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「北北西に進路をとれ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
北北西に進路をとれ.jpg
ヒッチコックの代表作の1つ「北北西に進路をとれ」です。

ヒッチコックは言わずと知れたサスペンスの巨匠ですが、
その作品のどれが好きか、というのは、
好みが分かれるところだと思います。

1960年に「サイコ」が公開されて、
この映画はサスペンスやホラーの歴史を、
大きく塗り替えた訳ですが、
作品自体はヒッチコックとしては凄い異色作ですね。
ホラーに近いタッチのものですが、
「サイコ」以外にそうしたタッチのものは、
「フレンジー」がそれに近い感じはありますが、
成功はしていませんし、
他にはあまりありません。

また意外性のあるミステリーのようなものを期待しても、
それも「サイコ」以外にはあまり類例がありません。

まあ「めまい」があるのですが、
これも唯一無二といった感じの作品で、
意外性のあるミステリーというのとは違うのですね。
心理的スリラーというのか、
異常心理映画とでも言うべきものです。

「鳥」というのがまだ独自のタッチのパニック映画で、
これも映画界に大きな影響を与えた、
唯一無二の映画ですね。

そう考えると、
「サイコ」も「めまい」も「鳥」も、
他の何にも似ていない、孤高の映画、
という感じです。
そのどれもが多くの模倣作を生み、
間違いなく現在の映画に強い影響を与えています。
この3本がなければ、
今の娯楽映画の殆どは成立していない、
と言っても良いくらいです。

ただし…

ヒッチコックの本領が何処にあるかと言うと、
戦前の「逃走迷路」辺りから始まる、
善良な主人公がなんだか分からないうちに、
悪者に追われるようになり、
それから追いつ追われつの逃避行が繰り返される、
というようなパターンの、
ヒッチコック流活劇娯楽映画です。

こっちは「海外特派員」とか「知り過ぎた男」とか、
ともかく沢山作っているんですよね。

どれも似たり寄ったりと言えなくもないし、
今の感覚から言うと、
まったりのったりとしていて、
スリルとかサスペンスというようなイメージとは、
かなり異なっています。

でもヒッチコックならではの技巧があり、
他の誰にも真似出来ない映像表現があって、
一旦その世界に囚われると、
同じ映画を何度観ても面白い、
という感じはあります。

カルト的な癖になる世界なんですね。

その中でも最高傑作と言って、
そう文句が出ないのがこの「北北西に進路をとれ」で、
これはヒッチコック型娯楽映画の総集編的な作品です。
ともかく最初から最後まで、
あれよあれよという感じで絢爛たる映画技巧が繰り出され、
その意味ではマニアにとっては息を吐く暇もありません。
それでいて映画の物語自体は、
さして語るほどのものもないし、
内容ものんびりしていて、
観終われば取り立てて何も残らない、
という感じの映画です。

これで映画として良いのか、
というのは疑問に感じる部分もありますが、
ヒッチコックの代表作として推奨出来る名作で、
内容はほぼないに等しく、
ひたすら映画技巧に酔うという、
ヒッチコックならではの世界が堪能出来ます。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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