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新型コロナウイルス感染症の現況(2023年1月7日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

今日はクリニック周辺の感染症情報です。

新型コロナの感染が2022年の12月から増加し、
ぐっと数は少ないのですが、
インフルエンザA型の感染も毎日数例は診断されるようになっています。

ざっくりした印象で言うと、
高熱と寒気で発症するような事例はインフルエンザのことが多く、
新型コロナの方は咽頭痛や痰がらみの咳と微熱、
という程度の方が圧倒的に多いという感じです。

特にワクチン接種を複数回施行している高齢者では、
鼻かぜ程度の症状の方が多いのが特徴です。

嘱託をしている老人ホームで、
2022年の8月にクラスターが発生して、
その時は次々と感染が拡大して、
十数人が一度に…という修羅場になったのですが、
12月末に再び施設内で感染が見られたものの、
職員2人、入所者1人で収束しました。

これはかつて季節性インフルエンザでも、
同様の現象を経験しています。
まだ施設入所者や職員は漏れなくワクチン接種、
というような習慣がなかった時期には、
一気に20人が高熱を発症、
というようなクラスターが発生したのですが、
それが毎年ワクチン接種を継続するようになると、
罹っても数例で収束する、
というような状態に留まるようになります。

新型コロナウイルス感染症についても、
施設では12月初旬には、
5回目のオミクロン対応ワクチンの接種を済ませていましたから、
その集団免疫が、
クラスターを最小範囲に留めた、
という言い方は出来るように思います。

当面派生した変異はあっても、
オミクロン株を主体とした感染が続く範囲においては、
こうした軽症化の傾向自体は継続するのではないかと思われ、
そのまま通常の感冒に近付いてゆく、
というのが現状最も楽観的な見通しであることは間違いがありません。
ただ、別個の重症化率の高い変異株が、
かつてのデルタ株のように出現する可能性はないとは言えませんから、
まだ見通しが明るいとは言えません。

インフルエンザは咽頭所見から、
他の感冒と鑑別が可能だという意見があり、
それを利用したAI活用の診断システムと称するものも、
販売されています。
ただ、確かに過去の流行時期においては、
「なるほど、これがインフルエンザの特徴的所見なのね」
というように感じたこともありましたが、
少なくともこの1週間において、
新型コロナとインフルエンザA型の咽頭所見に、
明確な差は認められず、
「咽頭所見でこの2つの疾患を見分けることは出来ない」
というのが今の個人的な見解です。

以前はRT-PCR検査を診断の主体としていましたが、
現状インフルエンザと新型コロナの双方が流行して、
症状からの鑑別がほぼ不可能という状況では、
両者の抗原同時測定をするのが一番効率的で、
遺伝子検査が健康保険ではインフルエンザに施行出来ない現状では、
RT-PCR検査は抗原検査で診断が不確定な時の、
新型コロナの補助診断の役割に格下げの感じになっています。

状況は読めない部分が多く、
日々の疲弊感も強いのですが、
どうにかバランスを取りながら、
この先行き不透明な時代に、
出来ることを積み重ねたいとは思っています。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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