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新型コロナウイルス感染症の重症化と血糖値との関連 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルス重症化と血糖値.jpg
Diabetes Research and Clinical Practice誌に、
2020年8月24日ウェブ掲載された、
血糖値と新型コロナウイルス感染症の重症化との関連についての、
中国発のデータです。

新型コロナウイルス感染症が、
糖尿病の患者さんでは重症化しやすく、
生命予後も悪い可能性がある、という知見は、
流行の比較的早期の段階から複数寄せられていました。

糖尿病で血糖コントロールが悪い状態においては、
感染が悪化しやすいこと自体は以前から知られている知見ですから、
これは想定内の事実であるとも言えます。

一方で高血糖のみならず、血糖が低値であることも、
糖尿病の患者さんでは死亡リスクの上昇に繋がる、
という報告があります。
ただ、低血糖と新型コロナウイルス感染症との関係についての、
明確な知見はまだ得られていません。
また、糖尿病の患者さん以外でも、
血糖が低ければ感染症の予後に関連するのか、
といった点についても明らかではありません。

今回の研究は中国温州市の5カ所の病院において、
293名の糖尿病のない新型コロナウイルス感染症の患者の予後と、
入院時に採取された血液で測定した血糖値との関連を検証しています。

空腹時血糖を、
85.32mg/dL未満、85.32から93.78mg/dL、93.78から104.04mg/dL、
104.04から126.9mg/dL、126.9mg/dL以上、
の5群に分けて分析すると、
肺炎や呼吸不全などを来した中等症から重症の事例は、
順に20.7%、1.7%、13.8%、27.1%、67.2%となっていました。

これは空腹時血糖が85.32から93.78mg/dLの範囲が、
最も感染の予後が良いことを示していて、
それより血糖値が高いことも、低いことも、
いずれも重症化のリスクの増加に繋がることを示しています。

最も予後の良い群と比較すると、
最も血糖が低い群で25.33倍(95%CI:2.77から231.64)、
最も高い群では38.93倍(95%CI: 4.36から347.48)、
重症化のリスクは高くなっていました。

これはかなりクリアな結果ですが、
入院時の血糖値の若干の高低が、
ここまで感染症の予後に影響を与えるものだろうか、
という疑問は正直なところ感じざるを得ません。

興味深いデータではありますが、
今後別個のデータでも同様の結果が出るまでは、
まだ鵜呑みにはしない方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。

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「インセプション」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
インセプション.jpg
2010年制作のヒット作「インセプション」が、
クリストファー・ノーラン監督特集の一環として、
アイマックスでリバイバル上映されました。

僕はこの映画が封切られた頃は、
殆ど映画を観ていなかったので、
スクリーンで観るのは今回が初めてです。

ノーラン監督は「メメント」の迷宮のような技巧的世界が、
非常に印象的で面白かったので、
どうしてもその世界を個人的には期待してしまうのですが、
どちらかと言えば即物的で力押しのアクション描写が、
最近の映画ではむしろ売りなのかなあ、
という印象もあります。

その中ではこの「インセプション」は、
雰囲気的には夢を利用して考えを植え付ける、
というSF的なアイデアと、
何層構造もの夢の表現など、
その技巧的な雰囲気が、
これは「メメント」の再来ではないかしら、
という気配があって、
「メメント」をグレードアップしたような作品になることを、
期待しつつ劇場に足を運びました。

観た後の感想としては…

うーん。
正直期待したほど面白くはなかったですね。

3層構造の夢に入り込むというお話になっているのですが、
その夢というのが、
一番上の階は普通の町で、
1つ下の階はただのホテルで、
一番下の階は雪山の要塞みたいな病院(?)なんですよね。
夢なんだから、もっと幾らでも面白いビジュアルが成立しそうなのに、
なんでこんなに平凡な設定にしてしまったのかしら?
「インセプション」と言うと、
町が幾何学的に折り畳まれるようなビジュアルが有名でしょ。
でも、そうした超自然的な場面は、
前半にちょこっとあるくらいなんですよね。
本筋の夢に侵入して思考を変える、というお話に入ると、
普通のアクションシーンみたいなものが連続するだけです。
おまけにクライマックスは3カ所の同時進行になるので、
細切れの場面がひたすら続くだけで、
とても盛り上がるという感じになりません。

