SSブログ
仕事のこと ブログトップ
前の10件 | -

極私的新型コロナウイルス感染症情報(2021年7月20日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はいつものクリニック周辺の感染症情報です。

先週までは、
東京の感染者が1000人を超えそうだというけれど、
一体何処で増えているのかしら、
というような感じであったのですが、
この1週間くらいでかなり状況は緊迫してきています。

クリニック周辺でも、
ホテル療養のホテルも満室、
入院先の病院も全て満床、
という状態が続いていて、
待機の患者さんが膨れ上がって来ています。

数日前に保健所からの依頼で、
新型コロナで自宅待機中の患者さんが、
胸の痛みを訴えて、
胸部レントゲン検査目的で受診されましたが、
30代のその方は、
もう39度を超える熱が5日続いていて、
入院先を探しているも見つからない、
とのことでした。

持病があって高熱が続いていても、
入院はベッドがないので出来ない、
というのが今の状況で、
自宅待機者にこうしてクリニックなどを受診してもらい、
診察や検査によってトリアージをして、
重症と判断された方のみを、
入院適応とする、というような方針が、
取られているようです。

濃厚接触者も、
家族以外はあまり補足されているという感じはなく、
「会社の換気の悪い会議室で、2時間以上会議をしていた、
と言ったのだけれど、濃厚接触とは認められなかった」
と言うような話を頻繁に聞くようになりました。
保健所もパンク状態なのだと思いますが、
明らかに以前のような濃厚接触者の同定はされていません。

家族内感染での感染拡大の強さも最近の特徴で、
乳幼児の検査をする機会が最近増えましたが、
以前は家族内で感染者があっても、
乳幼児への感染は極めて稀であったものが、
最近は多くの乳幼児で検査の陽性事例が確認されています。

医療崩壊に近い厳しい状況であることは確かで、
他に有効な方法がない以上、
1人1人の感染予防が、
今は何より重要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0) 

極私的新型コロナウイルス感染症情報(2021年7月12日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はクリニック周辺に限定した新型コロナの現状です。

RT-PCR検査は、
クリニックで依頼される件数は今は少ないのですが、
若い世代での陽性率は間違いなく高くなっていて、
5例検査して全例陽性という日もありました。

友達とお酒を飲んで騒いで感染したり、
焼き肉パーティーで、そう言えば1人具合が悪かった、とか、
ライブで演奏して、メンバーの1人から感染とか、
そうした話が大半で、
保育園や学校の集団感染も増加しています。

そうした方の大半は軽症で、
頭痛があって熱が数日上がったり下がったり、
という感じなので、
本人もすぐに医療機関を受診することは少なく、
診断が付いた時には既に1週間くらいが経過して、
もう本人は回復していて、
周囲に感染は広がっている、
という事例が多いのです。

そこで職場や家庭でもう少し上の年代の人に感染すると、
こちらは高熱が続いて、重症肺炎で入院、
というようなことになります。

それから気になる事例としては、
ファイザーのワクチンを2回接種して、
1ヶ月経過後に家族から感染した医療従事者のケースがありました。

例外的なケースと思いたいのですが、
今後こうした事例が増えて来ることも、
想定しておかないといけないのかも知れません。

家族のような濃厚な接触がある場合には、
ワクチンでの抑止は困難な場合も当然あると、
そう考えておいた方が現実的だと思います。

一方である近隣の総合病院では、
ワクチン接種を妊娠希望という理由で受けなかった職員から、
感染が拡大して、病棟閉鎖、
というようなケースがつい最近に報告されています。

ワクチン接種が進行したことで、
病院や老人施設でのクラスターが減少していることは、
良い兆しではあるのですが、
少数とは言え、接種後の感染も見られていて、
ワクチンを過信することは危険です。
感染拡大の主体が若者や子供に移って来ると、
結局そうした世代の欲求の多くは、
感染拡大に繋がるような行為なので、
それを止めるということは日本の今の仕組みでは不可能で、
他人の感染対策や政治を非難している人が、
誕生日の焼き肉やカラオケでの大騒ぎ自体は止められないのですから、
それで今の感染拡大を抑止することは、
冷静に考えて相当な困難事例です。

それでもいつかは今の苦労が報われることを信じて、
日々の診療業務に当たりたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0) 

極私的新型コロナウイルス感染症情報(2021年7月4日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
終日レセプト作業の予定です。

今日はクリニック周辺の感染症情報です。

6月下旬以降東京では感染者の増加が続いていますが、
現状クリニックでのRT-PCR事例は多くありません。

品川区からの情報では、
6月末からの感染確定事例は増加しており、
20代、30代の若年層が多いという点では、
東京全体の傾向と一致しています。

その点を受けてクリニックにおいても、
小児の発熱者にも、
以前より積極的に検査を施行する方針としています。

以前は未就学児はほぼ全例、
鼻腔からの検体で検査をしていましたが、
保育園でも唾液の採取などが行われるようになり、
お子さんも慣れて来ているのでしょうか、
最近では2歳以上は唾液での検査が可能なことが、
多くなっています。

これは進歩と言って良いのかどうか微妙です。

変異株の追跡は、
アルファ株(以前の英国型)が主体のN501Y変異は、
検査事例の8割を占めていることもあり
行なわない方針となっているようで、
今はデルタ株(以前のインド型)が主体のL482R変異のみで、
施行されているようです。

これは何度も書いていることですが、
現状全ての事例で検査が行われている訳ではなく、
無作為に検体が抽出されているという訳でもないので、
実体がどうであるのかは明確ではない、
というのが事実です。
自治体主導の検査は数は少数ですし、
それ以外は検査会社の自主性に任されているからです。

そうしたあまり根拠の乏しいデータを元にして、
「今日は何例のデルタ株が見付かった」と騒ぎ立てるのは、
全く意味のない扇動であるように思います。

現在一番知りたい情報は、
現行接種されているmRNAワクチンが、
デルタ株にどの程度有効であるか、
ということですが、
実験レベルのデータは開示されていても、
実臨床の疫学データは従来株のもので止まっていて、
少なくとも査読を経たような論文で、
こうした情報はないのが現状です。
(もし情報をお持ちの方はご教授下さい)

