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新型コロナ流行以降のインフルエンザ家族内感染率 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
終日事務作業の予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナ前後のインフル家族内感染.jpg
JAMA誌に2023年1月26日ウェブ掲載された、
新型コロナ流行前後のインフルエンザ感染の、
傾向の違いについての論文です。

新型コロナが流行して以降の、
2020年から21年のシーズンには、
世界的に季節性インフルエンザの流行が起こりませんでした。

それが2021年から22年には一部地域において、
2022年から23年のシーズンにおいては、
地域によっては新型コロナを超える、インフルエンザの流行が起こり、
日本においても今年の冬は、
3年ぶりにインフルエンザの流行が明確に認められています。

クリニックの周辺でも、
2023年の1月下旬からは、
新型コロナよりもA型インフルエンザの方が、
明らかに多い状況が続いています。

それでは、新型コロナの前後で、
季節性インフルエンザの感染力には違いがあるのでしょうか?

今回の研究はアメリカにおいて
新型コロナ以前の2017年から2020年と、
新型コロナ以降の2021年から22年にシーズンにおいて、
季節性インフルエンザの家族内感染のリスクを、
比較検証しているものです。

それによると、
新型コロナ流行以前の時期において、
季節性インフルエンザが同居家族に感染するリスクは、
20.1%であったのに対して、
新型コロナ流行以降の感染においては、
50.0%に増加していました。

つまり、家族内感染で見る限り、
季節性インフルエンザの感染力は、
新型コロナ流行以前よりも強くなっている、
ということを示唆する知見です。

これはクリニック周辺の感染状況でも感じることで、
今のインフルエンザの家族内感染のリスクは非常に高く、
ほぼ家族全員に漏れなく感染する、
というケースが多く認められています。

それでは、何故インフルエンザの感染力は増加しているのでしょうか?

数年流行がなかったことで、
個々の免疫が低下して感染の感受性が増加したこと、
ワクチンの株と実際に流行しているウイルスとの性質に違いがあり、
ワクチンの有効性も低下している可能性があることと、
新型コロナワクチン接種が優先された関係で、
インフルエンザワクチンの接種率が低下したことなどが、
原因として推測はされていますが、
現時点で確定的なことは言えないのが実際であるようです。

いずれにしても、
弱毒化した新型コロナとインフルエンザが、
周期的な流行を繰り返し、
毒性の強い変異株が発生すれば、
世界的なパンデミックが生じ得る、
という現状は当面はこのまま続くように思われます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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でがらし

 いつも拝見しております。
 この記事冒頭の画像ですが、直前の記事の画像と同じものになっているようです。
by でがらし (2023-02-11 14:47) 

fujiki

でがらしさんへ
お読みいただきありがとうございます。
うっかりしていました。
画像差し替えましたので、
そのうちに切り替わると思います。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2023-02-12 08:55) 

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