ノーラン監督の映画の、
これは1つの特徴と言って良いように思うのですが、
盛り上げておいて、
肝心のところで決定的なカット、
それがないと、と思える様なカットを、
省いてしまうでしょ。
この映画でも夢の階層をまたぐところとか、
何かそれを示すような絵が必要だと思うのに、
それをやらないですよね。
最後にディカプリオが現実に戻るところも、
その前に渡辺謙が自殺しないといけないのに、
それをやらないでしょ。
ここまで来ると、技術的な問題じゃなくて、
監督のこだわりなのだろうなあ、とは思うのですが、
そのこだわりにはいつも納得が出来ません。

それから今回の上演は、
アイマックスは画像が粗くて駄目でしたね。
ただ、大きく拡大しただけ、という感じでした。

そんな訳で期待が大きすぎたのかも知れません。

やや落胆して映画館を後にしたのですが、
後でもう一度テレビで見直してみると、
まあかなり考え抜かれた、
面白い映画ではあるように思いました。
元々好きなジャンルなので、
僕の求めているイメージが、
期待として先行してしまったような気もします。

映画も難しいですね。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

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「事故物件 恐い間取り」(映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。

今日はこちら。
事故物件 恐い間取り.jpg
事故物件に住むことで人気の芸人の実話を元に、
虚実ない交ぜの心霊ドラマを描いた映画です。

監督はジャパニーズホラーの旗手であった中田秀夫さんですが、
最近は安手の若手スターを配した、
企画もののような映画の演出が多く、
時々ホラーを撮っても、
往年の冴えはない薄っぺらな作品で、
ガッカリさせられることが多いのが正直なところでした。

そんな訳で今回の作品も、
あまり期待はしていなかったのですが、
今回はなかなか歯ごたえのある力作で、
今の中田監督としては、
かなり会心作の部類ではないでしょうか?

これね、色々な事故物件を巡るという、
オムニバスなんですね。
「呪怨」に似た発想ですね。
ぼんやりした影みたいなものではなく、
実体化幽霊がバンバン出て来るのですが、
見せ方はバリエーション豊富で工夫されていますし、
映像も綺麗で凝っていますよね。
だんだんスケールアップしてゆく感じも、
なかなか良いのです。

キャストも良かったですよね。
主役の亀梨さんもあまりニンではない役柄を、
踏ん張って演じていて好印象。
相棒の瀬戸康史さんの屈折した感じも、
技ありで、意図したものかどうか、
月亭八方さんそっくりです。
まあ何よりヒロインの奈緒さんが、
持ち前の怪しいムードを、
十全に発揮して見事な存在感でしたよね。
今幽霊を見た芝居をさせたら、
彼女に勝る女優さんはいないと思います。
そして、隠し球は赤いスーツの江口のりこさんで、
その怪演が色々意味で作品の後半のカラーを決定していました。

そう、この映画はクライマックスで、
コメディに振れるんですね。
その部分を許せるかどうかが、
この映画を丸ごと許せるかどうかの、
一番のポイントで、
正直僕はとても微妙なところです。

ただ、「ポルターガイスト」も「スイートホーム」も、
クライマックスは、
家族の愛が悪霊を退散させる、みたいな、
お恥ずかしい感動場面になるでしょ。
ホラー作家は意外にそうしたオチが好きなようです。

それと同じと思えばいいのかも知れません。
ただ、この映画はそれでもラストで、
ギャグを恐怖に反転させて帳尻を合わせています。
この辺りに今回は中田監督の本気度を見る感じはします。

そんな訳で、
かつての「女優霊」や「リング」のような、
ヒリヒリするようなテイストとは全く違うのですが、
中田監督としてはかなり本気度の高い力作で、
脱力の部分を許容出来る方なら、
まずはお勧めのホラーの力作ではあると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

