前川知大「終わりのない」 [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は祝日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ホームグラウンドのイキウメとは別に、
多彩なゲストと世田谷パブリックシアターを舞台に、
古典の再構築のような試みをしている、
前川知大さんの新作公演に足を運びました。
今回もイキウメのメンバーに加えて、
いつもの仲村トオルさん、
テレビで活躍されている山田裕喜さんや奈緒さんをゲストに、
魅力的なキャストでの公演です。
今回の作品はホメロスの「オデュッセイア」が原作ですが、
それを山田裕喜さん演じる18歳の青年の、
若くして挫折し、人生の目的を失った心の放浪に重ね合わせ、
主人公の意識が未来人の意識と交流することにより、
時空を超えた意識の旅として表現しています。
かなり哲学的で観念的な話ですが、
今回は主人公の人物像と、
その両親の人物像がしっかりと描かれていて、
未来で出会う人物にも、
森下創さん演じる老人と、
浜田信也さん演じる集合知のコンピューターに、
しっかりした肉付けがされているので、
人間ドラマとしても成立していて、
ドラマに膨らみがあります。
「2001年宇宙の旅」のような感触もありますし、
人間の意識が時空を超えて繋がるという趣向の、
演劇的な展開のさせ方は、
遊眠社時代の野田秀樹さんの作劇も彷彿とさせます。
内容的には、
結論の部分はそれほど目新しい感じではないのですが、
そこに至るロジックは何処かの哲学書の引用ではなく、
量子論などをベースにして多重世界を絵解きする、
純粋に前川さんのオリジナルの思考実験なので、
「孤独が人間の個性である」とか、
「喪失した無意識がひらめきの源泉である」とか、
随所にハッとするようなディテールがあって、
なかなか楽しめます。
キャストは山田裕喜さんの熱演と、
それを支えた仲村トオルさんや浜田信也さんのベテラン勢とバランスが良く、
シンプルなセットも、
巧みな音響や照明の効果で、
時空の変化を綺麗に表現していました。
そんな訳で、
今回は明らかな大成功で、
これまでの前川さんの劇作の中でも、
代表作の1つと言って良い、
充実度の高い舞台に仕上がっていたと思います。
お薦めです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は祝日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ホームグラウンドのイキウメとは別に、
多彩なゲストと世田谷パブリックシアターを舞台に、
古典の再構築のような試みをしている、
前川知大さんの新作公演に足を運びました。
今回もイキウメのメンバーに加えて、
いつもの仲村トオルさん、
テレビで活躍されている山田裕喜さんや奈緒さんをゲストに、
魅力的なキャストでの公演です。
今回の作品はホメロスの「オデュッセイア」が原作ですが、
それを山田裕喜さん演じる18歳の青年の、
若くして挫折し、人生の目的を失った心の放浪に重ね合わせ、
主人公の意識が未来人の意識と交流することにより、
時空を超えた意識の旅として表現しています。
かなり哲学的で観念的な話ですが、
今回は主人公の人物像と、
その両親の人物像がしっかりと描かれていて、
未来で出会う人物にも、
森下創さん演じる老人と、
浜田信也さん演じる集合知のコンピューターに、
しっかりした肉付けがされているので、
人間ドラマとしても成立していて、
ドラマに膨らみがあります。
「2001年宇宙の旅」のような感触もありますし、
人間の意識が時空を超えて繋がるという趣向の、
演劇的な展開のさせ方は、
遊眠社時代の野田秀樹さんの作劇も彷彿とさせます。
内容的には、
結論の部分はそれほど目新しい感じではないのですが、
そこに至るロジックは何処かの哲学書の引用ではなく、
量子論などをベースにして多重世界を絵解きする、
純粋に前川さんのオリジナルの思考実験なので、
「孤独が人間の個性である」とか、
「喪失した無意識がひらめきの源泉である」とか、
随所にハッとするようなディテールがあって、
なかなか楽しめます。
キャストは山田裕喜さんの熱演と、
それを支えた仲村トオルさんや浜田信也さんのベテラン勢とバランスが良く、
シンプルなセットも、
巧みな音響や照明の効果で、
時空の変化を綺麗に表現していました。
そんな訳で、
今回は明らかな大成功で、
これまでの前川さんの劇作の中でも、
代表作の1つと言って良い、
充実度の高い舞台に仕上がっていたと思います。
お薦めです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。