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極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2021年2月1日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

今日はいつもの新型コロナウイルス感染症の話です。

クリニックのある品川区においても、
新型コロナウイルスの市中感染が減少していることは、
トレンドとしてはほぼ間違いがないようです。

ただ、おそらく2月中は緊急事態宣言は延長されるでしょうが、
それで一定レベル患者数が減少しても、
解除になればまたすぐに増えることはもう、
火を見るより明らかなことですから、
現行の対策を継続している限り、
そのイタチごっこからすぐに解放されることはないようです。

現状市中感染の拡大から、
多くの高齢者施設や医療機関でクラスターが起こっていて、
こちらが収束するにはもう少し時間は掛かることになりそうです。

それでは幾つかクリニック周辺の話題から、
「今」を見てゆきたいと思います。

➀濃厚接触の調査を縮小、の意味について
クリニックへは1月27日くらいに、
品川区保健所から封書が届いていて、
そこには、「COVID-19行政検査の対象について」という題名がありました。

内容は煎じ詰めれば、
これまで保健所が認定していた濃厚接触者認定の業務を、
一時的に医療機関や検査機関などに移管する、
という趣旨のものです。

1月22日には下記のような報道がありました。

東京都、濃厚接触の調査を縮小 保健所が逼迫、高齢者らを重点 2021年1月22日 22時04分 (共同通信)  東京都は22日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、濃厚接触者などを調べる「積極的疫学調査」の規模を縮小する方針を都内の各保健所に通知した。高齢者など重症化リスクが高い人との関わりを重点的に調査し、全体の規模を縮小。逼迫する保健所の負担を軽減させ、効率的な入院や療養先の調整につなげる狙い。  都によると、調査は医療機関や高齢者施設、障害者施設などが中心となる。飲食店や職場、学校などでの感染は原則として詳しく調べず、各保健所が状況に応じて判断するとしている。

これだけ読んでも何を言っているのかよく分かりませんよね。

少し説明を追加したいと思います。

医療機関から新型コロナウイルス患者の発生届けが出されますよね。
そうすると、保健所は感染の拡大を抑止する目的で、
感染のリスクが高いと想定される「濃厚接触者」を認定し、
14日間の経過観察を指示するとともに、
適宜遺伝子検査の施行を検査センターや医療機関に依頼します。

この場合濃厚接触者の認定は、
保健所によって行われます。

つまり、僕が患者さんの診察をして、
この人は濃厚接触者として検査をしても良いのではないか、
と思っても、
保健所の認定がなければ、
保険を利用しての行政検査の対象にはならない、
自費でなければ検査は出来ない、
ということになるのです。

これが今までのあり方です。

それが年末年始に感染者が急増し、
保健所の業務が逼迫します。

そうなると、
とても全ての事例で濃厚接触者の認定をする、
というような作業が出来なくなるので、
クラスターの発生しているような施設や病院については、
重点的に認定し調査しますが、
一般の住民の市中感染の様なケースでは、
家族くらいは濃厚接触者として認定しますが、
それ以外で職場やプライベートでの接触については、
個々の僕達のような末端の医療機関に任せます、
というのが1月22日の通達の主な意味合いです。

ややこしいのはですね、
都の通達は細かいことを決めている訳ではなく、
大筋の方針を決めているだけで、
どのような範囲で保健所が濃厚接触者の認定をするかは、
個々の地区の保健所がそれぞれに決めなさい、
ということを言っているんですね。

従って、それが地区の保健所に下りて来て、
そこでまた議論をして、
それが品川区の場合には、
1月24日と25日付の通知になって、
27日にクリニックに送られて来た、
というのが最初にお話した封書の正体なのです。

従って、今の状況としては、
保健所が認定していない濃厚接触者は、
個々の医療機関の責任で決定して、
行政検査を行って良いのですね。

ただ、
多分この内容はまだしっかりと周知されていないので、
医療機関によっては、
「濃厚接触者は保健所が認定しないと検査は出来ません」
という回答をしてしまうところもあると思いますし、
一般の方も、
「感染者と会食はしたけれど、保健所からは何も連絡はないので、
検査をする必要はなさそうだ」
というような理解をしてしまいがちだと思います。

保健所の判断を待つと共に、
心配であれば行政検査に対応している医療機関に相談する、
というのが現状の正しいあり方であると思います。

②職場復帰目的の遺伝子検査の弊害について
最近経験した事例をご紹介します。
事実を元にしていますが、
守秘義務及び患者の特定を避ける観点から、
細部は事実を変えて記載している部分があることをご了承下さい。

Aさんは30代の会社員で発熱と頭痛で発症。
同日発熱外来を経由してクリニックを受診し、
唾液のRT-PCR検査を施行。
新型コロナウイルス感染症と診断して保健所に届け出をしました。
数日の自宅待機の後に宿泊療養に移行。
発症から10日で隔離期間は終了となりました。

これで職場復帰して何ら問題はなかったのですが、
会社からは規定によって再度RT-PCR検査を受けるように、
という指示が出ます。

それで会社指定の自費検査を受けると、
結果は「感染している疑いがあります」という結果が出ます。

それを会社の産業医をしているクリニックに相談すると、
「これは再び陽性が確認されたのだから、もう一度保健所に届け出をだすべきだ」
と言われ、もう一度保健所に届けが出されたのです。

クリニックに本人から連絡があり、
「この場合また10日間隔離になるんでしょうか?」
と聞かれました。

皆さんはどうお考えになりますか?

勿論そんなことはないのです。

新型コロナウイルス感染症の隔離期間というのは、
敢くまで周囲に感染する可能性のある期間、
ということなので、
隔離期間が終わった後も、
遺伝子検査自体は陽性になる可能性があるのです。

感染拡大の当初は、
そのことがまだ分かっていなかったので、
退院の条件に2回の遺伝子検査をして陰性、
ということを決めていたのですが、
今はそれがナンセンスであることが分かったので、
一定期間が過ぎて症状が改善していれば、
それでOKというように改められたのですね。

Aさんはもう周囲に感染を拡大するリスクはないので、
遺伝子検査が陽性であろうが陰性であろうが、
それが就労に影響することはないのです。
従ってすること自体が無意味なので、
やらないのが正しい判断なのですが、
特に大手企業などの一部で、
以前の退院基準と同じ2回の遺伝子検査を義務化するような、
そうした決まりを作っているところがあるので、
こうしたトラブルが起こるのです。

それで、Aさんには心配は要らないし隔離も不要と説明し、
保健所にも連絡をして、
届け出は出されてしまったけれど、
意味のないものなので然るべく対処してほしい、
というようにお話をしました。

結果として、
無駄な検査で自費検査の会社が潤い、
保健所にも無駄な業務が追加されただけに終わりました。

勿論過剰防衛のような企業の規定が悪いのですが、
退院基準や隔離終了の基準などが頻繁に変更され、
それがしっかりと周知されていない、
という点にも問題があると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2020年1月18日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はまた新型コロナウイルス関連の現状についての話です。

➀RT-PCR検査が危ない!
先日RT-PCR検査を委託している検査会社の方から、
ショッキングな話を聞きました。

検査に必須の消耗品である、
検体を分注するチップや、
並べるプレートなどが不足しており、
もう既に枯渇してしまって検査の受注を中止している検査センタ-が、
複数あると言うのです。

委託している大手の検査会社では、
どうにか消耗品をかき集めて対応しているのですが、
1月中はどうにか目途が立っているものの、
2月以降の検査が出来るかどうかは、
まだ全く分からないということでした。

消耗品についてはほぼ100%が輸入品であるため、
渡航制限がより厳格化されている現在、
その入手はより困難になっているらしいのです。

同時期に厚労省と都の方からのメール調査があり、
5日程度の期間しかないという非常に余裕のないものでしたが、
委託ではなく自前で可能な、
抗原検査などの件数を報告するように、
というものでした。