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血液の脂質濃度と肺炎リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
産業医活動などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
HDLコレステロールと肺炎リスク.jpg
the American Journal of Medicine誌に、
2020年8月15日ウェブ掲載された、
血液の脂質濃度と将来の肺炎リスクとの関連についての論文です。

コレステロールや中性脂肪などの血液の脂質濃度が、
動脈硬化や心血管疾患のリスクと関連していることは、
今では一般の方にもよく知られている事実です。

ただ、血液の脂質濃度は動脈硬化ばかりでなく、
身体の免疫系にも大きな影響を与えていることが、
最近注目される知見となっています。

細菌感染やウイルス感染においては、
血液の脂質バランスに変化を与え、
感染の重症度とその脂質の変化との間にも関連がある、
という報告が複数認められています。

急性感染症の患者のデータでは、
善玉コレステロールと称されるHDLコレステロールの低値と、
総コレステロール値の低値、
中性脂肪の高値が認められるというデータもあります。

ただ、こうしたデータは主に、
感染症の罹患時に血液の脂質を測定しているものです。
しかし、もし脂質の異常が免疫系に影響を与えて、
それが感染症のリスクに結び付いているものだとすれば、
そこには一定のタイムラグがある筈です。

そこで今回の研究では、
アメリカの動脈硬化のリスク因子を検証した、
疫学研究のデータを活用して、
登録の時点での脂質濃度とその後最初に肺炎で入院するまでに時間から、
脂質濃度と肺炎リスクとの関連を検証しています。
中間値で21.5年という長期の経過観察がなされています。

その結果、
中性脂肪が高値であるほど、
HDLコレステロール濃度が低値であるほど、
入院を要する肺炎のリスクが高くなることが確認されました。
中性脂肪については10mg/dL上昇する毎に2%(95%CI:1.02から1.03)、
HDLコレステロールについては10%(95%CI:0.87から0.92)、
有意に肺炎のリスクは増加、もしくは減少していました。
一方で総コレステロールとLDLコレステロールには、
そうした関連は認められませんでした。

今回の検証では中性脂肪の高値とHDLコレステロールの低値が、
その後の肺炎リスクと関連のあることが確認されました。
これが原因と結果の関係であるのか、
それとも何か別個の原因を介しての関係であるのかは、
まだ分かりませんが、
脂質異常症は動脈硬化性疾患のみならず、
肺炎のような感染症との関連があるという今回の知見は大変興味深く、
そのメカニズムと脂質の改善による肺炎の予防効果を含めて、
今後の検証に期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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大気汚染と喘息リスク(デンマークの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
PM2.5と喘息リスク.jpg
British Medical Journal誌に2020年8月19日ウェブ掲載された、
気管支喘息の発症リスクに与える、
大気汚染などの影響についての論文です。

気管支喘息は気道のアレルギー性の炎症で、
両親が喘息を持っていると、
お子さんにも発症することが多いことから、
体質的にそのなりやすさが決められていることは、
ほぼ間違いのない事実で、
関連する遺伝子も複数報告されています。
その一方で、
喘息の発症には小児期の環境要因が、
大きいこともまた知られています。

世界的に喘息の罹患率は上昇していますが、
そこには何等かの環境要因が、
存在していると考えられるからです。

たとえば、小児期の受動喫煙が、
喘息のリスクを高めることが報告されていますし、
大気汚染の多い都市部では喘息が多い、
という報告も複数認められます。

汚染された空気を吸い込むことが、
喘息発作を誘発したり、
その急性増悪の原因となることは間違いがありません。

ただ、大気汚染に小児期に曝露することが、
長期的に喘息の原因となるのか、と言う点については、
それを明確に示すようなデータはあまりないのが実際です。

今回の研究は、
国民総背番号制が取られているデンマークで行われたもので、
1997年から2014年に出生した全ての国民を対象として、
1歳から15歳の間に喘息の診断がされたり、
持続的な喘鳴症状が認められるリスクと、
その危険因子との関連を解析しています。
対象者数は3192785名という非常に大規模なもので、
15歳までにそのうちの122842名が、
喘息もしくは持続性の喘鳴と診断されていて、
その83%は3歳未満で発症しています。

