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毎日体重を測るだけのダイエットの効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
毎日1回体重を測ることの効果.jpg
2015年のJ Acad Nutr Diet誌に掲載された、
毎日体重を測定するだけのダイエットの、
効果を検証した論文です。

ダイエットには様々な方法が考案されていますが、
最も簡単かつシンプルで、
科学的にもその有効性が確認されているのは、
毎日体重を測定するという方法です。

これは体重を測って、
それに基づいて何かをする、
ということではありません。
単純に体重を決められた時間に測定し、
それを記録するというだけです。

しかし、それをするかしないかで、
間違いなくその後のダイエットに影響があるのです。

何故そうしたことが起こるのでしょうか?

それはおそらくは、
セルフモニタリングの効果だと想定されています。

体重を毎日測ることにより、
「自分は太っている」という自覚や、
「ああ、昨日食べ過ぎたので太ってしまった」という反省が、
「体重を減らすために努力しよう」という自覚や、
「今日は食事を減らそう」という目標に繋がり、
その積み重ねがダイエット効果をもたらすという想定です。

ただ、これは推測に過ぎず、
今回ご紹介する研究以前には、
あまりそのメカニズムを検証するようなデータは、
存在していなかったのが実際でした。

そこで今回の研究では、
ダイエットに関する臨床試験のデータを二次解析して、
アメリカでBMIが25以上の過体重の男女47名に、
6か月間毎日体重を測定するよう指示し、
毎日体重が測定出来た場合とそうでない場合で、
体重減少効果と体重減少に結び付くような生活改善に、
どのような違いがあったのかを比較検証しています。

その結果、
47名中51%に当たる24名は毎日の体重測定を欠かさず行っていましたが、
残りの23名は時々さぼっていました。(回数は週に5.4±1.2日)
ここで毎日測定した人とさぼった人を比較すると、
毎日測定した人の方が、
半年後の体重は6.1キロ(95%CI:-10.2から-2.1)
有意に低下していて、
体重減少に結び付く行動を37項目で調査すると、
毎日測定した人が17.6±7.6項目を実行していたのに対して、
さぼった人は11.2±6.4項目しか実施していませんでした。

具体的には、
間食や摂取カロリーを控えること、
外食の回数を減らすことなどの項目に、
明確な差が認められました。

このように、
毎日欠かさず体重を測定するという習慣は、
食事量の減少や間食の制限などの行動を介して、
体重減少効果をもたらしている可能性が高い、
という結果が得られました。

勿論、体重を測るだけでは不十分な部分もありますが、
最も簡便なダイエットとしては、
毎日欠かさず体重を測定することには、
科学的にも一定の有効性があるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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