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コーヒーの骨粗鬆症予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーと骨粗鬆症.jpg
2019年のJournal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌に掲載された、
コーヒーと骨代謝との関係についての論文です。

コーヒーの健康効果については、
総死亡リスクや心血管疾患リスク、
パーキンソン病や糖尿病、一部の癌リスクなどを、
低下させるという結果が、
大規模な疫学データで報告されています。

その一方で骨代謝や骨粗鬆症とコーヒーとの関連については、
相反するような報告があって一定していません。

コーヒーに含まれる、
代表的な活性物質であるカフェインには、
カルシウム吸収の抑制やカルシウム排泄の促進など、
骨量の減少や骨粗鬆症の発症に結び付くような作用が、
報告されています。
一方で疫学データにおいては、
コーヒーを多く飲む人は骨量が少ない、
という報告がある一方で、
むしろ増加するというような報告もあります。

つまり、この問題はまだ解決していないのです。

そこで今回の研究では、
骨粗鬆症についての香港の疫学研究のデータを活用して、
コーヒーの摂取量と骨量との関連を比較検証しています。

6053名を中間値で14.88年経過観察し、
453名はコーヒーの含有成分の多くの代謝産物を測定して、
その代謝物と骨量との関連も検証しています。

その結果、
有意ではないものの、
コーヒーの摂取量が多いほど、
骨折のリスクは低い傾向があり、
脊椎と大腿骨頸部の骨塩量は、
コーヒーの摂取量が多いほど、
有意に高くなっていました。

更にコーヒーに含まれる生理活性物質である、
カフェインやクロロゲン酸などの12の代謝産物の濃度は、
コーヒーの摂取量と相関していて、
そのうちの一部は骨量とも正の相関を示していました。

つまり、
やや間接的ではありますが、
コーヒーを多く飲む人は骨量が多く、
骨折にもなりにくい可能性が高い、
という結果です。

コーヒーが現行最強の健康飲料であることは、
これまでのデータの蓄積からほぼ間違いがなく、
胃酸過多や胸やけなど欠点もあるので、
ほどほどの摂取がお勧めですが、
その有効性はほぼ確立したものと言って良いと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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