両親のいずれかが喘息であると、
お子さんが喘息や持続性喘鳴になるリスクは、
2.29倍(95%CI: 2.22から2.35)と最も高く、
妊娠中に母親が喫煙をしていると、
1.20倍(95%CI: 1.18から1.22)とこれも有意に増加していました。
一方で両親が高学歴であると28%(95%CI: 0.69から0.75)、
高収入であると15%(95%CI: 0.81から0.89)、
喘息や持続性喘鳴のリスクは有意に低下していました。

大気汚染の関連では、
PM2.5とPM10、二酸化窒素が大気中に多い地域で生活すると、
喘息や持続性喘鳴のリスクは高い傾向が認められ、
特にPM2.5については、
他の関連因子を補正しても、
その濃度が高いほど、
喘息や持続性喘鳴のリスクの増加が認められました。

今回の検証においては、
特に妊娠からお子さんが3歳になるくらいまでの期間において、
妊娠中のお母さんの喫煙、
両親の喘息の家族歴、
PM2.5の大気中濃度が多い地域での生活は、
その後の喘息や持続性喘鳴の、
リスクを増加させることが確認されました。

今後こうした知見を元に、
喘息予防の観点からの大気汚染対策が、
重要になってくるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

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新型コロナウイルスの乳汁移行について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は少し積み上がった事務仕事に当てる予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルスの乳汁移行.jpg
JAMA誌に2020年8月19日ウェブ掲載されたレターですが、
出産直後に新型コロナウイルスに感染した18名の女性において、
乳汁中のウイルスの有無を検査した内容です。

新型コロナウイルス(SARS-CoV2)が、
感染している産褥期の女性の乳汁に分泌され、
それが新生児や乳児の感染に繋がるかどうか、
という点については、
妊娠前後の女性が感染したケースでは、
その管理の上で大きな問題となる事項です。

以前報告された24のケースレポートでは、
4人の感染女性の乳汁の10の検体から、
RT-PCRで陽性が確認された、
という結果になっていました。

つまり、授乳からの感染もあり得るという結果です。
ただ、RT-PCRの陽性は、
必ずしも感染力のあるウイルスが、
乳汁中にあるということを示していません。
また、乳汁は皮膚の分泌物や唾液などで汚染されやすく、
それが混入したという可能性も否定は出来ません。

今回の研究はアメリカの病院において、
18名の新型コロナウイルス感染症と診断された授乳女性に、
時期を変えて64の乳汁のサンプルを採取し、
RT-PCR検査でウイルスRNAの有無を確認しています。

その結果、
1検体のみが陽性となり、
それは症状出現当日のものですが、
その前後の検体は全て陰性で、
陽性の検体でもウイルスの培養には成功しませんでした。

乳汁に人為的にウイルスを混合して低温殺菌すると、
ウイルス遺伝子は検出されなくなりました。

このように、
乳汁中に新型コロナウイルスが認められることは稀で、
仮に検出されてもそこから感染可能性は低く、
低温殺菌で処理することにより、
安全に使用可能であると考えられます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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軽症および無症状の新型コロナウイルス感染症での細胞性免疫 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
メモリーT細胞とコロナウイルス.jpg
Cell誌に2020年8月14日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の、
液性免疫(抗体産生)と細胞性免疫の乖離についての論文です。

新型コロナウイルス感染症の免疫については、
現状不明な点が多く、
それが対策の議論を混乱させる大きな要因となっています。

新型コロナウイルスに感染すると、
身体は免疫によりウイルスに対抗し、
ウイルスの駆除に成功すると、
液性免疫として血液の抗体価が上昇し、
細胞性免疫としては、
メモリーT細胞という、
新型コロナウイルスに特異的に反応する、
リンパ球が産生されます。

この免疫が適切に保持されている期間においては、
再度新型コロナウイルスが身体に侵入しても、
それは速やかに排除されるので、
病気の症状を出すには至らないのです。

この液性免疫と細胞性免疫は、
相互に関係しながらウイルスの駆除に働くので、
通常は両者が同時に活性化され維持されます。

しかし、場合によっては、
抗体価は充分上昇していても、
病気の症状が部分的に発症するようなケースや、
逆に抗体価はもう低下していても、
細胞性免疫は保たれているので、
その病気には罹りにくい、
というようなケースもあります。