ワクチンの変異株に対する有効性と、
感染対策とは両輪である筈ですが、
それがないままの現状は、
臨床に携わるものとしては不安が大きいのです。

6月以降の感染者については、
症状的に拍動性の頭痛が強く、
咽頭痛と発熱が認められ、
扁桃炎の症状のように思われるのですが、
扁桃炎の所見は乏しい、
というのが特徴的です。
確かに味覚嗅覚障害の訴えは、
殆ど聞かなくなりました。

ただ、これが本当に変異株の特徴なのか、
と言う点については良く分かりません。

訳知り顔に、
「デルタ株の症状の特徴はこうだよ」
と言うような方もいますが、
実際には信頼の置ける疫学データがなく、
症例の分布自体も不確かなのですから、
少数の自験例のみで、
そうしたことを言うのは、
科学的ではないように思います。

ワクチン接種も混乱が続いており、
スタッフを含めて疲弊と消耗も大きいのが実際ですが、
現状の収束に向けて、
末端の臨床医として日々の業務に当たりたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんは良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0) 

極私的新型コロナウイルス感染症情報(2021年5月21日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

今日はクリニック周辺の新型コロナウイルス感染症情報です。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いています。

クリニックで診療をしている感触としては、
今年の1月くらいの方が、
感染者は多かったという印象がありますが、
おそらく患者の主体が若年者に移っていて、
クリニックで診断されるような患者さんの比率は、
逆に減っているのかも知れません。

症状としては、
突然の寒気と関節痛と共に高熱で発症、
というインフルエンザ様の症状の方が多く、
それでいて高熱が持続するという感じではなく、
熱は上がったり下がったりを繰り返すという感じです。
重症の事例ではそこに強い咳込みなどが加わるので、
ほぼ典型的な印象になります。

印象に残ったケースを幾つかご紹介します。
実際の事例を基にしていますが、
守秘義務及び、患者さんの特定を避ける観点から、
実際とは表現を変えている部分のあることをお断りしておきます。

事例の1つ目は家族内感染で、
まずお仕事をされていた30代の男性が発熱で発症し、
同居していた男性の妻、母親、
そして1歳未満のお子さんの3人が、
検査で全員陽性となったケースです。
母親は風邪症状はありましたが軽度で、
男性の妻とお子さんは無症状でした。
昨年くらいまではこうしたケースでは、
1歳未満のお子さんが感染した、
という事例は遭遇したことがありませんでした。
矢張り変異株主体の感染となって、
家族内感染での感染率は、
小さなお子さんを含めて高くなっていることを、
実感した事例でした。

もう1例はデパートに勤務されていた、
接客業の20代女性のケースですが、
急な寒気を伴う高熱で発症し、
勤務先の指示でその日のうちに、
近くのクリニックを受診して、
新型コロナウイルスの抗原検査と、
インフルエンザの抗原検査を同時に施行されています。
結果はいずれも陰性であったため、
翌日は出勤をされているのですが、
熱は下がっていたもののだるさは持続していて、
その翌日再度発熱があったため、
クリニックを受診。
同日のRT-PCR検査で陽性を確認した方です。

まあ、当たり前のことなのですが、
発熱初日に抗原検査をしても、
あまり役には立たず、
むしろ陰性であることで油断を誘い、
感染を拡大してしまうという典型的なケースです。
個人的には今の時期のこの症状で、
インフルエンザの検査は不要だと思います。
まず新型コロナを疑い、
お子さんであればアデノウイルス感染症も否定は出来ない、
という判断でしょうか。

最近は自宅療養で経過を診ている患者さんが、
発熱や咳などの症状が悪化した際に、
入院の可否の検証のために、
胸部レントゲンや採血の依頼が増えています。

宿泊療養は原則平熱が対象なのですね。
熱があると自宅療養か入院しか選択肢はないのですが、
保健所的には軽症で入院という判断をすると、
病院側からクレームが付くので、
その判断の基準となる所見を求められるのです。

ただ、もう感染していることは分かっていて、
全くの初診で、
ガンガン熱が出ていて咳き込みも酷い、
という患者さんを、
通常診療の合間に診るというのは、
結構しんどい仕事ではあります。

有熱者は完全に導線を分けていて、
その点では問題はないのですが、
胸部レントゲンを撮影するレントゲン室は1つしかないので、
他の患者さんがいない時間に、
レントゲンを撮り、
それから部屋を消毒する作業に入ります。

現状他の時間での対応は困難なので、
診療終了直前くらいに来て頂き、
他の患者さんがいなくなってから、
レントゲンを撮影するような段取りで対応しています。

新型コロナウイルスワクチンについては、
僕自身は6月2日に2回目の接種を予定しています。
おそらく6月中には全ての「医療従事者」への接種が終了する、
というような流れになるようです。

クリニックでは品川区と渋谷区の患者さんが多く、
品川区では6月19日から75歳以上の高齢者の、
集団接種受付が開始という遅さです。
クリニックなどでの個別接種は、
どうやら6月から開始となるようです。

現状問題と感じるのは、
1回目と2回目の接種予約の位置づけがまちまちであることです。

僕自身の接種の場合は、
1回目と2回目を完全に3週間後の同じ時間に、
同時に予約するというシステムで、
勿論同じことが行われているのだろうな、
と思っていたのですが、
渋谷区から来た患者さんは、
1回目の予約しか取れない仕組みになっていた、
と話されていて、
2回目をいつどのくらいの間隔で予約して良いのか、
何処にも書いていない、
とこぼされていました。

これはどうも市町村によって対応が異なっているようで、
たとえば世田谷区では、
1回目と2回目の予約を同時に取って下さい、
というように明記されていますが、
2回目は希望通りには取れないこともあります、
というような記載もあって、
取ろうと思っても希望の時間に取れない、
というような事態もあり得るようです。

