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新型コロナウイルス再感染の特徴と将来の弱毒化の可能性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は事務作業などの予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
カタールでの再感染の特徴.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年11月24日掲載されたレターですが。
中東カタールにおける新型コロナウイルス再感染事例を、
初感染と比較した内容です。

中東カタールでは、
2020年3月から6月に掛けて、
新型コロナウイルス感染症の第一波の流行があり、
その後人口の約4割は、
新型コロナウイルスの抗体が陽性化したと報告されています。
その後2021年の1月から5月に掛けて、
主にα変異株とβ変異株による再流行が見られました。

この時、
RT-PCR検査陽性の初感染が確認されている事例の、
初感染から少なくとも90日以上経過しての再感染事例、
トータル1304例を解析したところ、
31.7%に当たる413例はβ変異株によるもので、
4.4%に当たる57例はα変異株によるもの、
16.3%に当たる213例は最初の流行株によるものと確認されています。
それ以外の事例については、
解析されていないなどして不明です。

初感染から再感染までの期間の中間値は、
277日(179から315)でした。
再感染の死亡事例は1例もなく、
入院や死亡などを併せた重症化のリスクは、
初感染と比較して10分の1(95%CI:0.03から0.25)という低率でした、

これがデルタ株以降の、
重症化リスクが高いとされている変異株においても、
同様に認められるかどうかはまだ不明ですが、
おそらく感冒の原因となっている多くのコロナウイルスが、
最初は重症化が多い状態から、
再感染を繰り返して軽症化したであろう、
という経緯を考えると、
今後長期的には現行の新型コロナウイルスも、
他の通常感冒の原因ウイルスと、
同程度の病状経過に変化するであろうことは、
可能性として高いように思われます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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