これはそうは言わないものの、
RT-PCR検査が早晩実施困難になることを見越して、
対策としての調査であるように思いました。

そんな状況にも関わらず、
数十万人の住民に無作為に検査をする、
というような報道もあり、
それは無尽蔵に検査が可能であれば良いのかも知れませんが、
実際には本当に必要な検査が、
ギリギリの状態で行われていて、
消耗品の枯渇により検査不能になるかも知れない、
という現実があるのです。

皆さんも是非、そのことも頭においた上で、
検査数や住民検査の議論を見るようにして下さい。

②75歳以上の医療は現実壊滅している!
ある都内の救急病院の医師から聞いた話ですが、
その病院ではもうかなり前の時期から、
75歳以上の新型コロナ感染症の重症患者については、
一切挿管はせず、人工呼吸器管理も行っていない、
ということです。

これは臨床的に75歳以上の患者の予後は明らかに悪く、
呼吸器を付けるとその離脱は非常に困難で、
気管切開に至ることが多く、
何とか離脱が出来ても後遺症が残ることが殆ど、
という知見が元になっているようです。

40代から60代くらいまでのお元気な患者さんでは、
積極的に治療が行われて呼吸器管理もするのですが、
75歳以上ではそうした治療は最初から行っていないのです。

極端な言い方をすれば、
75歳以上の患者さんは入院しても自然経過をみているだけで、
積極的な治療は行っていないのです。

これは全ての病院が同じという意味ではありません。
病院により方針には違いがあり、地域性もあるとは思います。
積極的に高齢者の高度医療を行っている医療機関もあるでしょう。
しかし、積極的に行っても、
それほどの予後の改善には結び付いていないということは事実で、
75歳以上に積極的治療はしない、
という方針の病院が増えていることもまた、
事実と考えて良いと思います。

これも先日聞いた話ですが、
ある近隣のグループホーム(高齢者施設)で、
新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生したのですが、
嘱託医は「自分には関係ない」と一切の関与を拒否し、
入所者の入院は全て病院から拒否されたので、
患者をそのまま施設の看護師が、
自宅療養として診ているのが現状であるとのことでした。
施設長はストレスから体調を崩してしまいました。

この話だけを聞くと、
「何故早く入院させてあげないんだ」と思うところですが、
実際には入院をしても75歳以上の場合には、
積極的治療は行われないので、
さほど状況は変わらないのが実状なのです。

問題は従って75歳以上の感染を予防する、
ということ以外に正解はなく、
現状の治療水準で入院ベッドのみを増やしても、
高齢の患者さんの予後改善には、
結び付かないというのが実際なのです。

高齢者の命を守るためにはしたがって、
重症の事例を診られる病床を増やしてもあまり意味はなく、
高齢者のいる家族の1人が感染した時に、
その患者さんを速やかに隔離出来る、
という体制こそが必要なのです。
軽傷者を隔離出来る宿泊料用施設を増やすことの方が、
そのためには遙かに重要なことなのです。

今日は新型コロナウイルス感染症の現在についての話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2020年1月14日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はいつもの感染症情報です。

2020年12月は104例の新型コロナウイルスの遺伝子検査を行い、
陽性者は25名でした。
ほぼ4人に1人が陽性という頻度です。

無症状感染者や味覚嗅覚障害のみと言った、
軽症者が多いのですが、
少数ですが高熱が続いていたり、
強い全身倦怠感や息苦しさを訴える事例もありました。
ただ、入院や宿泊療養となったのは5例のみで、
それも月の前半に集中していました。
月の後半についてはその全てが最初から自宅療養か、
受け入れ先のない自宅待機のまま、
回復まで結果的にそのまま自宅で過ごした、
というケースでした。

70代の男性で癌の治療中という方がいて、
発熱と全身倦怠感で発症。
感染者との接触は不明でしたが、
お店をしているということもあり、
職場や商店街などでの人間関係の中で感染したと推測されました。
現状肺炎や低酸素血症を疑わせるような所見はないのですが、
明らかに高リスクではありますよね。
12月の前半までなら入院か、
少なくとも宿泊療養にはなった事例なのですが、
高リスクで届け出をしたのですが都の審査では却下となり、
高齢の妻との2人暮らしで自宅療養となってしまいました。

届けを出してから6日後に保健所から依頼があって、
胸部レントゲンの撮影依頼であったので、
自宅待機の患者さんに、
他の患者さんがいない時間帯(休憩時間中)に受診をして頂いて、
胸部レントゲンを撮影して、
その後消毒に掛かりました。
レントゲン上は異常はありませんでした。

保健所の方にお聞きすると、
12月の初旬までは症状があって高リスクであれば、
入院治療の適応として問題はなかったのですが、
12月中旬以降は病床の不足が深刻化しているので、
「重症であることが客観的な指標により確認」されないと、
入院適応ではない、という判断になっているようです。

宿泊療養については慢性的に空きがない状態ですから、
結果として明らかな重症、という以外の方は、
殆どの方が実際には家で経過をみている、
というのが実際なのです。

現状一番の問題は、
軽症の方であっても、
発症1週間くらいの時点で呼吸困難を来すなど、
重症化するケースがあることで、
パルスオキシメーターを郵送して、
自宅でその数値をチェックして報告する、
というような対応は行われてはいるものの、
1日に1から2回程度の保健所からの電話連絡だけで、
その重症化の兆候をいち早く発見する、
というのは事実上不可能です。

少し前までは、
症状が悪化時にはすぐに病院受診、
という流れがあったのですが、
現状は病院は手一杯で即日の入院は困難、
という状況があるので、
「重症かどうかも分からないのに、
本人の症状だけで来られては困る」
という意識が強く、
簡単に受診することは難しいのです。

更には病院受診には専用の車を用意しなければならず、
そちらの手配もすくには困難、
という事情もあります。

現状自宅療養をバックアップする仕組みがない以上、
僕のようなクリニックの医者が、
そのサポートをするしかないと、
最近は考えるようになっています。

そのために、
少し前まではクリニックの仕事は、
患者さんを診断して保健所に連絡する、
という時点でほぼ終わり、という認識であったのですが、
現在では必ず検査陽性を伝える時には、
「何かあればクリニックに連絡して下さい」
とお話するようにしています。

保健所からも検査の依頼と共に、
自宅療養中の患者の症状悪化時に、
「レントゲンを撮って肺炎の有無を確認して欲しい」
という依頼が多くなっています。

ただ、検査であれば導線を完全にわけて、
通常の診療と同時に施行することも可能ですが、
レントゲンは新型コロナの患者さん専用にする、
という訳には行きませんから、
診療終了後などにするしかありません。
その後の除菌消毒もしなくてはいけませんし、
小規模のクリニックにとってはかなりハードルが高いのです。

本来はレントゲンで分かる肺炎は結構進行した状態であることが多く、
新型コロナの肺炎の初期像は、
CTでないと確認は困難です。

今後こうした状態が続くのであれば、
日本は小規模の病院レベルでも、
CTの普及率は非常に高く、
クリニックでも健診主体の施設や科によっては、
CTが常備されていますから、
そうした市囲のCTを、
適宜活用出来るような体制作りも必要なのではないかと思います。

個人的な見解としては、
現状の感染拡大は自宅療養の急速な拡大に伴う、
家族内や施設内の二次感染による部分が大きく、
本来は自宅療養での感染対策のサポート体制や、
宿泊療養施設の拡充が、
入院施設の確保と同じくらい重要であった訳ですが、
それがなされないまま感染拡大に至ってしまった現在では、
僕達のような医療機関がその下支えをして、
効果的な施策により感染自体の押さえ込みが、
どうにか成功するまでを、
耐え抜くしかないような気がします。

粘り強く、
今出来ることを探して、
少しでも感染収束に繋げられれば、
それ以上はないという気持ちで、
日々の診療に当たりたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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新型コロナ検査結果取り違え事件顛末 [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