以前ブログでご紹介したイギリスの論文にあったように、
海外でも1回目と2回目の接種間隔には混乱もあって、
現状はファイザー社のワクチンでは、
3週間での2回目接種が推奨されていると思いますが、
もっと長い間隔(8週間くらい)で接種した方が、
より強い免疫反応が得られるのでは、
という試行錯誤があって、
そうした接種が行われたこともあり、
1回で充分との判断で、
1回のみの接種が広がった時期もあったようです。

ただ、現状の添付文書では3週間という間隔が明記されているので、
そうした対応が取られるべきだと考えますが、
現状は必ずしもそうなっていないようです。

渋谷区の文書を読むと、
1回の予約では1回のみで、
2回予約をして2回目の接種をしろ、
というような文面に読めます。
間隔も3週間以上、
なるべく6週間以内というような記載で、
はなはだ不明瞭であることは間違いがありません。

品川区の場合、
対象者に送られて来た書類を読むと、
1回目の接種の予約をまずして、
その接種を終えてから、
改めて2回目の接種の予約をしろ、
と言う意味のことが書かれています。

酷いよね。

ただ、品川区のサイトを見ると、
1回目の接種会場で、
その3週間後の2回目の予約が取れる、
と言う意味のことが書かれています。

これが本当に会場で予約が取れるという意味なのか、
それとも「この日に自分で予約して下さい」
と言われるだけのことなのか、
幾ら読んでも明確に分かりません。

こんな状況であると、
3週間で2回目の接種を行う人もいれば、
8週間以上のように間隔をあけてしまう人もいて、
1回目の接種だけで終了してしまう人もいることになりますから、
国も市町村ももう少し情報を整理して、
2回の接種が適切に行われるように、
もっと効率的な方法を考える必要があると思います。

そんなこんなで現状はどう転ぶか分からない、
不安定な状況が続く医療現場ですが、
今出来ることを出来る範囲で無理なくこなしつつ、
少しでも収束が早まることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(2) 

極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2021年4月30日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。

今日は新型コロナウイルス感染症の、
クリニック周辺に限った近況です。

矢張り若い人を中心に感染が増加している、
という傾向はクリニック周辺でも見られていて、
現状はインフルエンザ様症状での発症が多い、
という印象です。

突然の発熱と関節痛、寒気というような症状で発症し、
熱自体はそれほど持続しないのですが、
全身倦怠感や頭痛、関節痛は長く持続する、
というような症状です。
咽頭痛はあることの方が多いのですが、
軽症のことも多く、
咽頭後壁の発赤もそれほど強くはありません。

味覚障害や嗅覚障害の話も、
最近はあまり聞くことがありません。
ただ、これは発症する事例が減っているのか、
それとも発症する前に診断されるケースが多くなったからなのか、
その点については何とも言えません。

時々昨年あったような、
咳き込みと呼吸困難と高熱、
というようなケースに遭遇しますが、
そうした事例は概ね重症化して、
緊急入院となることが多いのです。
ただ、比率から言えば若年の軽症例が、
圧倒的に多いという印象です。

若年の感染者から急速に周囲に感染が拡大している、
というのが現状の間違いのない傾向であるようです。

最近印象的であった事例は1人は20代の女性ですが、
品川区内の電話応対の多い会社に勤務していて、
その会社では1週間ほど前から発熱者や、
咳などの風邪症状の人が増えていたのですが、
会社からの命令で、
「絶対にPCR検査を受けるな」と言われていたとのことです。
本人の症状としては微熱とだるさと軽い咳で、
初診時には本人が、
「会社から止められているので」
と検査をしませんでしたが、
翌日だるさと関節痛が悪化したため再診。
本人の承諾も得られたので検査をして陽性を確認しました。

それからこれは別のケースで30代の男性会社員ですが、
羽田からそう遠くない場所で勤務していて、
その会社では熱が出ると、
「羽田空港のPCRセンターに行って、すぐに結果の出る検査をして来い」
という指示が出るのだそうです。
それでその人も発熱と関節痛と寒気があったので、
木下グループのやっているPCRセンターに行って、
抗原検査を受け、陰性であったので、
陰性証明書のようなカードをもらって帰って来たのです。
初診の時点ではその日に抗原検査で陰性とのことであったので、
処方のみで経過をみたのですが、
翌日に症状が悪化したため再診。
同日唾液のRT-PCR検査を施行して陽性を確認しました。

特にこうした若い会社員の方の傾向としては、
会社からは「無断で医療機関でPCR検査をするな」
という命令を受けていて、
受診をされて検査の必要性が高いとお話をしても、
「まず会社に連絡をします」とその場で会社に電話やメールをし、
それで30分くらい平気で時間が経過してしまう、
というケースが多いのが実際です。

「会社」というのはどうやら物凄い権力を有してるらしく、
僕のような末端の医療機関の医者が何を言っても、
到底太刀打ちは出来ない伏魔殿のような場所であるようです。

感染の原因は、
聞き取りが可能な範囲では、
矢張り「会食」などの外食が多いのですね。

直近ではラーメン屋さんで感染した、
と思われる事例が2件ありました。
(ラーメン屋さんが特に悪いということではありません。
そうした事例がたまたまあった、
ということでご理解下さい)
ただ、飲食の仕事をされている方は、
「自分の店では徹底した対策をとっているし、
これまでうちの店で感染者が出た、
という話を聞いたことがない」
というように決まって言われるんですね。

それはもっと感染が散発的状態であれば、
確かにそうかも知れないのですが、
たとえば感染がほぼほぼある飲食店で起こった、
と分かっていても、
患者さんもあまりそのことを言わないですし、
犯罪ではないので、
医療機関も保健所もそこまで追求するようなことはしません。
そうすると、結局多くは「感染経路不明」ということになって、
その飲食店の関係者が、
自分の店でお客さんが感染した、
というような事実を知ることはないんですね。

要するに、
「こうした感染が市中に蔓延した状態では、
複数人で外で食事をすれば、
どんなに対策していても感染リスク自体はある」
というのが事実であると思うのですが、
多くの人にとって、
それはあまり理解したくはない考えなので、
理解はされないのだと思います。

