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「イヌビト~犬人~」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
イヌビト.jpg
新国立劇場のレパートリーとして、
長塚圭史さんの作・演出、
コンドルズの近藤良平さんが出演と振り付け、
首藤康之さんと松たか子さんが出演して、
それ以外に10人のダンサーが加わるという、
なかなか豪華な組み合わせの舞台が、
本日まで上演されています。

新型コロナでバタバタと演劇が上演中止となってから、
劇場に足を運ぶのは今回が初めてです。

客席は互い違いにして半数に縮小され、
トイレの便器も2カ所に1カ所は使用禁止にされています。
入り口で住所氏名を記載して渡すのですが、
スタッフへの手渡しはせず、
箱に自分で入れるように指示されますし、
チケットのもぎりも自分で行い、
半券を自分で箱に入れるように指示されます。
パンフレットの受け渡しもスタッフは触れません。
売店はペットボトルのみを販売していて、
これもスタッフは手を触れずに受け渡しをします。
スタッフは全員マスクとゴーグル、手袋を付けています。
広いロビーには間隔を取って椅子が並べられ、
観客の密な接触を徹底して避けるようにしています。
ここまで徹底した感染防御は初めてで、
ちょっと感心しました。

上演されたのは1時間20分ほどの短い音楽劇で、
大人も子供も楽しめると銘打たれています。
かつての別役実の児童劇や、
寺山修司の児童劇に似た趣向と感じました。

内容は、犬から人へ、そして人から人へと、
噛みつくことで感染するイヌビト病という伝染病があり、
それが蔓延した町を訪れた犬好きの家族が、
次々とイヌビトになってゆくというお話です。
前半の骨格は如何にも別役という感じで、
朔太郎の「猫町」やイヨネスコの「犀」などの影響も、
そこかしこに感じられます。

勿論新型コロナの流行が影を落としていて、
台詞にも随所にその影響が感じられますし、
ラストは犬人と人間が犬の記憶で和解するという、
「ウィズコロナ」を長塚さんなりに咀嚼したような、
複雑な味わいのエンディングに至ります。
語り部の松たか子さんは透明なフェイスガードを付け、
ダンサー達は台詞を喋る時はグレイのマスクを付けます。
マスクに一応の必然性があるような説明があるのが、
工夫が感じられます。

近藤良平さん振り付けのダンスは、
僕は正直あまり好みではありません。
ラストは全員で車座になって、
ダンス対決みたいになるのですが、
これ、天井桟敷のラス前と同じ趣向でしょ。
脳内で比較してしまうので、
「もっと超人的な動きを見せてよ」というように、
どうしても思ってしまいました。

悪くはないのですが、
あまり完成度の高い作品ではないですね。

前半は如何にも別役という感じなのですが、
後半は語り部の松たか子さんがメインになって、
メタフィクションめいた雰囲気になります。
ただ、それが徹底されるという感じではなく、
ダンス対決で何となく終わりになってしまうのです。
意欲作だとは思うのですが、
もう一押しが欲しいところです。

キャストは何と言っても松さんで、
間違いなく当代最高の舞台女優の1人と思いますが、
今回は出ずっぱりで歌も沢山歌ってと大活躍で、
とても眼福で堪能しました。
これだけで元は取ったように感じました。

演劇はコロナ禍の中では相当厳しいと思いますし、
あまり劇場に足を運ぼうという気分でもなかったのですが、
劇場も芝居自体も、
何か必死で生きているという感じはあって、
また時々は足を運ぼうかな、
という気持ちにはなったのです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

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