今日は仕事の話です。

あってはならないことですが、
COVID-19のRT-PCR検査で結果の送信ミスがあり、
一昨日から昨日に掛けてはドタバタが続きました。

その経緯を今日はお話します。

以下の内容は基本的に事実ですが、
特定の個人や集団を非難したり攻撃するような意図ではありませんので、
その点はご理解の上お読み下さい。

クリニックでは主に大手の検査会社に、
新型コロナウイルスの遺伝子検査を依頼しています。

集配は1日に一度で、
3重に包装して検体が回収され、
翌日の夕方以降で、
クリニックに検査結果のファックスが送られて来る、
という段取りです。
以前は原則対面で結果をご説明する方針としていましたが、
遠方の方も検査に受診されることが増えたことと、
隔離して診察するスペースの管理の問題から、
現在は結果は電話でお伝えする方針としています。

1月9日の土曜日にもいつも通りに検査を行いました。
午前中の検査の時点では、
通常通り「明日のうちには電話でご連絡します」
とお話をしていましたが、
「待てよ、連休で通常通りの対応が取れるのかしら?」
と不安になりました。

1月3日の検査をした際に、
当然4日の夜には結果が来るものと思って待っていると、
幾ら待っても届かず、
問い合わせをして初めて、
その日はファックス送信が出来ない、
という事情を聞いた、ということがあったからです。

それで検査会社に問い合わせをすると、
「結果が届くのは早くて11日。遅いと12日になるかも知れない」
というビックリするような返事です。

法定の電源設備の1年に一度の点検があり、
それを1月10日に施行予定としているので、
ファックス送信の機能が停止してしまう、
というのです。

腹立たしいのはその点についての事前連絡が、
当日になるまで全くなかったことです。
事前に連絡があれば、その日の検査をなるべく減らしたり、
保健所依頼の緊急事案は他に廻してもらう、
というような対応は出来ましたし、
患者さんにもそのように説明出来たのですが、
もう後の祭りという感じです。

それでどうにか結果だけでも10日のうちに知らせてもらえないか、
というように担当者に掛け合うと、
電話で10日の夕方以降に口頭で連絡することは出来ます、
という返事でした。

10日は日曜日ですが、
レセプト作業がまだ終わっておらず、
1日突貫で仕事をする予定だったので、
それでも良いかと思ったのです。

10日の夜に約束通り電話が来ました。
9日は午前午後含めて11名の患者さん(生後2ヶ月から67歳まで)の検査をして、
そのうちの4名が陽性とのことでした。
電話でその4名の方の名前を教えてもらい、
それから電話を掛け始めました。

まず陰性の人からと思い、
最初の女性に電話を掛けました。
濃厚接触者で10日くらい前から軽い感冒症状があり、
数日前から味覚嗅覚障害が発生した、という事例です。
診察の時点でほぼほぼ感染しているな、という感触があり、
仮に発症から10日とすると、
唾液の検査はもう厳しいと判断して鼻咽頭から検体を採取しました。
それが陰性なので、おや、という感じがしました。
お聞きするとその日も症状は続いている、
というお話です。
これはタイミングで陰性になっただけかも知れないと思い、
12日にもう一度連絡をして、
経過を確認する方針としました。

次の事例も濃厚接触者の女性で、
2人暮らしのパートナーの感染です。
こちらもほぼ無症状で味覚嗅覚障害で発症し、
発症から間もないという事例です。
これもね、経験的にはほぼ間違いなく陽性、
というような感触の事例です。
にも関わらず結果は陰性でした。

おかしいな、と感じました。

濃厚接触者で急性の味覚嗅覚障害でしょ。
それが2例続けて陰性、というのは、
あまりこれまでになかったことです。

先刻の電話で伝えられた結果は、
本当に正しいのだろうか、という疑問を感じました。

それでもう一度検査会社の担当者の携帯に連絡しました。
「夜分遅く申し訳ないのだけれど、
さっきの結果は本当に間違いないのだろうか?
ひょっとして陰性と陽性が逆、ということはないよね?」
と聞くと、
手元にはエクセルに記載されたデータの一部があり、
陽性は黄色で印字されているので、
その名前には間違いはない、という返事です。

そうか、それなら…と思い、
電話を掛け続けました。

陽性であった事例の1人は10歳の小学生で、
前日からの高熱と寒気のケースでした。
診察時には寝ていないとつらい、というような状態です。
ただ、咽頭所見は典型的ではなく、
周辺での感染事例もなし。
学校や家庭でも他に感染症状のある人はいません。

電話をして状態をお母さんにお聞きすると、
「今日はもう熱も下がってけろっとしています」
という返事です。

これも「おやっ」と思いました。

新型コロナで夜だけの発熱が続いたり、
熱の変動の大きな事例は結構あるのですね。
咽頭所見としては、
扁桃の腫大やリンパ濾胞の腫脹は目立たず、
咽頭後壁のみ真っ赤になっている、
というのが比較的特徴的な所見です。

1日のみの子供の高熱で、
翌日にはけろっとしているというのは、
新型コロナではない子供の風邪に、
その時比較的特徴的な所見でしたから、
経験的な勘というか印象としては、
「これはただの風邪」というものでした。

それでも、2度確認して結果には間違いない、と言うのですから、
これはもう信じるしかありません。
4名の感染者を含む11人全員に連絡を取り、
4名の発生届けを保健所に提出して、
電話での連絡を終えました。

翌日11日は極力家でゆっくりしたい、
という希望を持っていましたが、
結果の正式なファックスが届く筈なので、
その突き合わせだけは早くしたいと思い、
朝から検査会社に確認の電話を入れました。

すると…

問い合わせから2時間くらい経って連絡があり、
結果が間違っていた、という、
そうかも知れないな、と思いながらも、
そうあっては欲しくなかった事実が告げられました。

10日に陽性とされた4名のうち、
実際に陽性であったのは1名のみで、
他の3名は実際には陰性。
そして、味覚嗅覚障害で陰性とされた2名を含む、
別の3名が実際には陽性であった、というのです。

何故そんなあってはならないことが起こったのか、
というと、
データはエクセルで管理されていて、
通常入力後自動的にファックス送信となる場合には、
そこに人の手は加わらないのですが、
今回はファックス送信のシステムが点検で使えないので、
エクセルのデータをそのまま送信したのです。
その際検体に付けられた、営業所用の番号順に、
データを並び替えた時に、
陰性、陽性の表示の列が、
人為的ミスで並び替えられなかったので、
結果がバラバラになってしまったのです。

そんなことが起こり得るのだろうか、
と思いましたが、それが事実だったのです。

すぐにクリニックに向かい、
届いていたファックスを元にして善後策を練りました。

まず保健所に連絡をして、
10日に出した4人の発生届けのうち、
3人分を取り下げました。
そのうちの3名は既に保健所からの連絡が入っていました。
それから陽性と連絡して実際は陰性であった3名と、
陰性と連絡して実際は陽性であった3名に、
それぞれ電話をして結果を説明して謝罪し、
3名分の発生届けを再び提出しました。

検査会社の営業所の責任者と検査の責任者を呼び出し、
一緒に間違いのあった6人の自宅を廻りました。
結果の報告書を手渡しし、
同道した検査の責任者に説明と謝罪を再度してもらいました。

全て終わった時にはもう日は暮れていました。

今回の反省点としては、
矢張り重要な検査データは正式な形でもらうべきで、
イレギュラーな報告は大事なデータでは求めるべきではない、
ということです。
それから臨床の勘というものは馬鹿にするものではなく、
データが診察上の直感と明らかに乖離している時は、
データの信頼性について、
患者さんに説明して取り返しがつかなくなる前に、
しつこく検討する必要があるということです。

一歩間違えればもっと大事になりかねなかった事例であり、
今後も慎重に慎重を重ねつつ、
疲れた身体に鞭打って診療に当たりたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2020年1月4日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日までクリニックは年末年始の休診です。
明日からは通常通りの診療になります。

今日はまた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診療についての話です。

昨日は午前中発熱外来でクリニックを開けましたが、
結局連絡があって受診されたのは2名のみでした。

どうも無理して三が日に診療をした割には、
あまりお役には立てなかったようです。

年末の1300人以上という数字は非常にショッキングでしたが、
その内訳は実際のところどうなのか、
地域的な偏りがどの程度あるのか、
自費検査の分がどの程度乗っかっているのか、
など、その詳細を知りたいところです。

年末年始の診療をしていてのこの閑散とした状況からは、
緊急事態宣言も間近、というようなニュースは、
どうも実感を持って感じることが出来ません。

落ち着いているようで、
一部の病院には患者さんが殺到しているのでしょうか?