事例を分析している時点までは、
それは一応科学の範疇なのですが、
それを公表したり議論したりした時点では、
それはもう社会学や政治の問題になってしまうんですね。

散発的な感染の時に取るべき対策と、
市中感染で流行期に入った場合に取るべき対策とは、
明確に異なっている筈ですが、
一般の方はそれを完全に混同していますし、
専門家と称する方でも、
やや混同した発言をしている傾向はあるので、
話はややこしくなっています。

そんなこんなで先の見えない状況が続いていますが、
日々の診療をこなしつつ、
発熱外来などで自分の出来ることを、
無理のない範囲で続けてゆきたいと思います。

ちなみに僕自身のワクチン接種は、
1回目が5月12日の予定。
僕が嘱託医をしている老人ホームは、
5月17日に1回目の入所者のワクチン接種の予定。
品川区では5月20日くらいから、
一般の高齢者の接種も、
少しずつ開始される予定です。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(3)  コメント(0) 

新型コロナウイルス変異株検査への提言 [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

今日は新型コロナウイルス関連の話題です。

4月21日の朝のニュースを見ていたら、
4月20日の東京の新型コロナウイルス感染症の患者は、
711名報告され、
検査数は6435件、
変異株は初めて100例を越え、
115例が報告された、
という報道がありました。

これね、皆さんはどう理解をされますか?

多分、711例の感染者のうち、
115例が変異株であった、
と理解されるのではないでしょうか?

でもそれは違うんですね。

こちらをご覧ください。
変異ウイルス発生届.jpg
こちらが東京都健康安全研究センターを介した、
4 月20日夜の時点での、
変異株の報告をまとめた資料です。

全体で322件の検査をして、
そのうち115件が変異株であった、
と記載されています。
その内訳は東京都の機関である、
東京都健康安全研究センターで検査された事例が77件で、
そのうちの19件が陽性、
民間の検査機関(含む大学など)で検査された事例が245件で、
そのうちの96件が陽性です。

これは敢くまで4月19日夜の報告以降で、
判明した数を示しているものなのですね。
その全てが陽性者の711名の中に含まれているのかどうかは、
分からない訳です。

東京都健康安全研究センターの検査というのは、
保健所を介して行われた検査の中から、
抽出されたものという説明になっています。
つまり、クラスターなどの事例で、
施設や病院、学校などでの検査が、
その主体ではないかと思われます。
この場合はN501YとE484K両方のスクリーニングをして、
それから遺伝子解析も全例ではないのでしょうが、
自前でやっているようです。
こちらはそのまま東京都に直接報告される分ですね。

それから、残りの245件の検査というのは、
主にクリニックが委託しているような、
検査会社が変異株の検査をしている分です。

これは感染症研究所から、
なるべく変異株の検査をして下さい、
というお願いというか依頼が来ているのですね。
ただ、それは義務ではないし、命令でもないので、
個々の検査会社は「やれる分だけ仕方なくやっている」
というのが実際なのです。
検査会社によって、
真面目なところは全例に近く検査をしているようですし、
不真面目というか儲け主義のところは、
あまり検査はしていないのです。

検査は主にN501Yのみが行われているようで、
遺伝子解析までは勿論やってはいないのです。

こうした検査会社での検査は、
依頼した僕達のような医療機関の指示とは、
全く無関係に行われています。
その結果は依頼した医療機関には直接開示はされず、
時には実施されたかどうかさえ説明はされません。
そして、全て感染症研究所に報告され、
感染症研究所がとりまとめた上で、
保健所に改めて報告されるという段取りです。

711例中322例の検査がされているとすれば、
これは半数は検査をされているということになります。
そうした理解をされている方も多いかと思いますが、
それは違うのですね。
変異株検査にはタイムラグがありますし。
報告も発生数とは異なり、毎日ではないのですね。
ここ数日は毎日に近く報告されていますが、
その前は数日毎か1週間に1回程度でした。
集計がバラバラなので正確な数字は分かりませんが、
現状でも4分の1程度しか変異株の検査はされていないと思います。

しかも、問題なのは誰の検査をするのかは、
検査会社によって恣意的に選択されていて、
依頼した医療機関の意向も反映されていませんし、
逆に無作為に抽出されている、
という訳でもないということです。

要するにこの数字から、
全体としての変異株流行の広がりや頻度を、
科学的に推定することは不可能だということです。

東京の場合2月くらいには殆ど報告事例はないのですが、
これは検査をされた事例自体がとても少ないので、
その頃は本当に変異株が少なかったのか、
それとも同じくらいあったのに検査がされていないためなのか、
それも全く分からないのです。

こんな状態で本当に良いのでしょうか?

良い訳がありません。

そこで僕の現時点での提言ですが、
少なくとも行政検査を受託している検査会社は、
全ての陽性事例でもれなく変異株の検査をするべきだと思います。

これは不可能ではないのです。
検査会社によっては、
もう既に全例検査をしているからです。

それを多くの検査会社が今していないのは、
単純にそうした明確な指示がないからです。

行政検査は自費検査と比べれば遙かに高い価格で受託されています。
値引きはされず全て公費で賄われています。
一方で3000円の自費検査があるにも関わらずです。
勿論3000円できちんとした精度管理がされているとは到底思えませんから、
その価格設定は論外ですが、
今検査がシステム化され大量に行われているのに、
今の価格設定も別の意味で法外だと思います。

何が言いたいかと言えば、
行政検査を受託している検査会社は大きな利潤を出しているのです。
端的に言えば大儲けしているのです。
そうであるなら、
陽性の事例全例で変異株の検査をしても、
これはもう罰は当たらないのではないでしょうか?

いや、公共の福祉の観点から言って、
やるべきではないでしょうか?

PCR検査をもっと増やせと声高に言う人は多くいますが、
何故か変異株の検査を陽性例で全例やれ、
という声はそれほど大きくは聞こえて来ません。

しかし、実際には無症状の人に闇雲に行うRT-PCR検査より、
変異株の検査を陽性事例全例で行う方が、
今の感染状況を正確に判断し、
有効な対策に結びつけるためには、
遙かに有効な方法であると思います。

変異株に感染した患者は、
若年で持病がなくても重症化している、
というような言い方がされていますね。

しかし、そこに科学的根拠がどれだけあるのでしょうか?

