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「コックと泥棒、その妻と愛人」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
コックと泥棒.jpg
1989年のイギリス・フランス合作映画で、
ピーター・グリーナウェイ監督の代表作です。

グリーナウェイ作品との出会いはこの作品で、
最初にビデオで観たんですね。
オープニングからマイケル・ナイマンの音楽がガンガン掛かって、
あの食事と暴力と性愛が一体化した原色の世界が、
画面にバンと現れるところ、
凄いですよね。

それでこりゃ凄いと一気に惹き付けられて、
物語自体はフィルムノワールと考えれば、
ごくごく普通の展開に過ぎないのですが、
色彩と音楽と構図の魔力でそのまま一気呵成に引きずって、
ラストの決まり具合も凄いです。

これでグリーナウェイに惚れ込んで、
「英国式庭園殺人事件」、「プロスペローの本」、
「ベイビー・オブ・マコン」は映画館で観ました。
申し訳ない。
全部詰まらなかったですね。
単に難解ということじゃなくて、
「こりゃないよ」という感じ。
本当に時間を無駄にした、
自分の不明を恥じるという感じでした。
こんな映画観るために、
生きているんじゃないよな、と本気で思いました。
「プロスペローの本」なんて、
シェイクスピアの「テンペスト」を、
さして工夫もなくそのまま映画にしているんですよね。
何でこんな映画を作ったのか、まるで分かりません。
「ZOO」はビデオで観ました。
趣味的な変態映画で、
同じお話でももう少しどうにかなってもいいのじゃないかしら、
という感じがしました。
ちょっとクローネンバーグみたいでしたよね。

結局「コックと泥棒、その妻と愛人」に匹敵する作品は、
僕の知る限りでは全くなくて、
後は自主製作映画みたいなものが大半でした。

でも、この作品は矢張り凄いと思いますね。
ある意味完全無欠の映画で、
孤高の完成度という感じです。

この人の映画はイメージ勝負なので、
物語は単純で平凡であるほどいいんですね。
もっと他人の原作を、
作り込んだような作品が観たかったという気がしますが、
本人は嫌なのかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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