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レムデシビルの臨床試験結果(Lancet) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
レムデシビルの臨床試験.jpg
Lancet誌に2020年4月29日にウェブ掲載された、
新型コロナウイルス治療薬として、
最も注目されている薬の1つ、
レムデシビルの中国での臨床試験の結果をまとめた論文です。

レムデシビルはDNAの原料となる核酸の誘導体で、
ウイルスが細胞内で核酸(RNA)の合成を行う、
RNAポリメラーゼの阻害剤です。

これはアビガン(ファビピラビル)と同様のメカニズムです。

この薬はアメリカの製薬会社ギリアドサイエンシズ社の開発品で、
現行はまだ世界的に未承認薬、治験薬の扱いです。
エボラ出血熱に対しては研究的使用が行われ、
一定の有効性が確認されています。
SARSやMERSなどのコロナウイルスに関しても、
基礎実験では一定の有効性が確認されています。

新型コロナウイルス感染症に対するレムデシビルへの期待は、
この薬の新型コロナウイルスに対するEC50という、
ウイルスの感染細胞での増殖を50%抑制する濃度が、
0.77μMという低さであることが影響しています。

実験的にはここまで効果の高い薬は他にないからです。

その実際の有効性はどうなのでしょうか?

先日New England…誌のレムデシビルについての論文をご紹介しましたが、
それはこれまでに試験的に投与された61例を解析したもので、
コントロール群が設定された、
厳密な臨床試験ではありませんでした。

今回の臨床試験は、
中国の10カ所の病院において、
偽薬を使用した厳密な方法で施行されたものです。

対象は湖北省で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染した、
年齢は18歳以上でCTで肺炎像が認められ、
酸素飽和度が94%以下の237名の患者で、
登録は症状出現後12日以内に行われ、
PCR検査での陽性も条件となっています。

登録者を本人にも主治医にも分からないように、
くじ引きで2対1に分けると、
多い群はレムデシビルを10日間注射し、
少ない群は偽薬の注射を施行して、
その予後を比較検証しています。
試験は2020年の2月6日から3月12日の間に開始されています。

その結果、
症状が改善するまでに期間には、
レムデシビル群と偽薬群との間で、
明確な差は認められませんでした。
その予後にも明確な差は認められていません。
ちなみに試験開始28日後の時点で、
レムデシビル群の15%、
偽薬群の13%が死亡されています。

ただ、症状出現後早期に投与が開始されたケースでは、
有意ではないものの改善が早い傾向は認められていて、
もう少し事例が多く、
より早期に投与が開始されていれば、
また別の結果が出た可能性もあります。

この結果からレムデシビルが無効、
というようには言えません。
ただ、著効する夢の薬、ということではないのも、
また間違いのないことだと思います。

先日アメリカのFDAがレムデシビルの緊急使用を認可した、
という報道がありましたが、
その主な裏付けとしているデータは、
アメリカのNIHが主導した上記論文とは異なる臨床試験結果で、
こちらはまだ論文化はされていません。
1000例を超える規模のもので、
一定の有効性が認められているようですが、
今出ている情報の範囲では、
著効という感じでは矢張りなさそうです。

この薬はこれまでの臨床試験において、
一定の安全性は確認されているので、
今のような緊急事態で早期に認可されること自体については、
問題のあるものではないと思いますが、
その効果は現時点で必ずしも満足のゆくものではなく、
今後も慎重に検証する必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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