メディアに登場する病院の医師は、
自分の病院の入院患者のみの経験から、
割と平気でそうした発言をされていますが、
それは敢くまで少数例の患者を診ての「感想」に過ぎない知見ですよね。

医者も科学者の端くれであるなら、
自分の経験を根拠なく一般化して、
一般の方の不安を煽るような行為は、
慎むべきではないかと個人的には考えます。

それから英国型や南アフリカ型という言い方をしないで、
N501Y変異とか、E484K変異という言い方を多用していますよね。

これも不適切な言葉の使い方のように思います。
N501Yというのは多くの変異株が持っている点変異、
と言っているに過ぎませんよね。

英国型というのは、501Y.V1(B.1.1.7)、
南アフリカ型というのは501Y.V2(B.1.351)という名称があり、
それはN501Y変異を含む複数の変異を持つ変異株のことです。
この2種類の変異株はかなり異なる性質を持っているので、
これを一括りにN501Y変異株として扱うのは、
誤解を招くもので適切なものとは思えません。
まっとうな英文の論文で、
そうした言い回しを僕は目にしたことがありません。

こうした言い方をするのは、
多くの変異株の検査がN501Yのみを検出しているためで、
厚労省の資料などを読めば、
勿論正しいことが書かれているのですが、
一般に報道されている情報などをみると、
「N501Y」という独立の変異株があるように誤解されていて、
この点は解析の方法論にも問題はありそうです。

変異株の知見は、
それほどの裏付けがないまま1人歩きしているという感があり、
これは日本国内に限りませんが、
行政の責任者や政治家は、
感染の急拡大を、
自分の施策の責任ではなく、
「変異株が悪いのだ」という言い方で、
責任転嫁の道具にしているように感じます。

そうした言説を許さないためにも、
もっと正確なデータと知見を元に、
変異株の意味と対策が、
より科学的になされることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(3)  コメント(0) 

変異株検査の不透明さを憤る [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

今日は最近驚いて憤ったことを話します。

クリニックでは発熱外来を行なっていて、
RT-PCR検査については大手の検査会社に検査を依頼しています。

以前も話題にしたように、
最初は結果が出るのに2日以上掛かり、
もっと早く結果を出して欲しいと言うと、
PCRの検査機器を変えることにより、
より迅速に結果を出すことが可能だと言われました。

精度に問題はないのかと聞くと、
それについては問題はない、という話だったので、
それなら早く結果の出る機器で検査をして欲しい、
という話をして、
そうした対応が取られることになりました。

ただ、実際にはそれほど結果が早く出るようになった訳ではありません。
翌日には結果のファックスが届くようになりましたが、
それは検査機器にはよらなかったようです。
2021年の3月以降は、
検査翌日の午後2時くらいに結果が届くようになったのですが、
それはどうやら検体数が少なかったからのようで、
検体数が多かったり検査でトラブルがあると、
翌日の夜になってしまうようなこともありました。

最近問題になっているのは勿論変異株です。

当初は一部の研究施設や大学病院、
感染症研究所でしか検査が出来なかったので、
検査会社から検体提出の指示があり、
それを感染症研究所に持ち込んで、
遺伝子解析が行われる、
というような段取りであったようです。

それが最近になって、
多くの検査会社でも、
おそらく多くはN501Yのみの検出だと思うのですが、
検査が可能になり、
陽性の事例においては、
全例で変異株の検査も同時に行われるようになりました。

その話を聞いたので、
数日前にクリニックで契約している大手の検査会社の、
営業担当の方に質問をしました。

変異株の検査はしているのですか、と聞くと、
疫学調査として感染症研究所から依頼があり、
自社で検査を行なっている、という答えでした。
陽性者は最近も複数出ているのですが、
変異株かどうかという点については、
一度も検査会社から連絡が来たことはありませんし、
それが結果報告書に記載されていた、
ということもありません。
それで、
「うちの出した検査でも変異株が検出されたことはあるのですか?」
と聞くと、
クリニックの検査を行なっている機器は、
変異株の検査に対応していないので、
今のところ検査はしていません、
という驚くような答えが返って来ました。

つまり、
その検査会社では2つの機器を用いてRT-PCR検査をしていて、
その一方は簡単に対応出来るので、
もう全例で変異株の検査をしているけれど、
クリニックが早く結果が出て精度は変わらない、
という触れ込みで選択した機器については、
対応が難しいので一切検査はしていない、
ということなのです。

仮にそうであるとしたら、
同じように検査をしているにも関わらず、
ある患者さんでは変異株の検査がされ、
別の患者さんでは、
他の条件は全く同じであるにも関わらず、
変異株の検査はされない、ということになります。

そんな不公平があって良いのでしょうか?

そもそも採用している機器の1つでは、
変異株の検査が出来ないのであれば、
それが分かった時点で、
こちらに説明するべきではないでしょうか?
「今使っている機器では変異株の検査が出来ないので、
どうしますか?」
という説明が当然あってしかるべきではないでしょうか?

しかし、実際にはそんな説明は何もなく、
何1つ事前には知らされてはいないのです。

理不尽なことはこれだけではありません。

今後は変異株の検査をして、
その結果を教えてくれますか、と検査会社に聞くと、
「直接医療機関に通知することは認められていません」
という返事です。

クリニックが依頼して行った検査です。
RT-PCR検査をして陽性であったので、
それで付随して行う検査が変異株の検査である筈です。

にもかかわらず、
その結果は依頼した医療機関に直接伝えてはいけない、
と言うのです。

一体誰が何の権限があってそんな決まりを作っているのでしょうか?