仮にそうだとすれば、
軽症の方は幾らでも廻して頂いて良いのですから、
もっと効率的な診療が、
出来るような体制を何とか整備して欲しいものです。

幾つか最近印象的だった事例の話をします。
実際の事例を元にしていますが、
守秘義務及び個人の特定を避ける観点から、
敢えて事実を変えて記載している部分のあることを、
予めお断りしておきます。

1例目は近隣のあるお寺のお坊さんなのですが、
僧房で集団生活をしていたのですね。
その中の1人が持病を持っていて、
その持病のために総合病院に入院したのですが、
その病院で新型コロナウイルス感染症の院内感染が発生。
それから数日して、その人は、もう入院は続けられないと、
強制退院のような形になったのです。
その時点で発熱などの症状はなかったのですが、
退院となって2日後に発熱。
発熱外来を経由しての検査でその人の陽性が確認され、
一緒に生活していた10人以上が濃厚接触者と認定。
結果としてクリニックで検査をしたお坊さんを含めて、
5人以上がお寺で感染してしまうという、
クラスターになってしまったのです。

クリニック目線で考えると、
いきなり退院にするのではなく、
一定期間は隔離にするなど、
もう少し配慮があるべきではなかったかしら、
というようには思うのですが、
病院としてはそれどころではないですし、
ともかく感染していない(と思われる)患者さんを、
一刻も早く病院の外に出そう、
という考えが先行したのだと思います。

クリニック、家庭、保健所、病院と、
それぞれの認識に違いがあり、
それぞれに疲弊してくると、
結局は自分のところから、
自分の責任の及ぶところから、
新型コロナの患者さんを早く手放したい、
という思いが先行してしまい、
こうした事例が多くなるように思います。

ここにも患者数急拡大の1つの要因がありそうです。

2例目は知的障害のある30代の男性ですが、
37度代後半の発熱と咳、胸の痛みを主訴にして、
近隣の救急指定病院を受診。
すぐに採血とRT-PCR検査、胸部CTまで検査をしましたが、
CTで肺炎像はなくPCR検査は陰性であったので、
咳止めなどが対処療法として処方され、
経過をみる方針となりました。
ただ、ご本人も付き添いの母親も、ちょっと癖のある人で、
その診断をあまり信用せず、
今度は別の内科を再び受診し、
診察のみを受けて抗菌剤などの処方を受けました。
それから一週間が経ちましたが、
微熱は続き体調はあまり改善しません。
それでその患者さんは再び母親と一緒に、
クリニックを受診されました。
他の病院でも同じだったと思うのですが、
全く事前の連絡なく、いきなり受診をされて、
「具合が悪い。熱がある。胸が苦しい」と言われるのです。
正直困りました。
診察をお断りすることは出来ないのですが、
他の熱のない患者さんと一緒にお待たせする訳にはゆきません。
いつも別室で診察をする手はずにしているのですが、
時間で予約して調整しているので、
飛び込みでそうした方が来られると、
調整がつかなくなってしまうのです。
仕方なく一旦その2人を別室に案内し、
時間通りに来た濃厚接触者の方を、
しばらく外でお待たせすることになってしまいました。

拝見すると診察上は呼吸状態を含めて、
大きな異常はありません。
ただ、微熱は続いていて、
胸が苦しいとも言われているので、
このまま帰ってもらう、という訳にもゆきません。

これまでの経緯を考えれば、
最初に受診した救急病院で、
CTなども撮っているのですから、
そこでもう一度問題がないか確認をしてもらうのが、
適切ではないかと考えました。

それでその救急病院に連絡して、
担当した医師に相談すると、
「あの症状はメンタルなのだから、
これ以上検査をしても意味がない。
CTは月に2回撮ると保険で通らないので出来ない」
と剣もほろろの対応でした。

仕方なく午前中の患者さんが終わるのを待って、
胸部レントゲンと採血をして、
いずれも問題はなかったので、
PCR検査の再検はせず、様子をみてもらう方針としました。

勿論救急病院の初診の判断としては、
検査も異常はなかったので経過観察で良いと思うのですが、
1週間も微熱が続いていることは客観的事実なので、
勿論精神的な要因かも知れませんが、
知的障害があるから症状はメンタル、
というのは疑問ですし、
1週間前の検査が異常がなかったからと言って、
今も異常がないとは言い切れないのですから、
もう一度診療してくれても良いのではないかしら、
というのは強く思った事例でした。

いずれにしても医療機関や担当部署のいずれもが、
疲弊してほころびが出て、
連携も上手くいっていないので、
その狭間で患者さんや感染者が放置され、
その間に感染が拡大する、という悪循環が、
おそらく現状の本質ではないかという気がします。

明日からまたどのような展開が待っているかは分かりませんが、
状況を見つつ自分に出来ることを、
日々やっているより他はないように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2020年12月31日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は大晦日でクリニックは休診です。

今年の締めはどうしようかと考えましたが、
矢張り新型コロナウイルス感染症の話で、
終わることにしました。

通常診療最終日の12月28日は、
15名のRT-PCR検査を施行しました。
結果は12月29日の夕方までに出る筈でしたが、
例によって遅れてしまい、
午後6時になってもファックスが届きません。
業界大手の検査会社に連絡すると、
「6時半くらいには検査が終わる予定です」
という返事だったので、
7時まで待っていましたが、
うんともすんとも、
ファックスの届く気配はありません。
その間にも、心配をされた患者さんからの電話が、
ひっきりなしに掛かって来ます。
それで再度問い合わせをすると、
「結果は出ているが、ファックスの送信に時間が掛かっている」
と言うので、
「どのくらい掛かりますか?」
と聞くと、
「1時間半以内には」
と言われたので、
呆然としました。

このところ、
翌日の3時半くらいには結果が来ることが多かったので、
少し安心して油断していたのですが、
そう甘くはなかったようです。

結局午後8時半にファックスが来て、
それから1人ずつ15名に電話で結果を説明して、
陽性であった5名については保健所に連絡をしました。
届出はプライバシーに配慮したものをファックスして、
それから担当者から電話を受けて,
その時に詳細を説明する、
という仕組みです。

そうした段取りがすべて終わったのは、
午後10 時半を廻っていました。

12月29日はクリニック自体は休診でしたが、
午後から都の要請による発熱外来を開きました。
通常の診療ではなく、
保健所や医師会からの依頼による、
発熱や新型コロナ疑いの患者さんのみ、
時間を決めて受け付けるというものです。
一般の患者さんと時間を分けて診療できるので、
効率的ではあるのですが、
毎日これをしていれば、
こちらが過労で死にます。
まあ、ギリギリのところです。

ただ、この日は近隣でも診療をしている医療機関が多く、
4人の診療とRT-PCR検査をしただけでした。
結果的には、これならやらなくても良かったかしら、
という感じでした。
医療リソースの効率的な運用というのは、
実際にはなかなか難しいものであるようです。
それでも12月30日の夜には、
検査結果を説明しないといけないので、
クリニックでその対応に当たりました。
4人のうち1名は陽性でした。
このところは、全員陰性という日はありません。

