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城山羊の会「ワクチンの夜」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ワクチンの夜.jpg
大好きな城山羊の会の新作公演が、
今日まで三鷹市芸術文化センター星のホールで、
上演されています。

体調もかなり悪く、
レセプトもあるしとギリギリの感じだったのですが、
どうにかこうにか行って来ました。

1つのそれなりに裕福な家庭の人間関係の揺らぎを、
新型コロナワクチン2回目接種後の,
体調不良の一夜に限定して描いた作品で、
こうした「性」を梃子にした家庭劇は、
これまでにも何度かありましたが、
今回は途中で時間が飛んだりしない完全に一幕一場の形式で、
非常に緻密で完成度が高い作品に仕上がっていたと思います。

その一方で、
あまり破天荒な仕掛けや、
ファンタジーに振れているような部分などはないので、
全体がまったりとした感じで進み、
ラストまで平坦な形で終わってしまった、
という感じもありました。

城山羊の会の作品のエロスというのは、
シェイクスピアやモーツァルトに近い感じのそれですね。
この作品の若い男女と大人の男女を対比させる設定とか、
何より「森の番人」という設定などに、
「夏の夜の夢」や「フィガロの結婚」が彷彿とされます。
現代的なものとは少し味わいの違う、
古典的なエロスが描かれていて、
それがこの作品を格調高くしている一因だと思います。

役者は岩谷健司さんと岡部たかしさんがともかく抜群で、
今回は岩谷さんのお父さんが岡部さんという、
ちょっとあり得ないような設定なのですが、
それが何となく納得させられてしまう、
というだけでも凄いですし、
今や2人とも映像でも売れっ子ですが、
間合いにしても表情にしても、
映像とは全然別個の表現、
城山羊の会ならではの芝居を、
貫いている点が素晴らしいと思います。

小劇場の実力のある役者さんは、
テレビや映画などに出てそれなりに売れるようになると、
演技のスタイルが変わってしまって、
雰囲気もこぎれいになってしまって、
舞台に出るととてもつまらなくなってしまう人が多いですよね。
岩谷さんも岡部さんも、
1つの会話に2つのリアクションを時間差で微妙に付け加えるような、
城山羊の会特有の演技術を、
とても高いレベルで、
かつ素人の観客にも分かり易いように、
映像で売れても舞台では質を落とさず演じ続けているという点に、
今回はとても感銘を受けました。

今回は体調も悪く、
集中力もやや切れ気味の観劇であったので、
次回は体調万全で新作を待ちたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ご下さい。

石原がお送りしました。
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