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新型コロナワクチンのデルタ株への有効性(ニューヨークの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ニューヨークのコロナワクチンの有効性.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年12月1日掲載された、
新型コロナワクチン3種の有効性を、
ニューヨークで経時的に検証した論文です。

新型コロナウイルスワクチンのうち、
ファイザー・ビオンテック社とモデルナ社による、
2種類のmRNAワクチンと、
アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンに、
若干の差はあるものの、
高い有症状感染の予防効果と重症化予防効果のあることは、
ほぼ確認されている事実です。

しかし、その有効性はデルタ株の感染が、
世界的に主流となるにつれて低下しています。
ただ、それがデルタ株の特性によるものなのか、
それともワクチン接種後の時間経過によるものなのか、
と言う点については、
色々な推測はあるものの、
実地の臨床データは少ないのが実際です。

今回の検証はニューヨークにおいて、
ワクチン接種歴と新型コロナワクチンの感染歴が確認されている。
8690825名のデータを解析したものです。
そのうち150865名が新型コロナウイルス感染症の診断事例で、
14477名が入院となった重症事例です。

2021年5月1日の週ではデルタ株の感染は全体の1.8%でした。
ファイザー・ビオンテック社ワクチンのその時点での有効率の中間値は、
91.3%(84.1から97.0)で、モデルナ社ワクチンは96.9%(93.7から98.0)、
アストラゼネカ社ワクチンは86.6%(77.8から89.7)と算出されました。

3種類のワクチンの有効性は時間と共に同じように低下し、
2021年5月1日の週には中間値で93.4%(77.8から98.0)であったのが、
デルタ株が全体の85.3%であった7月10日頃には73.5%(13.8から90.0)となり、
デルタ株が99.6%になった8月28日の週には74.2%(63.4から86.8)に低下していました。

その一方で新型コロナウイルス感染の入院リスクは、
18歳から64歳の年齢層においては、
3種のワクチンの全経過において86%を超えていて、
デルタ株が拡大した時期においても低下することはありませんでした。

65歳以上の年齢層での入院リスクは、
2021年の5月から8月の間に、
ファイザー・ビオンテック社ワクチンが94.8から88.6%まで低下。
モデルナ社ワクチンも97.1から93.7%に低下していました。
アストラゼネカ社ワクチンは、
元の重症化予防効果はやや見劣りがする一方、
その低下幅は小さくなっていました。

今回のニューヨークのデータでは、
3種類のワクチンのいずれにおいても、
デルタ株に対する有症状感染の有効率は低下していましたが、
高齢者以外の重症化予防効果は、
高く維持されていることが確認されました。
ただ、65歳以上の年齢層では重症化予防効果も低くなっていて、
今後はより詳細な検証が必要と考えられます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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