現状の大きな問題は、
医療リソースがもうギリギリのところで、
僕のような初期診療と検査をするクリニックと、
届け出を受け付けて入院などの割り振りと経過観察、
連絡などの業務を一手に引き受けている保健所、
入院患者を受け付ける病院の間の連携に綻びが出て、
互いに疲弊して不満もたまっているということです。

保健所の担当者の方から先日お聞きしたところでは、
最近入院患者を受け入れている病院からは、
本来入院の適応ではない軽症者ばかりが、
入院してしまい、
貴重なベッドが適切に運用されていない、
という怒りの声がしきりに上がっている、
ということでした。

これはね、たとえば殆ど検査のみをしているクリニックがあるでしょ。
もともと検査も郵送で唾液を送るだけで、
陽性になってもウェブ診察だけをして、
これはもう実際には診察というものではなく、
ただ、保健所に届け出をするために、
ちょっと話を聞くというだけなんですね。
保健所は電話で話を聞くだけですから、
結局誰もその患者の診察をしていないし、
客観的な情報も持っていない、
ということになるのですが、
それでもその患者さんの入院や宿泊療養の振り分けを、
保健所が電話のみでしないといけない、
というのが非常な問題で、
冷静に考えれば、そんなの無理なんですよね。

実際にそれで起こっていることは何かと言えば、
軽症で何の問題もない患者さんが、
テレビで急死した代議士のニュースなどを見て、
「こりゃ入院させてもらわないと大変だ」
というように思うんですね。
そう思えば胸も苦しいような気分になるでしょ。
それで保健所の電話に、
「胸が苦しくなって来た。早く入院させてくれ!」
と騒げば、入院にするしかないですよね。
それで送迎車を用意して入院となると、
本人は何の症状もなくケロッとしている、
ということが沢山起こっているのです。

これはね、簡単に解決出来る問題ではないんですね。

今年の春ぐらいの時には、
入院を受け持つ病院が、
患者さんの初期診療と振り分けも引き受けていたので、
疑いのある患者さんをクリニックから紹介するでしょ、
受診するとすぐにRT-PCR検査も胸部CTも採血も、
もうすぐにセットでやるんですね。
やや過剰検査と思われなくもありませんが、
それである程度患者さんの状態は判断出来るので、
最初期は陽性であればすべて入院ですし、
その後は入院か宿泊療養の2択ですよね。
とてもクリアなんですよ。

ただ、それがもう今は駄目なんですね。
入院は重症化しているか、
そのリスクの高い患者さんのみにしないと、
貴重な入院ベッドがすぐに枯渇するでしょ。
多くの患者さんでその選別を、
ほぼ電話の聞き取りだけでしないといけない、
というのが現状なんですね。

医療に対して悪意のある一般の方は、
「すべてのクリニックで患者を診れば、
それで解決じゃないか、医者がもっと働けばいいんだ!」
みたいなことを悪し様に言いますよね。
これはものが感染症でなければそれで済むんですよ。
でも敵は感染症なんですよ。
それも院内感染などすると、
簡単に100人規模のクラスターになるでしょ。
そう簡単じゃないんですよ。

医療体制を今のままで持続するためには、
トータルな医療リソースの中で、
ある程度低い比率で感染症を診るのでないと、
これはもう成立しないんですね。

成立させるためには、
割り切って軽症の患者の振り分けをするための、
大規模な医療施設を造らないと駄目ですよ。
つまり、今の体制を抜本的に変えないと無理なんですよ。
そんなことはそう簡単に出来ないでしょ。
今の体制のまま継続するには、
感染者の数を物理的にもっと抑え込まないと無理なんですよ。
それがまあロックダウンのような思想で、
そうするか医療提供体制を抜本的に変えるかの二択が、
今決断を迫られている、というのが現状なのだと思います。

すいません。
ちょっと話の論理が乱れ気味になりました。
この問題はまたもう少し整理して、
記事にしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い大晦日をお過ごし下さい。

来年は良い年でありたいですね。

今年1年お読み頂きありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。

石原がお送りしました。
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極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2020年12月26日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも須田医師が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。

今日はいつもの身辺雑記的話題です。

東京での新型コロナウイルス感染症の拡大が止まりません。

昨日はクリニックは休診でしたが、
一昨日のRT-PCR検査の結果が、
今どきどうして…という感じですが、
ファックスで送られて来るので、
それを確認して、
患者さんに連絡を入れ、
それから陽性者については保健所に届け出をしました。

品川区の保健所は、
30名の担当者が24時間体制で動いていて、
夜間帯も15名の職員が対応に当たっています。

聞き取りをしていても、
「何の権利があってお前はそんなことを言うんだ!」
みたいな人がいるでしょ。
本当に大変だと思います。

1昨日の検査は3分の2が陽性でした。

こんな感じの陽性率が連日続いていますから、
これはもう治まる訳がないですね。

目立っているのは矢張り家庭内感染と職場での感染で、
職場から家族へ、というルートが、
感染急拡大の1つの典型になっている、
という気がします。

職場での感染は、
今はもう本当に「何処で感染したか分からない」
というようなケースが多いのが特徴です。
デスクワークでマスクは常時していて会話はしていて、
原則複数で食事はしていない、
というような状況でも実際に感染は拡大しています。
それが家庭に流入して、
2倍、3倍にすぐなってしまう、という構図です。

尾身先生は家庭内感染より、
会食での感染を重視されていて、
いつも気を緩めずに会食を避けて、
と言われているのですが、
勿論その趣旨は理解しているつもりですし、
正しいとは思う一方で、
現場の皮膚感覚としては、
最近は会食などしていない人に、
感染が広がっているという事例を多く経験しているので、
実体は少し違っているのではないか、
という思いもしています。

会食による感染の予防も重要な一方で、
家庭内感染の抑止も、
矢張り重要な要素ではないでしょうか?

会食を止めよう、飲食店の営業時間を制限しよう、
という方向での対策は、呼びかけも含めて行われていますが、
家庭内感染の抑止という面では、
分かりやすいメッセージは発せられておらず、
対策も取られていない、という気がするからです。

現状家庭内感染が増えている原因には、
家族で感染者が出た場合に、
本来は宿泊療養や入院の適応であるのに、
空きがないので自宅療養になってしまっている、
というケースが多いという点が大きいと思います。

この1週間だけでも5例くらいそうしたケースを経験しています。

もう軽症者は自宅療養、という方針に切り替えるのではあれば、
そこに手厚く人員や予算を配分し、
自宅療養中の感染拡大を防ぐ対策が、
もっと積極的に行われる必要があるのではないでしょうか?

