SSブログ

「悪は存在しない」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
悪は存在しない.jpg
濱口竜介監督の新作が、
今ロードショー公開されています。
監督の作品は好みではないものもあるのですが、
オムニバスの「偶然と想像」は最高でした。

今回の作品はかなりの問題作で、
これまでの濱口作品も日本映画よりヨーロッパ映画的でしたが、
それがより加速した感じで、
タルコフスキーに近い没入感と難解さを併せ持った作品でした。

一番素朴に似ていると思った映画は、
キューブリックの「2001年宇宙の旅」です。
最初は悠然たる自然描写が展開され、
それがオムニバス的趣向で、
途中から非常に物語性を帯びるのですが、
ラストに掛けて予測不能の展開を見せ、
ラストは何と言うのか、
現実の底が抜けたような、
異様なビジョンで締め括られます。

観終わった瞬間は全く意味不明でしたが、
殆ど上映中寝ていた妻に、
あらすじを話して聞かせると、
「要するに自然と自分とのバランスを回復するためにやったのね」
と言うので、
なるほどと得心しました。

異常なラストなのですが、
冒頭から周到に伏線が敷かれていて、
それらが全て緻密に絡み合っているので、
これはいい加減にこうした内容にした訳ではない、
ということが理解されて、
より複雑でモヤモヤした気分になるのです。

素直に面白いと思えるような映画ではありませんが、
映画ならではの技巧を駆使した、
これまでにあまり類例のない作品で、
映画の好きな方には、
必見と言って間違いはないと思います。

是非心してご覧下さい。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0)