それは国立感染症研究所の指示だ、
という答えでした。

これは伝聞ですので正確ではないかも知れませんが、
少なくとも検査会社の担当者と、
別の検査会社の担当者も同じ答えでした。

感染症研究所の指示により、
検査会社は陽性の検体に対して、
変異株の検査を追加で行なっているのですが、
その結果は直接医療機関に伝えることはせず、
感染症研究所にのみ連絡せよ、
という指示なのです。
感染症研究所はその結果を取りまとめて、
今度は市町村や保健所に結果を流しているのです。
保健所で変異株として処理された後、
今度は保健所から医療機関に通知される、
という段取りであるようです。

これはね、
まだ疫学研究の段階であったり、
抽出して調査をしている、
という段階であれば理解は出来るのですね。

ただ、理解はしても納得は出来ないですね。

あまりに医療機関を馬鹿にしているでしょ。

患者さんの検査に関わる情報というのは、
第一に主治医に報告されるべき事項でしょ。
それを「するな」と言っているんですね。

それはあまりにひどいのじゃないかしら。

しかもね、今は疫学調査の段階ではないでしょ。
もう変異株がまん延していて、
その対策が行われている状況ですよね。
変異株かそうでないかで、
臨床上の対応も変わる事態ですよね。

クリニックがお願いしている検査会社は、
大手の行政検査受託機関であるにもかかわらず、
一部の検査機器でしか変異株の検査はせず、
そのことも聞かれないと教えてもくれない、
という論外の対応ですが、
多くのまっとうな検査会社は、
陽性検体の多くで、
変異株の検査もしているのが実際なんですね。

その今日に至ってなお、
検査結果はすぐには主治医に教えるな、
という対応はこれはあまりにひどいのではないでしょうか?
人外の仕業とでも言うべき蛮行ではないかしら。

まとめるとこういうことです。

皆さんは変異株の検査というものが、
系統的に行われていると思われるかも知れませんが、
実際にはそんなことはなくて、
検査機関によって、
かなり恣意的に検査がされたり、
されなかったりしているのです。
実際に検査がされているのは一部の検体に過ぎないのですが、
検査がされないと「通常株」と同じ対応がされ、
それを誰も疑いません。
そんな状態ですから、
変異株の患者を隔離するとかしないとか、
真面目に議論をする先生がいますが、
それはもうナンセンスの極みなのです。

行政検査をしている検査会社に限れば、
もう全例で変異株の検査は出来る体制なんですよ。
だからそれを義務づければいいのに、
現状はそうしていないんですね。
だから、利潤追求の民間の会社は、
全例での検査はしていないのです。
恣意的な対応を許している現状では、
変異株の広がりの実態など分からないのです。

また、医療機関で検査をすれば、
変異の情報は医療機関に伝えられるのかと言うと、
そうではなくて、
感染症研究所がその情報は一手に握っていて、
医療機関にすぐに情報を流すことを禁じているのです。

末端の医療機関もね、
非力なことは承知の上で、
精一杯頑張っているのですよ。
それでこの仕打ちはないのじゃないかなあ。

今日は少し落ち着いていますが、
昨日はかなり自暴自棄になってしまいました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(5)  コメント(1) 

極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2021年4月14日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日は新型コロナウイルス感染症の、
クリニック周辺での状況です。

2021年の2月と3月は、
クリニックの発熱外来のRT-PCR検査でも、
殆ど陽性者はいない、という状態が続きましたが、
4月に入ってからは明らかに増加傾向が認められ、
毎日数名の陽性者がコンスタントに認められる、
という状況が続いています。

最近の傾向としては、
症状は咳込みが多く、
会食はおろか、仕事もリモートで、
買い物以外は殆ど家から出ない、
というような人でも、
感染が確認される、
というようなケースが、
しばしば認められるようになっています。

市中感染が広がるようになると、
こうした状況になるのだなあと、
そんな思いもあるのですが、
もう症状からは全く普通の風邪と新型コロナの見分けは付かない、
というのが臨床医としての実感です。

感染者はまた増えていますが、
保健所の体制や対応は、
第1波から3波の時のような、
力の入ったものではなくなっています。

以前は本当に朝早くから夜遅くまで、
連絡をすれば発生届は受け取ってくれて、
相談にも乗ってくれたのですね。

それが数日前にショックを受けたのですが、
午前8時前に患者さんに陽性の連絡をして、
それから午前8時10分にいつも連絡している電話に、
発生の連絡を入れたのですが、
電話に出たのが担当の課長さんで、
開口一番、
「まだ就業時間前です」と一方的に宣言されると、
こちらの事情も聴かずに、
向こうから電話を切ってしまわれました。

こんな対応は初めてであったので、
医療現場と保健所の温度差というのか、
トップがそのような事務的な対応で、
他人の話に聞く耳を持たないという態度に、
とてもショックを受けて力が抜けました。

勿論就業時間以降でもう一度連絡を入れて、
詳細を説明しました。
その時は部下の方が電話に出たので、
とても真摯な対応でした。

なんだかなあ、という感じです。

それからこんなこともありました。

先日濃厚接触者に認定された、
という男性が受診をされて、
お話しを聞くと特に症状はなく、
感染者に接触したのは2日前というお話しであったので、
RT-PCR検査をするのであれば、
接触から5から7日目くらいが最も適切で、
今慌てて検査をするよりも、
数日待って検査をした方がいい、
という話を結構念を入れてしました。

その時は分かって頂いたと思ったのです。
それで、3日後に検査の予約をしてお帰り頂いたのですが、
それから1時間もしないうちに電話があって、
「ともかく今日検査をさせろ」
と矢の催促です。
「それでは感染しているかどうか、本当の意味では分かりませんよ」
ともう一度そう説明しましたが、
聞き入れることもなく、
その日結局検査をすることになりました。
結果は陰性で、
本人は「そうか、そうか」と大喜びです。
「まだ分かりませんよ」というお話しはしましたが、
内心はもう、
検査が陰性だから感染していない、
と思い込んでいることは明らかで、
無力感を覚えつつその日の仕事を終えました。

こうしたことを沢山経験すると、
人間は結局信じたいことしか信じず、
自分が結論を決めている時には、
何を言っても無駄な生き物なのだ、
という考えに至るので、
勿論仕事ですから説明はするのですが、
無益な説得はしないようにしています。

