同等の有効性が認められたことは意義のある知見で、
後は今後のより長期の結果の発表を待ちたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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南アフリカ変異ウイルスに対するファイザー/ビオンテック社ワクチンの有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
B.1.351変異のワクチン有効性.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年2月17日ウェブ掲載された、
南アの変異株「B.1.351」に対する、
ファイザー/ビオンテック社の新型コロナウイルスワクチンの、
有効性を検証した短報です。

日本でも当該のファイザーetcワクチンの、
先行接種が開始されていますが、
そこで危惧される事項の1つは、
このワクチンが南アの変異株「B.1.351」に対して、
どのくらい有効なのかということです。

先日ご紹介したように、
この南アで流行し、
日本でも既に散発の事例としては報告されている変異ウイルスは、
人間に感染しても中和抗体の産生が弱く、
場合によっては中和抗体が産生されずに何度も感染を繰り返す、
というかなり深刻な性質を持っています。

南アフリカではアストラゼネカ/オックスフォード大による、
アデノウイルスベクターワクチンの接種が行われましたが、
少なくとも軽症から中等症の若年感染事例について、
このワクチンの有効性が全く認められない、
という衝撃的な結果が報告されています。

冷静に考えて、
この変異ウイルスは人間の中和抗体を充分に誘導しない、
つまり人間の免疫が充分な効果を発揮しないのですから、
最終的には人間の免疫により効果を現すワクチンが、
有効に働かないのもまた理の当然です。

ただ、ファイザーetcやモデルナ社のmRNAワクチンについては、
より強力に免疫を誘導する作用がありますから、
一定の有効性はあるのではないか、
という推測もまた成り立つところです。

今回の短報は実験レベルのものですが、
臨床試験で2回のファイザーetcワクチンの接種を受け、
接種後2から4週間で採取された血清における、
南ア型変異ウイルスを含む複数のウイルス抗原に対する、
中和抗体活性を比較しています。

その結果、
通常のウイルス株と比較して、
南ア型変異ウイルス株は中和抗体の活性が、
3分の2程度に減少していました。

それを図示したものがこちらになります。
B.1.351変異のワクチン有効性の図.jpg

モデルナ社のワクチンについても同様の検証が行われていて、
矢張り通常のウイルス株と比較して、
南ア型変異ウイルスでは、
ワクチンで誘導される、
中和抗体活性の低下が認められています。

これは臨床的な有効性を見たものではないので、
何とも言えない部分がありますが、
アストロゼネカ社etcのワクチンほどではないにしても、
先行する2種類のmRNAワクチンの有効性も、
通常のウイルス株と比較すると、
南ア型変異ウイルス株ではかなり劣る可能性が高く、
今後その対策が急務であるように思われます。

今回の新型コロナウイルス感染症の征圧は、
そう簡単なものではないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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マクロライド系抗菌薬の妊娠中使用のリスクについて(2021年デンマーク) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
マクロライドの妊娠中使用リスク2021.jpg
British Medical Journal誌に2021年2月10日ウェブ掲載された、
抗菌剤の妊娠中使用のリスクについての論文です。

妊娠中の抗菌剤の使用にはリスクがありますが、
それでも感染症の時には、
使用が必要となるケースがあります。

そうした時に安全性が比較的確認されている抗菌剤は、
ペニシリン系の抗生物質であることは、
世界的にほぼ一致している事実です。

ただ、ペニシリンには特有の薬疹やアレルギーがあり、
その使用が困難なケースで、
現状多く使用されているのがマクロライド系の抗菌剤です。
エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンが、
その代表になります。

それでは、マクロライド系抗菌剤の、
妊娠中の安全性については、
どのくらいのことが分かっているのでしょうか?

これまでの複数の介入試験やシステマティックレビューの結果として、
マクロライド系抗菌剤の使用が、
妊娠の有無に関わらず、
不整脈のリスクを増加させ、
心疾患に伴う死亡のリスクを増加させる、
という知見が得られています。
このため、アメリカとイギリスにおいて、
心血管疾患のリスクが高い患者さんに、
マクロライドを使用することは警告の扱いとなっています。

妊娠中のマクロライドの使用についての、
最近のシステマティックレビューによると、
その使用により流産のリスクが増加することは、
ほぼ間違いのない事項とされていますが、
それ以外の先天奇形などについては、
明確な結論が得られていません。

2020年の同じBritish Medical Journal誌に掲載された臨床研究では、
イギリスの医療データベースを活用して、
マクロライドもしくはペニシリンの処方を、
妊娠4週から出産までの間に受けた104605名の、
妊娠中の女性とその子供と、
母親が妊娠前にマクロライドもしくはペニシリンを処方された、
82314名の子供、
そしてその兄弟を比較して、
この問題の検証を行っています。

その結果、
お子さんの主な身体奇形のリスクは、
母親が妊娠初期にペニシリンを使用した場合、
新生児1000人当たり17.65件に対して、
母親が妊娠初期にマクロライドを使用した場合には、
新生児1000人当たり27.65件で、
妊娠中のマクロライド使用の、
ペニシリンと比較した新生児の身体奇形発症リスクは、
1.55倍(95%CI:1.19から2.03)有意に増加していました。