日本でのしっかりしたデータがないので、
推測にしか過ぎないのですが、
先日ご紹介した家庭内感染のメタ解析の数値より、
日本の今の家族内感染率は遥かに高いように、
現場での感覚としては思うからです。

それからここ数日目立っているのが、
某新橋辺りにあるPCRセンターと称する場所からの、
陽性事例の再検依頼です。

これは市町村毎の方針があるのだと思いますが、
現状品川区においては、
PCRセンターなどで受けた自費検査で、
陽性もしくはその疑いという結果が出て、
その本人から保健所に問い合わせがあった場合、
医療機関での再検査は公費を使用して問題ない、
行政検査として問題ない、
という方針になっています。

つまり、COCOAでの陽性と同じ扱いということです。

ただ、あの検査センターと称するところはですね、
結果も「陽性」という記述ではなくて、
「感染の疑いがあるので、医療機関を受診してください」
というような文言になっているのですね。
それで、かかりつけ医がいれば、
それで相談をして下さい、
全くないという場合にはこちらでも斡旋をすることがあります、
というような対応であるようです。
こちらへはね、
紹介状の1通も、検査データの報告も、
何もないのですね。

やりっぱなしで自己責任というのは、
それはちょっとあまりに無責任で酷いのじゃないかしら。

これね、無症状であることが前提の検査でしょ。
要するに無症状の一般住民の、
RT-PCR検査のみの陽性者、
無症状性感染者をあぶりだすための検査、
と言ってもいい性質のものですね。

ただ、無症状で検査のみ陽性、という人が、
実際にどのような人なのか、
ということがしっかりと分かっている訳ではないのですね。

その中には本物の無症状の感染者もいるでしょうが、
もう病気としては治っていて、
PCRの陽性のみが続いている、という人もいますよね。
偽陽性もありますし、
中には慢性的に陽性になっている、
というケースも否定はできません。

現状無症状感染者は、
陽性となった検査施行時から、
10日間の隔離ということになっています。

ただ、これはクラスターなどで、
有症状の感染者から感染した場合を、
想定している措置ですよね。

バカバカ無症状者に検査をやりまくって、
陽性になった人を対象としている方針ではなくて、
そうした場合にどうするべきかは、
議論して決めないといけない事項です。

それが決まっていなくて、
通常の感染者と同じ扱いで、
この自費検査の陽性者が急増している、
という点が臨床的には大きな問題です。

要するにこうした大規模検査というのは、
事後措置とセットで決めないといけないのですね。
検査だけやりました、ニーズがあるので、
というように検査母体の企業の方はそう思われていて、
社会貢献をされているつもりなのかも知れませんが、
それは違うと思うんですよ。
結果的に僕のようなクリニックの業務も圧迫しているし、
保健所の業務も圧迫しているんですよ。
それを理解してほしいな、というように思います。

要はね、陽性者の隔離施設も同時に建設して、
検査とその運用を同時に行うようなやり方であれば、
それはもう大賛成ですし、
そこで取られたデータを、
今後の研究に活かすことが出来れば一石三鳥だと思うのです。
陽性者は検体を取って、
ウイルスの遺伝子解析も行えばよいと思うんです。
勿論多方面にしっかり許可は取って頂いて、
そこまでやればこれはもう日本人のみならず、
人類に対しても偉大な貢献ではないでしょうか?

今やっていることはそうじゃないんですよ。
やりっぱなしで医療機関への紹介も何もないんですよ。
自己責任で適当にやってくれ、というだけなんですね。
それではもう、ただ有害であるだけのように思います。

ただ愚痴ってもそれまでですし、
この自費検査の分がですね、
数100人とかそれ以上という規模で、
感染者に上乗せされていくのですね。

想像するだけで憂鬱になるような話です。

それでもまあ、やれることをやるしかないですし、
腰も痛くて満身創痍の感じですが、
何とか乗り切りたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2020年12月18日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
産業医活動や検診などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日は新型コロナウイルス感染症を巡る現状です。

東京では感染拡大が止まりません。

現状の感染拡大の意味合いは、
個人的な見解としては、
家族内感染が拡大している、
ということと同じであると思います。

家族内感染が止まらないのです。

これは正直当たり前のことで、
現状家族内感染を防ぐための対策が、
全く行われてはいないからです。

東京都の統計をみますと、
宿泊療養より自宅療養の方がずっと多くなっていて、
自宅療養は1200人を超えています。

問題はこの自宅療養の内容だと思うのですね。

個々の事例のお話しを聞いているとですね、
少なくともクリニックのある品川区において、
自宅療養が積極的に選択されている、
というような現状はないのですね。

同居者がいれば、
基本的には軽症でも宿泊療養が選択されるのですが、
結局空きがないと「待機」ということになるのです。
「待機」になるとどうなるのかと言うと、
毎日保健所から電話連絡はあり、
「体調はどうですか?」というような質問はあるのですが、
それ以外は医療もケアも何もありません。
感染予防のために何かの措置が取られる、
というようなこともありません。

そのうちに軽症者であれば症状は改善するので、
「今から宿泊施設に行っても意味がないですね」ということになり、
患者さん本人も勿論希望はしませんから、
そのまま何となく自宅で経過をみることになってしまいます。

これが、「自宅療養」と言われるものの実態であると、
現状を見る限りは思います。

「家族全滅」というケースが、
クリニックで関わった中では3軒ほどありました。
(守秘義務および患者の特定を避ける観点から、
一部は事実と異なる記載をしている部分があります。
ご理解下さい)

1例は高齢の両親と娘さんという3人家族で、
都営住宅に入居をされていた方です。
まず母親に軽い咳やだるさが出現。
それでも軽症であったので、
夫を連れてあちこちの医療機関を受診していました。
数日して今度は父親が咳込みと発熱の症状あり。
高熱になったため、
インフルエンザと新型コロナの遺伝子検査をして、
2日後に新型コロナウイルス感染症と診断されました。
同じ日に別の医療機関で母親も検査を受け、
こちらも新型コロナウイルス感染症と診断されます。
その時点では娘さんは無症状であったのですが、
数日後に咳や熱などの症状が出現しています。
この事例は高齢の夫婦の感染は、
阻止することは困難であったと思われますが、
もっと早期に適切なアドバイスがなされ、
迅速に入院が可能であれば、
娘さんへの感染は防がれたのではないか、
と思われたケースです。

もう1つの事例は50代の夫婦と、
10代の娘と息子4人の家族のケースですが、
娘さんの高校の部活でクラスターが発生し、
濃厚接触者として自宅待機になります。
その時点で一度RT-PCR検査が施行されて陰性でした。
ところが、陰性が判明した2日目に娘は発熱し、
その翌日に行われたRT-PCR検査で陽性が判明します。
自宅待機になってから陽性が判明するまでに、
5日が経過していて、
特に陰性が確認されてから2日は、
娘は自由に活動していました。
それから五月雨的に他の家族が発熱や下痢、
だるさなどの症状呈し、
次々と検査で陽性が判明しました。
この事例は濃厚接触者の管理の難しさを実感させるものです。
クラスター発生で濃厚接触者を認定して隔離して、
その隔離が適切に行われていれば、
有効性があるのですが、
結局行われていることは「自宅待機」で、
それで検査で陰性とされれば、
「もう大丈夫」と絶対思うでしょ。
いくら「2週間は注意して」と言っても、
それは人間の心理的に困難であると思うのです。

要するに、現状家庭がブラックボックス化していて、
そこに1000人以上の感染者が待機しているのです。
それがすぐに2倍になり3倍になりますよね。
500人が1000人に増え、1500人になっても、
全然おかしくありません。
いやむしろそうなるのが必然です。

ここからはもう2択で、
早期の隔離をして家族内感染を拡大しないために、
宿泊療養を今の3倍くらいにどうにかして拡充するか、
それとも何もしないで放置して、
「ステイホーム」、要するに家庭の感染を外には出すな、
という対策のみを行い、
一旦拡大した感染が、
自然におさまるのを待つのかの選択です。
家庭内感染を阻止するために、
専門のスタッフを大幅に増員して、
定期的に家庭を巡回して指導を行う、
というのもオプションとしてはありますが、
今はもうそのタイミングは逸したと思います。

現状は後者の選択肢が選ばれているのだと、
今の情報を見る限りは理解しているので、
これはもう感染の数倍の拡大を、
一旦は覚悟して対処するより他はないようです。

個人的には日々の仕事をこなしつつ、
少しでも検査結果を迅速に患者さんに届けられるように、
また家族内感染のリスクを減らし、
患者さんの自宅療養での不安を、
少しでも和らげられるような対応に、
微力ながら尽くしたいとは思っています。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2020年12月9日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後はレセプト作業の予定です。

今日はちょっと限界という感じで、
正直もう無事に1日を送れそうな気がしません。

少々愚痴のような話題になることをお許し下さい。

体調がまず非常に悪いのです。
感染ではないのですが腰痛が悪化していて、
集団のインフルエンザ接種とか、
老人ホームやグループホームでの診察などがあると、
急激に悪化します。
今も痛くてたまりません。

