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降圧剤の国際的効果比較 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

昨日から色々あって夜の更新になりました。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
降圧剤の第一選択薬は?.jpg
2019年のLancet誌に掲載された、
降圧剤の第一選択薬についての論文です。

アメリカの現行のガイドラインにおいては、
高血圧の薬物治療の第一選択薬は、
サイアザイド系利尿剤、ACE阻害剤、アルドステロン受容体拮抗薬、
そしてカルシウム拮抗薬のいずれかで、
そこに特に順番はもうけられていません。
ヨーロッパの主要なガイドラインにおいては、
そこにβ遮断剤が追加されています。

それでは、実際にこれらの薬の中で、
どの薬が最も患者さんへの有効性が高いのでしょうか?

今回の検証は、
世界規模で健康保険や医療データベースのデータを集積し、
トータルで490万人という大規模な高血圧患者のデータから、
急性心筋梗塞、心不全、脳卒中の予防効果に絞って、
その有効性を比較検証したものです。

その結果、
現在最も広く使用されている降圧剤は、
ACE阻害剤でしたが、
病気の予防効果において最も優れていたのは、
サイアザイド系の利尿剤でした。

副作用などの安全性においても、
利尿剤は脱水や高尿酸血症など、
有害事象が多いと考えられがちですが、
今回の大規模データにおいては、
最も安全性に優れていたのも利尿剤でした。

どうしても臨床医は、
より新しい薬を第一選択にしてしまいがちですが、
その使用法には検証が必要であるものの、
降圧剤として最も優れているのは、
利尿剤であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。


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