マクロライドの妊娠中の使用は、
その全期間において、
新生児の性器奇形のリスクを、
1.58倍(95%CI:1.14から2.19)有意に増加させ、
その多くは尿道下裂の増加でした。

エリスロマイシンの妊娠初期における使用は、
赤ちゃんの主要な身体奇形のリスクを、
ペニシリンと比較して1.50倍(95%CI: 1.13から1.99)、
こちらも有意に増加させていました。

このようにマクロライド系の抗菌剤の妊娠中の使用は、
その時期にかかわらず胎児の発達に一定の影響を与え、
複数の身体奇形のリスクを上昇させるということが、
イギリスのデータからは示されたということになります。

ただ、これはまだ単独の地域におけるデータであり、
マクロライド系抗菌薬が、
実際には世界中で妊娠中の女性にも使用されている実態がある以上、
他の地域の疫学データにおいても、
同様の結論が得られるかどうかはまた別の問題です。

今回の研究は国民総背番号制の取られたデンマークのもので、
1997年から2016年の1192539件の妊娠事例のうち、
妊娠中にマクロライド系抗菌薬が使用された13019例を、
ペニシリンの使用事例と1対1で、
マクロライドの妊娠前の使用事例とも1対1で、
更には抗菌剤が未使用の妊娠事例とは1対4で、
他の条件をマッチングして比較検証しています。

その結果、
マクロライド使用群は、
未使用群、ペニシリン使用群、妊娠前マクロライド使用群の、
いずれとの比較においても、
主な臓器の先天性奇形の発症リスクに、
有意な影響を与えていませんでした。

今回のデンマークでの大規模な検証では、
2020年のイギリスの疫学データとは相反する結果が得られました。

この問題はまだ検証が継続される必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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新型コロナウイルス感染症濃厚接触者の隔離期間と予後 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
covid-19学校での隔離期間と予後.jpg
JAMA誌に2021年2月19日ウェブ掲載された、
濃厚接触者の隔離期間についてのレターです。

アメリカにおいては、
新型コロナウイルス感染症の患者の濃厚接触者は、
14日間の隔離にて経過をみることが、
現行のCDCの基準においては推奨されています。

一方でこれまでの臨床データからは、
接触から症状出現までの所謂潜伏期は、
成人では4から5日、子供では6から7日となることが多いとされていて、
この知見から接触から9日の時点までには、
多くの感染では遺伝子検査が陽性化することが想定されます。

ここで1つの考えとして、
接触から9日目に一度RT-PCR検査を施行し、
それが陰性であれば10日目からは隔離を解除する、
という方針が成立します。

これは実際に妥当な方法でしょうか?

今回のデータはアメリカ、フロリダ州のアラチュア郡において、
義務教育の学生の感染事例と、
その濃厚接触者のRT-PCR検査を行った事例を解析し、
検査を施行するタイミングと、
適切な隔離期間についての検証を行っています。

この州の規定では、
濃厚接触者は、
同時に感染した可能性のある場合には、
接触後3日の時点で遺伝子検査を施行し、
それ以外は9日目の時点で検査を行い、
9日目の検査が陰性であれば翌日からの登校が許可されています。
ただ、実際には検査の日時は、
10から14日目に遅れることもあるようです。
検査が施行されない場合には、
隔離期間は14日で設定され、
無症状であればその翌日からは登校可能となっています。

2020年8月1日から11月30日の期間において、
257名の学生がRT-PCR検査で陽性と判定されています。
この257名の感染者の濃厚接触者として、
2189名が隔離対象となり、
そのうち134名は接触後3日に、
839名は接触後9から14日後に遺伝子検査を受けています。
3日目に検査を受けた134名のうち、
陽性となったのは10.4%に当たる14名で、
9から14日の間に検査を受けた839名のうち、
陽性となったのは4.8%に当たる40名でした。
9から14日の間に検査を受けて陰性であった799例のうち、
14日を超えて症状が出現して感染が確認されたのは1例のみで、
遺伝子の解析では、
接触した感染事例とは別のウイルス株が同定されました。

要するに、
接触の後9日から14日の間で遺伝子検査を施行し、
その結果が陰性であれば、
その翌日から登校してもほぼ問題はないと判断されます。
例外の1事例も、
別のウイルスの感染が隔離期間中に起こった、
と考えられるからです。
一方で全く検査をせずに9日以降14日未満で隔離を終了すると、
最大で8.2%の学生は感染したまま登校する可能性がある、
ということになります。

このデータを元にして、
接触後9日の時点で遺伝子検査を施行して、
それが陰性で無症状であれば登校を10日目から許可する、
という考え方と、
検査はせず無症状で14日経過すれば翌日から登校を許可する、
という考え方を比較すると、
9日目に検査をして振り分ける方法の方が、
学習期間の損失を少なく出来る、と試算されました。

現状日本においては、
明確に接触からの検査の期日は規定されておらず、
概ね接触5日目以降の検査が保健所では推奨されていて、
検査が陰性であっても、
無症状で14日の隔離期間が設定されています。

この方針が現時点で誤りとは言い切れませんが、
検査の日時や回数を規定することにより、
より短期間での隔離解除を可能にすることは、
濃厚接触者の負担を軽減する点でも有意義なことは間違いなく、
今後の科学的議論を期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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