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ヘアカラーと縮毛矯正剤の乳癌リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
白髪染めと乳癌リスク.jpg
2019年のInternational Journal of Cancer誌に掲載された、
ヘアカラーなどの使用と乳癌リスクとの関連についての論文です。

アメリカにおいて、
乳癌は全ての女性に多い癌ですが、
特に黒人での増加が近年目立っています。

その原因は何でしょうか?

ヘアカラーや縮毛矯正剤は、
アメリカでは18歳以上の女性の3分の1が使用している、
という推計があるほど多く使用されていますが、
女性ホルモン系に影響を与えるものを含めて、
多くの発癌リスクに結び付く可能性のある、
多種の化学物質を含んでいます。
また、黒人が使用するタイプの製品は、
その作用が強力で有害性も高い可能性が指摘されています。

それでは、
ヘアカラーや縮毛矯正剤の使用と、
乳癌の発症リスクとの間には、
どのような関連があるのでしょうか?

今回の研究は、
別個の大規模臨床試験のデータを活用して、
登録時に35歳から74歳の46709名の女性を、
平均で8.3年観察し、
ヘアカラーや縮毛矯正剤の使用と、
その後の乳癌リスクとの関連を比較検証しています。

その結果、
ヘアカラーの使用は黒人では乳癌発症リスクを、
45%(95%CI1.10から1.90)有意に増加させていて、
白人では7%(95%CI: 0.99から1.16)増加する傾向を示していました。
また縮毛矯正剤も乳癌リスクを増加させる傾向を示しました。

今回のデータはまだ推測の域を出るものではありませんが、
黒人においてヘアカラーのリスクが非常に高い、
という今回の知見は興味深く、
今後の更なる検証を期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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