昨日も結果が出次第、患者さんに連絡する予定で、
午後5時からPCR検査の結果のファックスを待っていたのですが、
午後8時になっても結果が来ません。
嫌な予感がして、
片端から検査会社の電話を掛けまくって、
漸く当直のような人につないでもらったのですが、
「今出力中のようです」のような返答です。
5時には来る結果が8時になっても来ないのですから、
連絡くらいしてくれてもいいでしょ。
何もないんですよね。
結局大騒ぎをして午後9時過ぎには結果が届いて、
それから患者さんにはお伝えしました。

他の検査会社の話を聞きますとね、
検査翌日の昼には大体結果が届いているんですね。
「何で遅いの?早くする方法はないの?」
と聞いても何の答えもありません。
行政検査なので検査代も高いんですね。
公費の時は良いのですが自費だと困ります。
検査が高いのは、仕方のない部分もあるんですよね。
保険点数として価格を決めているので、
それを下回ることが出来ないという理屈なのです。
医療機関が儲けているという訳ではなんですよ。
検査代をうちは請求されているだけなのです。
でもね、これだけ安い検査が沢山流通していて、
勿論精度管理はしっかりしているとしても、
やること自体は同じでしょ。
検査会社は明らかに相当儲けている訳ですよね。
間違いなくそうでしょ。
それなら、もう少しその利益で、
配送のスタッフを増やしたりして、
結果が出るまでのタイムラグを、
もっと短縮してくれてもいいのではないでしょうか?

通常なら会社自体の利益優先でもいいと思いますが、
ある意味今は「非常時」でしょ。
PCR検査の結果がどれだけ早く出せるかで、
感染予防効果が違うんですよね。
これは論文もありましたよね。
以前ブログでも紹介しましたが、
介護施設のような感染リスクの高い集団では、
1週間に一度全員検査を行なって、
結果は数時間以内に出るようであれば、
感染防御効果が期待できるんですね。
それが1日掛かるようだと、
もう統計的には予防効果は証明されないんですね。

こうした場合の時間は、
それだけ重要なんですよ。

そんなことは百も承知の筈なのに、
何で対策はしないのかしら。

本当に本当に、嫌になってしまいます。

①当院のRT-PCR検査陽性率
大したことのない底辺の医療機関の記録ですが、
一応まとめておきます。

今年の6月までの期間においては、
原則としてRT-PCR検査は保健所や公的検査機関のみで、
行なわれていました。
その後各地域でPCRセンターが開設され、
クリニックなどの一般医療機関においても、
唾液のRT-PCR検査の施行が認められるようになりました。
現在では感染防御の上、
鼻腔からの検体採取も認められるようになっています。

クリニックでは7月の初めから都と集合契約を結び、
唾液のPCR検査を開始しました。
今では必要に応じて鼻腔の検査も行っています。

7月から11月の末までに、
行政検査として269名のRT-PCR検査を施行。
陽性者は27名で、
トータルな陽性率は10.0%です。

内訳としてみると、
7月の陽性率が12.5%、
8月は8.0%、9月は78件と最も検査数は多かったのですが、
陽性は2件のみで陽性率は2.6%でした。

それが10月は18.6%が陽性、11月は16.3%が陽性となっています。

これだけを見ても、
7月で鎮静化した感染が、
10月から持ち上がって、
それ以前を超える感染拡大につながっていることが分かります。

②「民間検査」と称するものについて
「民間検査」と言う言葉はテレビのニュースで知りました。
保健所が感染を確認する「行政検査」と対比する意味合いだと思います。

面白い用語を考案するものです。

当クリニックでは、
基本的に集合契約に基づいて、
「行政検査」のみを行なっています。
これは症状があって新型コロナウイルス感染症を疑うケース、
COCOAのアプリでの接触確認を含めて、
感染者との濃厚接触が疑われるケースで行なうもので、
全くの無症状で感染機会のはっきりしない時に、
「安心のために」行う検査は含まれていません。

行政検査は公費となるので検査自体は無料で、
医療機関の場合診察料などは掛かります。

これは管轄は厚労省になる訳です。

その一方でRT-PCR検査自体は、
行政検査以外でも行うことが出来、
必ずしも医療機関でなくても施行が可能です。

これは当初は海外渡航の必要なビジネスマンなどが、
「PCR検査の陰性証明」が、
渡航のために必要であることから、
経産省の意向により始められたものです。

こうした検査をする検査機関を、
経産省は招聘し募っていたという経緯があり、
僕が知っている小規模の検査会社も、
説明会などで強く施行を求められたので、
「仕方なくやることになった」と言っていました。

これが敢くまで渡航のための検査に限られているのであれば、
それで何の問題もなかったのですが、
実際には国内の帰省などでも検査をしたり、
スポーツやエンタメの団体などが、
興行のために全員に検査をしたり、
というようなことになってくると、
当初の思惑を離れて、
「商売としての民間検査」がはびこるようになって、
そこには利益優先の悪質な業者もあり、
ダンピング的な低価格競争もあったりして、
当初の健全な目的からは、
かなり離れてしまっているのが実際だと思います。

本来は民間検査の精度管理は、
行政検査と同じ水準で行われるべきものですが、
実際にはそうした検査なりチェックが行われている、
ということは全くなく、
検査のレベルは検査会社の自主性に、
任せられているのが実際です。
仮に利益優先の会社があるとすれば、
そんな管理にお金を掛ける訳がないですよね。

ただ、最初にも書いたのですが、
推奨出来ない「民間検査」の方が、
データが早く届くなどサービスは良いのですね。
クリニックで契約している大手の検査会社は、
グズグズ対応なのですね。
これを何とかしないと「行政検査」の方がいい、
というようには言い切れないですよ。

クリニックの近隣ではですね、
明らかにお金儲けの施設があって、
「PCR検査即日可能!」とかと宣伝しているのですね。
それはそれで問題だし、
テレビで大宣伝しているようなところも問題だと思いますが、
その一方でね、
通常の医療機関が、
「民間検査」を自費で行なっているケースも多いのですね。
本来は診療をしているのであれば、
行政検査をして、
その結果にも責任を持つべきでしょ。
基本的に「発熱者やコロナの疑いの人は受診お断り」
と言っていて、
それで「安心のための検査は自費でどうぞ」
というのは何か矛盾している行為のように、
思ってしまいます。

③もう症状では全然新型コロナは分からない、ということ
はっきり扁桃炎があったら、
それはコロナではない、
と断言をされている先生がいたんですね。
これは事実なのですが、
今はそれは通用しないというのが、
臨床での実感です。

実例がありましてね、
1人の方は咽頭痛と発熱があって、
夜だけ上がる、という症状だったのですね。
それで休日診療所を受診して診察を受けたのですが、
担当医はのどを診察して、
「これは扁桃炎だからコロナじゃないよ。検査は要らない」
と言って帰したんですね。
翌日咽頭痛が強いということでクリニックを受診されて、
RT-PCR検査の結果は陽性でした。

もう1つの例は咽頭痛があって、
2か所の耳鼻科と1か所の内科で、
いずれも扁桃炎ということで診断されたのですね。
それが治りが悪いということで受診をされて、
矢張りPCRは陽性でした。
ただ、この話には続きがあって、
熱は下がったので入院ではなく、
自宅療養の方針となって、
観察期間が終了したのですが、
その翌日に高熱になったのですね。
その人にはかかりつけ医がいたのですが、
連絡をすると、
「コロナと診断された人は来てもらっては困る」と、
受診を断られたので、
それでクリニックに連絡があったのです。

