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糖尿病では新型コロナウイルス感染症が多いのか? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには回る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルスと糖尿病.jpg
Diabetes Research and Clinical Practice誌に、
2020年5月12日にウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症と糖尿病との関連についての、
メタ解析の論文です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、
慢性病などの基礎疾患のある人に多い、
というのは2020年1月時点の症例をまとめた論文にも、
既に出て来る知見です。
その代表は高血圧と糖尿病です。

ただ、その後多くの報告はありますが、
実際にその地域の糖尿病の有病率と比較して、
新型コロナウイルス感染症に罹る人の中で、
糖尿病の患者さんが本当に多いのか、
というような点については、
あまり明確な情報がありません。

そこで今回の研究では、
2020年2月25日までという比較的早期の時点で、
報告された新型コロナウイルス感染症の臨床データを、
まとめて解析するメタ解析という手法で、
この問題の検証を行っています。

結果としてこの時期の臨床データは全て中国由来のもので、
9つの臨床研究のトータル2007名の新型コロナウイルス感染症の患者データを、
まとめて解析したところ、
患者の中での糖尿病の有病率は9%(95%CI: 6から12)で、
平均年齢は56.5歳でした。

過去に報告された中国での2型糖尿病の有病率は、
45から54歳で7.3%、55から64歳で11.0%と報告されていますから、
これを比較する限り、
必ずしも新型コロナウイルス感染症に糖尿病の患者さんが罹りやすい、
というようには言えません。
そもそも1割程度は糖尿病の患者さんが存在する集団で、
実際に感染した患者さんのうちの比率も、
ほぼ同程度であるからです。

次に新型コロナウイルス感染症の重症度と、
糖尿病の有無との関連を見てみます。

すると、
病状が中等症の患者さんにおける糖尿病の有病率は、
7%(95%CI: 4から10%)であったのに対して、
重症の患者さんにおける糖尿病の有病率は、
17%(95%CI:13から21%)と上昇が認められました。
中等症の患者さんの平均年齢は46.4歳、
重症の患者さんの平均年齢は56.5歳でした。

つまり、糖尿病があっても、
新型コロナウイルス感染症に罹りやすい、
ということはなさそうですが、
一旦罹った場合には重症化しやすい可能性はある、
ということになります。
これは他の感染症と同様、
と言って良いように思います。

従って、
2009年の新型インフルエンザのワクチン接種時にも、
そうした対応が取られましたが、
今後接種される際のワクチンの優先順位は、
糖尿病など悪化しやすい持病のある患者さんでは、
優先することが妥当であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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