ワクチンはようやく5月中旬から、
僕達のような末端の医療者の接種が開始されることが決まりました。
同時期から高齢者の集団接種も始まり、
その手伝いにも行く予定です。

全てが遅々として進みませんが、
まあこんな社会で物事が早く進む筈もありませんよね。

あせらず、出来ることを積み重ねるしかないのだと、
半ば達観しつつ日々を送っています。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0) 

極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2021年3月17日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業面談で都内を廻る予定です。

今日は新型コロナウイルス感染症の現況です。

今年の2月以降はRT-PCR検査の件数はガクッと減りました。
陽性者も2月は2名のみで、
今月も今のところ2名のみです。
陽性者はいずれも濃厚接触者で症状は非常に軽症です。
症状からの判断はほぼほぼ無理、
というような事例ですね。
東京の救急病院の医師に話を聞いても、
重症の入院事例は殆どないという状況であるようです。

ただ、その一方で東京の感染者数は、
1日300名を切らない状態が続いています。

感覚としては、
「一体どこで感染しているの?」
と言う感じなのですが、
気を付けている人はもう充分気を付けているでしょうし、
ここから更に減らすとすれば、
もう人の流れを物理的に止めるしかない、
ということになるのだと思います。

人の流れが増えていること自体は間違いがなく、
東京のような大都市に関しては、
感染を完全に抑え込むには、
人の流れ自体を止めないと無理なのが、
残念ながら実際であるようです。

重症者も減っていますし、
医療体制自体は余裕がある状態だと思います。

ただ、これで緊急事態宣言を解除するでしょ。
誰でも想定出来ることですが、
すぐに感染者は1000人や2000人にはなりますよね。
気を付けている人がどんなに気を付けていても、
一定数の「飲み屋やカラオケでどんちゃん騒ぎ」という人は、
これはもういなくなることはないので、
人の流れが解除によって増えれば、
それだけで感染者数が増加するのは自明の理です。

でも打つ手なしという感じですね。

リバウンド防止の対策と言うと、
結局医療体制の強化と検査数の増加、
みたいなことになるでしょ。

でも、今は患者が少ないのに医療体制を強化しても、
それこそ全て公費で賄うのでなければ、
医療機関が赤字になるだけですよね。
ただ、行政は繰り返しそうした言い方をするので、
一般の方は、
「何で1年前から医療体制の強化をしろ、と言っているのに、改善されないんだ。患者が1000人でも300人でも、同じように大変、というのはおかしいじゃないか」
と思われると思いますし、
それに簡単に反論できないのが難しいところです。

一般の方のイメージとしては、
感染拡大を見据えて、
たとえば1000人入院出来るような施設を、
最初から確保しておけ、
ということだと思うのですね。

でも、設備だけでは駄目で、
人員もそれだけ確保しないと駄目でしょ。
それを1000人になることを予想して、
300人のうちに用意しておくというのは、
現実的ではないと思います。

検査についてはね、
たとえば嘱託医をしている特別養護老人ホームがあるのですが、
今月の初めに、
職員全員のRT-PCR検査が実施されたのですね。
結果は全員陰性だったのですが、
今のところ今回1回きりなのですね。

こうした計画性のないことをしても、
それで老人ホームの集団感染の予防にはならないですよね。
無症状の人に1回だけ検査をしても、
これはもう暗闇に闇雲に鉄砲を撃ち込むようなもので、
全く効率的ではないからです。
これね、行政検査ではなくて、
委託事業として自費検査をしているPCRセンターが請け負っているんですね。
本人確認もない郵送検査で、
陽性になったら、個別に医療機関を受診して下さい、
ということなんですね。
これじゃ、行政が自費検査のセンターに、
儲けさせているだけ、のように思えてなりません。

ワクチンも色々事情はあるのでしょうが、
遅々として進まない感じですよね。

国立病院機構とか、そうしたところの接種は、
行なわれてはいるんですね。

でも、たとえば品川区でも、
まだ通常の医療従事者の接種も、
アンケートで人数確認をしただけで止まっているんですよ。
「都の方針が出ていない」というのがその理由の1つらしいのですが、
何で方針が出ないものやら、
話を聞いても訳が分かりません。

少なくとも僕も接種は出来ていません。

人の流れを減らす以外の方策としてはね、
病院や高齢者施設のクラスターを阻止するために、
そこの職員のワクチン接種は急ぐ必要がありますよね。
それだけやればかなり違う可能性はあると思うのですが、
現実にはまだそこまで行っていません。

ある程度医療従事者や高齢者施設の職員、入所者に、
ワクチンが行き渡ってから、
人の流れを緩和するというのが、
筋ではあると思うのですが、
そこまで待っていられないから21日で解除する、
というのが既定方針であるようです。

そんな訳でまだ先行きは多難と思われますが、
感染防御に留意しつつ、
今後も自分に出来ることを日々こなしながら、
「多くの医者は楽をしている」と言われないように、
気を引き締めて診療に当たりたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0) 

極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2021年2月1日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

今日はいつもの新型コロナウイルス感染症の話です。

クリニックのある品川区においても、
新型コロナウイルスの市中感染が減少していることは、
トレンドとしてはほぼ間違いがないようです。

ただ、おそらく2月中は緊急事態宣言は延長されるでしょうが、
それで一定レベル患者数が減少しても、
解除になればまたすぐに増えることはもう、
火を見るより明らかなことですから、
現行の対策を継続している限り、
そのイタチごっこからすぐに解放されることはないようです。

現状市中感染の拡大から、
多くの高齢者施設や医療機関でクラスターが起こっていて、
こちらが収束するにはもう少し時間は掛かることになりそうです。

それでは幾つかクリニック周辺の話題から、
「今」を見てゆきたいと思います。

➀濃厚接触の調査を縮小、の意味について
クリニックへは1月27日くらいに、
品川区保健所から封書が届いていて、
そこには、「COVID-19行政検査の対象について」という題名がありました。