たとえば、
水痘のウイルスに感染すると、
その後抗体価の上昇により、
一生水痘自体に罹るということはありませんが、
細胞性免疫の低下により、
同じウイルスの活性化による、
帯状疱疹という別の病気には、
複数回罹患するという現象が知られています。

新型コロナウイルス感染症の場合、
血液の抗体価は感染後1週間を過ぎると増加を始め、
4週間以内には中和抗体が陽性となって、
ウイルスは駆除されます。
しかし、この抗体の上昇はそれほど長期間は維持されず、
数か月で陰性化することも稀ではないと報告されています。
特に症状が軽症や無症状の感染においては、
概ね抗体価の上昇も軽度にとどまり、
抗体の上昇自体が認められないケースすら報告されています。

その一方でメモリーT細胞の活性化などの細胞性免疫は、
抗体価よりも長期間維持されるという報告があります。

今回の研究では、
スウェーデンでの感染者や無症状のその家族、
非感染者など背景の分かっている206名の血液検体を解析して、
新型コロナウイルスに対する、
液性免疫と細胞性免疫の状態を比較検証しています。

その結果、
非感染者と比較して、
感染者は無症状の患者も含めて、
細胞性免疫の機能は高度に活性化されていて、
新型コロナウイルス特異的なT細胞の活性化は、
血液の抗体価が陰性の患者においても確認されました。
更には非感染者の中にも、
一定の同様のT細胞の活性化は認められていて、
これは従来の風邪症候群の原因ウイルスである、
他のコロナウイルスの免疫が、
交差免疫として作用している可能性を示唆していました。

つまり、
軽症者や無症状の感染者においては、
液性免疫の活性化は弱く、
抗体上昇も弱いのですが、
細胞性免疫に関しては、
重症者と変わりない機能が維持されていることが、
明確に確認されたのです。

この液性免疫と細胞性免疫との乖離を、
どのように考えるのかは難しいところで、
抗体上昇はなくても一定の免疫が維持されて、
長期間再感染が起こらないのだとすれば朗報ですが、
今回のデータは決して感染しないことの証明にはなっていません。
また、ワクチン開発についても、
どのような指標を持って、
免疫が保持されたという判断をするべきなのか、
要するにワクチンの有効性をどのようにして判定するのか、
より困難になったという側面もありそうです。

今後も多くの知見が、
この問題については積み上げられてゆくと思いますが、
この感染症の本態が明確になるのは、
それほど簡単なことではなさそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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新型コロナウイルス感染症抑制のための有効な対策は何か? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルス感染と検査スケジュール.jpg
the Lancet Infectious Diseases誌に、
2020年8月18日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の流行を抑制するための、
効率的な検査のあり方を検証した論文です。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者によるもので、
実際の臨床データを解析したものではなく、
数理モデルを使って理論的に予想したものですが、
今最も必要とされている情報を分かり易く示した、
非常に意義のある研究です。

日本における新型コロナウイルス感染症(Covid-19)は、
明確に市中感染という状況になっています。

感染を予防するための努力は、
マスクの着用やソーシャルディスタンシングの試み、
会食などリスクのある行為を避ける、
手指消毒の励行など、
これまでにないほど草の根的に行われているのですが、
それでも流行の拡大は、
とても目に見えて収束しているとは言えない状況です。

これ以上何をするべきなのでしょうか?

