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新型コロナウイルス感染症の不活化ワクチンの効果(第1相、2相臨床試験) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルス不活化ワクチンの有効性.jpg
JAMA誌に2020年8月13日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルスに対する、
中国の不活化ワクチンの臨床試験結果をまとめた論文です。

新型コロナウイルスに対するワクチン開発は、
世界的に急ピッチで進められていますが、
まだ実用に至ったものはありません。

これまでにウイルスベクターワクチンや、
RNAワクチン、DNAワクチンなど、
新しい製法によるワクチンの紹介をしましたが、
今回のものは季節性インフルエンザウイルスのワクチンと、
基本的には同じ製法の、
アルミニウムの免疫増強剤を添加した不活化ワクチンです。

これは中国の国営企業を中心とした、
研究グループによるものです。

今回はその第1相及び第2相の臨床試験結果をまとめたもので、
第1相臨床試験では、
96名の健康な対象者に、
少量、中用量、高用量のワクチンを、
初回、28日後、56日後に3回筋肉注射し、
アルミニウムのみの偽ワクチンと、
副反応と有害事象、
接種後の抗体上昇を比較検証しています。

その結果、
主な副反応は皮膚の発赤や痛みなどで、
重篤な副反応や有害事象は認められず、
抗体上昇には中用量と高用量で明確な差はありませんでした。

そのため、第2相の臨床試験では、
ワクチンは中用量に固定して、
より224名の被験者を、
ワクチン接種群とアルミニウムのみの偽ワクチン群に分け、
初回と14日後、もしくは初回と21日後の2群に分けて、
2回目の接種の14日後の抗体上昇を比較しています。
2回の接種後には有意な抗体上昇が認められ、
3週間間隔の接種後の方が、
より高い抗体上昇が認められています。

このように、
古い製法の不活化ワクチンは、
ウイルスベクターワクチンなどと比較すると、
全身的な有害事象は少なく、
短期的な安全性は高いと思われます。
その有効性はまだ短期的な抗体上昇のレベルでしか、
確認されていない状況なので、
まだ何とも言えませんが、
今後の検証を待ちたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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