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極私的感染症流行情報(2023年2月11日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日の土曜日でクリニックは休診です。

今日はクリニック周辺の感染症情報です。

クリニックでは1階で通常診療を行い、
感染症のリスクがあって、
適宜検査が必要と思われる患者さんは、
事前にお電話でご連絡を頂いて時間を決めた上で、
2階の発熱外来で対応しています。

この1か月で142名の患者さんを2階の発熱外来で対応しました。

その内訳は、
新型コロナウイルスの感染が49例、
インフルエンザA型の感染が31例、
インフルエンザB型の感染が2例、
新型コロナとインフルエンザA型の、
同時感染が疑われるケースが1例でした。

1月中旬までは陽性であれば新型コロナの比率が多く、
発熱者における陽性率は低下している、
という感じでしたが、
1月中旬以降はインフルエンザA型の陽性率がぐっと増え、
下旬には完全に新型コロナと逆転しているという経過です。

昨日新型コロナ流行後の季節性インフルエンザ感染では、
家族内感染がより増加している、
というアメリカのデータをご紹介しましたが、
実際にクリニックで経験している感染でもそうした傾向は顕著で、
家族全員が感染するという事例が、
新型コロナではなくインフルエンザで見られている、
という状態です。

症状はインフルエンザA型に関しては、
典型的なものは寒気と高熱ですが、
これは新型コロナのオミクロン株の感染でも、
今は殆ど同じような事例が多く、
咽頭所見は必ず観察していますが、
咽頭後編の発赤やリンパ濾胞の所見にも、
全く差は見られていません。

現時点ではインフルエンザと新型コロナウイルスの感染は、
ほぼ同等のものとなり、
その重症度や経過もとても似通っていて、
その診断は検査をしないと見分けは付かない、
というのが、
クリニックの事例から感じる現時点での印象です。

そんな状況であるので、
診断は今はもっぱら、
インフルエンザと新型コロナの抗原同時検出で施行していて、
診断の困難な事例のみ、
新型コロナのRT-PCR検査を追加する、
という感じで診療を行っています。
インフルエンザのPCR検査は健康保険では施行出来ないからです。

ただ、抗原検査はタイミングにより陽性率が変わるので、
概ね発症から12時間以上は経過した時点で、
検査を行うことを原則とし、
早期の診断は新型コロナのみであれば、
RT-PCR検査を優先しています。
こちらは症状出現時には陽性となるからです。

このまま新型コロナが収束するかどうかはまだ分かりませんが、
地域の小さなクリニックが通常の診療として診る範囲においては、
現状インフルエンザと新型コロナの感染は、
同等のものとして扱っても、
大きな問題のない状況であることは事実であるようです。
ただ、勿論、
重症の患者さんを多く診られる基幹病院などの先生であれば、
また別の認識をお持ちであるかも知れません。

主にオミクロン株流行以前の知見として、
新型コロナの感染が季節性インフルエンザなどと比較して、
重症化リスクや死亡リスクが高いというデータがあり、
また罹患後の後遺症と呼ばれるような遷延する体調不良や、
心血管疾患などのリスク増加など、
新型コロナの感染に特異的と思われる知見もあるので、
それがトータルな軽症化に伴って、
どのように推移するのかは、
今後も慎重に見て行く必要がありますが、
多くの感染症の中で新型コロナのみを、
特別視する必要がなくなりつつあることは、
確かなことのように思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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