今年の4月から5月のような、
原則外出や移動の禁止というような措置を取ると、
それが有る程度実行されれば感染が収束することは、
その後の経緯を見ればほぼ明らかです。

その一方でその措置を少し緩めれば、
短期間でまた感染が拡大することは、
これも現実の経緯をみれば明らかです。

ただ、経済を廻すということを考えれば、
同じような措置を今取ることは非常に難しい、
という事実が問題を深刻なものにしています。

そこで現状検討されていることは、
診断のための検査をより増やしたり、
医療従事者や介護施設の職員など、
感染を広げるリスクが非常に高い対象者に、
定期的な検査を行う、
というような対応です。

ただ、こうした方法は行き当たりばったりに行うべきではなく、
少なくとも理論的には、
一定の効果がデータに基づいて推測可能であることを前提として、
行う必要があると思います。

この場合、
どのような指標をその有効性の物差しにするべきでしょうか?

上記文献の著者らの考えでは、
それは基礎再生産数(R0)という指標です。

R0というのは、
その時点で1人の患者が何人に感染を広げるのかを、
示す数値です。

中国でまとめられた疫学データによれば、
その感染拡大初期におけるR0は、
2.2と算出されています。
その後は3を超えているという推測もあります。

この数値が1を上回っている限り感染は拡大します。

従って、感染を封じ込めるためには、
感染者を隔離するなどして、
この数値を1に近づけ、それより低下させる、
という必要がある訳です。

新型コロナウイルス感染症は、
これまでのデータより、
およそ33%が無症状の感染で、
その無症状での感染力は、
有症状の50%程度と想定されています。
こうしたデータを元にして解析を行います。

まず、各個人が、
発熱や咳、味覚嗅覚障害などの症状を自覚した時点で、
他人との接触を避ける自己隔離をするとします。
この対処によりその集団の基礎再生産数は、
47%低下させる効果が期待されます。
これはある感染者の症状が出現してから、
その感染者から感染した、
次の感染者の症状が出現するまでを、
6日間として算出されたものですが、
仮にこの期間が8日になると、
無症状の時期における感染率は42%から26%に低下し、
自己隔離による基礎再生産数の低下率は60%に増加します。

次にRT-PCR検査の施行のタイミングについてです。
こちらをご覧下さい。
PCR検査陽性率有症状.jpg
これは想定としては、
感染してから4日後からRT-PCR検査が陽性となり、
6日後から症状が出現するという図になっています。

症状出現前にも感染は起こりうるのですが、
あまり早期にRT-PCR検査を行うと、
感染していても陰性となる可能性が高く、
感染していないと油断して、
自己隔離を守らなくなるというリスクが生じます。

早く検査を行ったから良い結果がもたらされる、
とは限らないのです。

次にこちらをご覧下さい。
PCRの陽性率無症状.jpg
これは無症状の感染の場合です。
この場合も平均化すると、
接触して感染してから4日くらいでRT-PCR検査が陽性となり。
感染力は6日後くらいにピークになります。

無症状のケースが一番厄介なのですが、
濃厚接触の時期が特定されていれば、
その6日後くらいに検査をすることが、
一番陽性者を検出しやすい、
ということが分かります。
逆に接触から3日以内での検査は、
あまり意味があるとは思えません。

このデータを元に、
今度は医療従事者や介護職員に、
定期的にRT-PCR検査を行うことの有効性を考えます。

1週間に1回定期的にRT-PCR検査を行い、
その結果が24時間で出て、それを元に隔離が行われた場合、
症状が出てからすぐに自己隔離する対応と比較して、
上乗せで23%の感染予防効果が期待出来ます。
つまり、リスクの高い集団では、
スクリーニングとして週に1回検査を行うことには、
一定の意義が確認されたのです。
ただし、検査の精度は高く、
迅速に結果が出てそれに沿ってすぐに陽性者の隔離が可能、
という精度とスピード感がないとその効果は限定的です。

今回の論文では重要なポイントが幾つかあります。
まず、今ある多くの感染拡大予防策の中で、
最も有効なのは症状が出た時点で、
速やかに他人との接触を避ける自己隔離をする、
という方法です。
感染を半分近く抑制する効果があり、
あらゆる対処法のうちで現時点ではベストなのです。

これは必ずしも検査をすることとセットではありません。
検査を行うことで、
同じ症状でも別の感冒などの病気の患者を、
除外することが可能となる一方、
感染していても陰性というケースを発生させることにより、
むしろ感染リスクを増加させてしまう、
という側面もあるからです。

