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新型コロナウイルス感染症後の脂質異常症リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

今日は休みの日ですが医学の話題です。
今日はこちら。
COVID-19と脂質異常症リスク.jpg
Lancet Diabetes & Endocrinology 誌に、
2023年1月6日掲載された、
新型コロナウイルス感染症罹患後の、
脂質異常症リスクについての論文です。

新型コロナウイルス感染症後に、
その急性期を過ぎても、
心血管疾患や糖尿病のリスクが増加する、
というのは、これまでにも何度もご紹介している知見です。

今回はコレステロールや中性脂肪の血液中の異常である、
脂質異常症のリスクと、
新型コロナウイルス感染症との関連が調査されています。

アメリカの退役軍人の健康保険データを活用して、
新型コロナウイルス感染症に罹患し、
30日以上生存した脂質異常症のない51919名を対象とし、
年齢などをマッチングさせた、
非感染の2539941名のコントロール群と比較して、
感染の急性期以降に脂質異常症を発症するリスクを検証しています。

その結果、
非感染群と比較して、
新型コロナ感染後1年の時点での脂質異常症のリスクは、
総コレステロールが200㎎/dLを超えるリスクが1.26倍(95%CI:1.22から1.29)、
中性脂肪が150mg/dLを超えるリスクが1.27倍(95%CI:1.23から1.31)、
善玉とされるHDLコレステロールが40mg/dLを下回るリスクが1.20倍(95%CI:1.21から1.27)と、
いずれの指標でも有意に増加していました。

これはおそらく糖尿病の増加などの現象と、
同一の要因から生じている可能性が高く、
隔離などによる運動量の低下や、
後遺症と呼ばれるような長期の体調不良、
ウイルス感染に伴う炎症の持続や、
凝固、免疫の異常など、
様々な要因が想定はされますが、
現状正確な原因の特定には至っていません。

いずれにしても、
新型コロナウイルス感染症罹患後には、
その後1年もしくはそれを超える期間において、
心血管疾患のリスクが増加することはほぼ間違いがなく、
その予防などの介入が、
今後有効に行われることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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