正直診察するのは嫌だな、
とは思ったのですが、
誰も診ないというのなら、診るしかないですよね。
診察したら、扁桃周囲炎でパンパンに腫れているんですね。
あちこちに掛け合って、
コロナ外来を経由して入院となりました。

これはおそらく扁桃炎の原因自体はコロナではないと思うのですね。
合併例で、重症化した、ということだと思います。

新型コロナの症状が出てから9日以降で無症状であれば、
もう周囲への感染はしない、
と言うこと自体はほぼ事実と信じていいと思うのですが、
実際には症状がいつ出現したのか、
分からないケースが多いんですね。

そこで対応を誤ると、
結局感染を広げてしまうことになるでしょ。

難しいですね。

扁桃炎で複数の医療機関を受診した事例などは、
途中で何処かでコロナをもらった、
という可能性も高いと思うのですね。

今は症状から新型コロナの判定は出来ない、
疑ったらすぐ検査するしかない、
というのが僕にっての経験的事実です。

今日は新型コロナを巡ってのあれこれをお届けしました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2020年12月6日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
レセプト作業などして過ごす予定です。

ちょっと混沌としていまね。

クリニックでも毎日COVID-19の診断のために、
RT-PCR検査をしていますが、
その多くが最近は家族内感染の事例です。

数日前の事例でお話ししますと、
息子さんが高熱と咽頭痛で発症したのですが、
休日診療所を受診して、
「咽頭の発赤が強いのでコロナではない」
と断言されてアセトアミノフェンだけが処方されたのですね。
それから数日熱が下がらなくて、
保健所経由でPCRセンターで検査をして、
陽性が確定したのですが、
その時点で5人家族が一緒に暮らしていて、
発熱者を1週間くらい自宅で診ていたのですね。
都の審査によって入院という判断になったのですが、
今度は入院先が見つからない、ということになって、
そのまま数日自宅待機となって、
その間に他のご家族にも咳や咽頭痛などの症状が出たのです。
家族はクリニックを受診して、
そのうちの1名が陽性となりました。
それなのに、ですよ、
最初の感染した息子さんは、
待機しているうちに解熱したのですね。
そうしたら、もう入院は必要ないということになって、
結果として2人も家族で感染者が出ているのに、
何もせず、家で家族一緒に様子をみているだけ、
という事態になってしまったのです。

こういう事例がそれこそ沢山あってですね、
まず診断されるのが遅いし、
感染経路はほぼ全て不明なんですね。
ほぼほぼ分からないのです。
それで家族に1人感染者が出るでしょ。
濃厚接触者ということで家族の検査をするのですが、
比較的重症でも入院先が見つからないのでそのままだし、
軽症だともう、
家で様子をみて下さい、という感じになっているのですね。

色々な意味でお手上げで、
家族内感染を放置しているので、
これはもう感染拡大を阻止出来る訳がないですよね。

ちょっと呆然としてしまいます。

この間読んだシンガポールの事例だったと思うのですが、
家庭内感染のリスクを検証した論文があって、
シンガポールでは専門のスタッフが巡回して、
家族内感染の予防のための指導に廻っているんですね。
そのスタッフから感染が広がったりすることもあるので、
なかなか難しい面もあるのですが、
こういうことを是非やった方がいいですよね。

もう多くの事例で入院や宿泊療養が出来なくなっていて、
家族で患者を診ているのが実際なんですね。
家族内感染が増えているというのは、
要するにそうした意味で、
それ以外の感染経路は不明というのが実態なのです。

こうした事態になった時には、
家族内感染予防のために、
その指導をするような態勢が、
最も重要な対策であるのですが、
それが全くないのが実際なのですね。

勿論病院のスタッフや看護師も足りないのは事実なのですが、
クリニックの現場で考えますとね、
それ以上に足りないのがそうしたスタッフなのです。

これがとても重要だと思います。

患者さんの家族の話を聞いてもね、
そのことを一番心配されているんですよね。
家族に感染を広げないためにどうすればいいのか、
と試行錯誤をしているのですが、
一般の方にそうした試行錯誤をさせる、
というような態勢はまずいですよね。

これはもう早急にそうしたスタッフを養成して、
巡回するような体制づくりが急務である、
というように思います。

検査についてはね、
大手の検査会社の対応が遅いんですよ。
今検体を出して、
結果がファックスされるのが翌日の夜なんですね。
早くて夜なのです。
なので通常結果をお伝えするのが2日後になってしまうのですね。
これじゃ遅いよね。
ファックスというのも原始的だし、
何とかならないかと思うのですが、
ロジスティックの問題なんですね。
検体を迅速に運ぶという体制が弱くて、
1日のうち1回しかそのための集配がないのですね。
検査をする場所には1日に1回しか運ばないので、
結局朝に検査をしても夕方にしても、
検査の結果は同じにしか届かないのです。

これじゃ駄目だよね。
でも言っても改善は全くされません。

安い自費検査があるでしょ。
診断や診療のためではない、という名目で、
金もうけ目的がありありなのですが、
そっちの方がサービスは良いし、
結果が出るのも早いんですね。

金もうけ目的のクリニックは、
「医療目的ではない」という趣旨の自費検査をじゃんじゃんやって、
陽性になると保険請求して、
高額な検査費を公費で請求しているんですね。
近所のクリニックは自費検査をじゃんじゃんやっていて、
この間陽性者が出たのですが、
そうしたらお金を返したのですね。
それは要するにそうした処理をしている、
ということだと思うのです。
でも、実際には自費検査は安いので、
その差額は懐に入れている、
ということになります。
厳密に言えば不正請求ですよね。

集合契約をしている大手の検査会社は、
検査の価格は下げないんですよね。
そのために自費でも高額になってしまうので、
無症状だけれど心配、
というような人は皆、
精度管理も怪しげで低価格の自費検査に走るでしょ。
何か間違っているな、
というように思うのですが、
改まる気配はありません。

大手の物流の会社などが、
自前の低価格のPCR検査を販売したりしているでしょ。
良いことをしているつもりなのは分かるのですが、
実際には本来濃厚接触者に当たる人が、
自費検査を受けて安心してしまって、
それで感染をばらまくという結果になるのですよね。
濃厚接触者は2週間の隔離が必要なのですが、
それがざるになってしまうのです。
陽性が出ても強制力はないから、
届け出もしないということもありますよね。

要するに、
検査をすることを感染防御に繋げるという視点が、
そこにないことが問題なのですね。

家族内感染が野放しで、
行政が責任を放棄してお手上げになっている現状では、
感染防御を民間で担うしかないのが現実なのです。

検査をするだけで感染防御になりますか?

ならないですよ。

それくらいならね、
ロジスティックを大量に投入して、
医療用の検査が迅速に結果が出て、
それが迅速に医療機関に届くような体制に、
お金を出してもらえないですかね。

集合契約をしている多くの医療機関やPCRセンターで、
即日に結果を出せるような体制が作れれば、
それだけでかなり状況は変わるのですよ。

大手の検査会社はそうしたことをする気が、
120%ないんですよ。

それをどうにかしないと現状が変わりません。

それから家庭内感染を家庭で防御するための、
マニュアルとサポートするスタッフや技術開発、
体制整備が重要だと思うのです。

専門スタッフが感染者の家庭を巡回して、
必要な器具は全て提供するようにすれば、
それだけでかなり状況は変わるでしょ。

今は保健所から電話が入って、
「熱がありませんか?」くらいのことを言われるだけなんですよ。

それじゃ絶対駄目ですよ。

すいません。
愚痴が過ぎました。

重要なことだけ最後にもう一度言います。

今の感染拡大の主体は「家庭内感染」なのに、 それを予防することを行政は全くしていないのです。 何の対策もしていないのです。 隔離すら出来ていないのです。 誰かがそれをやらないと感染拡大は止まらないのです。

このようなことを考えつつも、
日々の診療をこなし、
自分に出来ることを、
細々と続けるしかないのかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんは良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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