内容は煎じ詰めれば、
これまで保健所が認定していた濃厚接触者認定の業務を、
一時的に医療機関や検査機関などに移管する、
という趣旨のものです。

1月22日には下記のような報道がありました。

東京都、濃厚接触の調査を縮小 保健所が逼迫、高齢者らを重点 2021年1月22日 22時04分 (共同通信)  東京都は22日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、濃厚接触者などを調べる「積極的疫学調査」の規模を縮小する方針を都内の各保健所に通知した。高齢者など重症化リスクが高い人との関わりを重点的に調査し、全体の規模を縮小。逼迫する保健所の負担を軽減させ、効率的な入院や療養先の調整につなげる狙い。  都によると、調査は医療機関や高齢者施設、障害者施設などが中心となる。飲食店や職場、学校などでの感染は原則として詳しく調べず、各保健所が状況に応じて判断するとしている。

これだけ読んでも何を言っているのかよく分かりませんよね。

少し説明を追加したいと思います。

医療機関から新型コロナウイルス患者の発生届けが出されますよね。
そうすると、保健所は感染の拡大を抑止する目的で、
感染のリスクが高いと想定される「濃厚接触者」を認定し、
14日間の経過観察を指示するとともに、
適宜遺伝子検査の施行を検査センターや医療機関に依頼します。

この場合濃厚接触者の認定は、
保健所によって行われます。

つまり、僕が患者さんの診察をして、
この人は濃厚接触者として検査をしても良いのではないか、
と思っても、
保健所の認定がなければ、
保険を利用しての行政検査の対象にはならない、
自費でなければ検査は出来ない、
ということになるのです。

これが今までのあり方です。

それが年末年始に感染者が急増し、
保健所の業務が逼迫します。

そうなると、
とても全ての事例で濃厚接触者の認定をする、
というような作業が出来なくなるので、
クラスターの発生しているような施設や病院については、
重点的に認定し調査しますが、
一般の住民の市中感染の様なケースでは、
家族くらいは濃厚接触者として認定しますが、
それ以外で職場やプライベートでの接触については、
個々の僕達のような末端の医療機関に任せます、
というのが1月22日の通達の主な意味合いです。

ややこしいのはですね、
都の通達は細かいことを決めている訳ではなく、
大筋の方針を決めているだけで、
どのような範囲で保健所が濃厚接触者の認定をするかは、
個々の地区の保健所がそれぞれに決めなさい、
ということを言っているんですね。

従って、それが地区の保健所に下りて来て、
そこでまた議論をして、
それが品川区の場合には、
1月24日と25日付の通知になって、
27日にクリニックに送られて来た、
というのが最初にお話した封書の正体なのです。

従って、今の状況としては、
保健所が認定していない濃厚接触者は、
個々の医療機関の責任で決定して、
行政検査を行って良いのですね。

ただ、
多分この内容はまだしっかりと周知されていないので、
医療機関によっては、
「濃厚接触者は保健所が認定しないと検査は出来ません」
という回答をしてしまうところもあると思いますし、
一般の方も、
「感染者と会食はしたけれど、保健所からは何も連絡はないので、
検査をする必要はなさそうだ」
というような理解をしてしまいがちだと思います。

保健所の判断を待つと共に、
心配であれば行政検査に対応している医療機関に相談する、
というのが現状の正しいあり方であると思います。

②職場復帰目的の遺伝子検査の弊害について
最近経験した事例をご紹介します。
事実を元にしていますが、
守秘義務及び患者の特定を避ける観点から、
細部は事実を変えて記載している部分があることをご了承下さい。

Aさんは30代の会社員で発熱と頭痛で発症。
同日発熱外来を経由してクリニックを受診し、
唾液のRT-PCR検査を施行。
新型コロナウイルス感染症と診断して保健所に届け出をしました。
数日の自宅待機の後に宿泊療養に移行。
発症から10日で隔離期間は終了となりました。

これで職場復帰して何ら問題はなかったのですが、
会社からは規定によって再度RT-PCR検査を受けるように、
という指示が出ます。

それで会社指定の自費検査を受けると、
結果は「感染している疑いがあります」という結果が出ます。

それを会社の産業医をしているクリニックに相談すると、
「これは再び陽性が確認されたのだから、もう一度保健所に届け出をだすべきだ」
と言われ、もう一度保健所に届けが出されたのです。

クリニックに本人から連絡があり、
「この場合また10日間隔離になるんでしょうか?」
と聞かれました。

皆さんはどうお考えになりますか?

勿論そんなことはないのです。

新型コロナウイルス感染症の隔離期間というのは、
敢くまで周囲に感染する可能性のある期間、
ということなので、
隔離期間が終わった後も、
遺伝子検査自体は陽性になる可能性があるのです。

感染拡大の当初は、
そのことがまだ分かっていなかったので、
退院の条件に2回の遺伝子検査をして陰性、
ということを決めていたのですが、
今はそれがナンセンスであることが分かったので、
一定期間が過ぎて症状が改善していれば、
それでOKというように改められたのですね。

Aさんはもう周囲に感染を拡大するリスクはないので、
遺伝子検査が陽性であろうが陰性であろうが、
それが就労に影響することはないのです。
従ってすること自体が無意味なので、
やらないのが正しい判断なのですが、
特に大手企業などの一部で、
以前の退院基準と同じ2回の遺伝子検査を義務化するような、
そうした決まりを作っているところがあるので、
こうしたトラブルが起こるのです。

それで、Aさんには心配は要らないし隔離も不要と説明し、
保健所にも連絡をして、
届け出は出されてしまったけれど、
意味のないものなので然るべく対処してほしい、
というようにお話をしました。

結果として、
無駄な検査で自費検査の会社が潤い、
保健所にも無駄な業務が追加されただけに終わりました。

勿論過剰防衛のような企業の規定が悪いのですが、
退院基準や隔離終了の基準などが頻繁に変更され、
それがしっかりと周知されていない、
という点にも問題があると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(5)  コメント(0) 
前の10件 | - 仕事のこと ブログトップ