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セオドア・ロスコー「死の相続」 [ミステリー]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも代診となります。

土曜日は趣味の話題です。

今日はこちら。
死の相続.jpg
パルプ作家で日本では長く無名であった、
アメリカのセオドア・ロスコーの、
日本唯一の翻訳長編ミステリーです。

これはかなり前に買ったのですが、
長く積読としていました。
今回「屍人荘の殺人」を読み、
そう言えば…と思って読んでみたものです。

これはなかなか面白かったです。

1935年という本格ミステリーの黄金時代に発表されたものですが、
ハイチを舞台として、
農園を経営する資産家が奇怪な遺言状を残して変死し、
そこにアメリカ人の若いカップルが巻き込まれて、
24時間の血で血を洗う惨劇が展開されます。

そこに更に政府転覆を狙う暴動が起こり、
超自然的現象まで起こって、
事件は混沌とした様相を呈します。

この、とても解決しないように思える、
大風呂敷を広げ過ぎたように思える事件が、
ラストには見事に解決するのです。

そのさすがの手際には感心します。

複数の不可能犯罪と密室トリックが含まれていて、
そのトリック自体はやや他愛のないものなのですが、
事件の最も大きな真相と、
トリックが有機的に結び付いているというところに、
この作品の優れた点があります。

正直「屍人荘の殺人」の10倍くらい面白い作品でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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