ただ、多くの患者さんにとって、
「感染しているかどうか分からない」という状態より、
「検査で感染が確認されています」
という状態の方がストレスが少なく、
対応しやすいことは間違いがありませんから、
検査をすることの一定の意義はあると言えるのです。

勿論中等症以上の症状が見られるケースでは、
的確に診断を行った上で治療を行う必要があります。
今回の文脈での「検査の必要性」というのは、
敢くまで感染拡大抑止に効果があるか、
という点での議論で、
個々の患者さんの予後とは無関係である点に、
注意をして頂きたいと思います。

次に無症状者への対応ですが、
無症状者に一律に、時期や間隔を決めずに検査を拡大することは、
現状ではその有効性が実際にも、理論的にも、
証明はされていないので現時点では行うべきではありません。

ただ、無症状の感染者の拾い上げに検査をすることで、
感染の広がりを抑制する可能性はあるので、
濃厚接触者については検査の意義はないとは言えません。
この場合、確率的に考えると、
接触してから6日程度で検査をすることが、
最も効率的であると考えられます。

医療従事者や介護職員など、
感染者と接触するリスクが高く、
重症になる可能性の高い対象者に、
感染させるリスクも高い集団では、
1週間に一度無症状でもRT-PCR検査をすることで、
一定レベル感染を抑制する効果が期待されます。
ただ、その場合精度の高い検査を行うことと、
検査結果が迅速(24時間以内)に得られる環境、
その結果により速やかに陽性者が隔離出来る体制作りが、
その前提として必要となるのです。

今後形はどうあれ、
スクリーニングを含めたRT-PCR検査の拡充が、
行われることになると思いますが、
それが施策全体として有効に機能するためには、
事後の処置を含めたトータルなシステム設計と、
数ではなく検査の質の担保が、
何より重要となるのではないでしょうか。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「アルプススタンドのはしの方」(映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
アルプススタンドのはしの方.jpg
高校演劇の名戯曲として有名で、
単独で上演もされた同題の戯曲を、
映画化した作品です。

高校選抜甲子園の1回戦、
はぐれ者の数人の高校生が、
アルプススタンドのはしの方で、
応援するでもなくぼんやりと試合を眺めています。

色々な理由で1人悩んでいたり、
野球部を辞めてしまったり、
野球部の先輩に恋をしていたりと、
様々な理由でその「はしの方」を選んだ高校生達が、
試合の推移と共に、
互いに少しずつ交流し、
最後は何故か熱のこもった応援を、
試合に向けるようになるのです。

なるほど…
高校演劇の台本としては、
これ以上はないな、というくらいに、
巧みに構成されたお芝居で、
学生演劇関係者の全てから、
絶賛されるようなタイプのお芝居です。

高校野球の試合が舞台ですが、
試合自体は描かれることはなく、
それを観ている数人の観客、
それも皆から離れてアルプススタンドの片隅にいる、
訳ありの数人だけで舞台を成立させ、
見えない試合を見せよう、という趣向です。
「見えないものを見せる」というのは演劇の本質ですし、
舞台装置など殆どなくても成立出来るところが、
さすがクレヴァーです。

ただ、これを映画にして面白いのかしら、
ということになると、
「全てを見せる」のが映画ですから、
余程工夫しないと間抜けになるのでは、
というのは誰でも分かるところです。

そして、実際に映画版を観てみると、
中途半端に劇場中継のような、
自主制作映画のような、
合成カットや特殊効果を全てカットした、
大林宣彦監督のファンタジー映画のような、
微妙な出来映えになっていました。

これね、地方球場みたいなところのスタンドを使って、
他のブラスバンド応援などの姿を、
ところどころ挟みながら展開されていて、
実際の試合の模様は一切画面には出て来ません。

映画としては、これじゃ成立しないと思うのですね。

映画でこの物語をやるとすれば、
球場は甲子園は無理だと思うので、
地方予選の決勝くらいに設定して、
リアルに試合も映すべきでしょ。

設定が野球の試合の客席なのに、
試合を映さないのは映画としては駄目ですよ。
もし舞台そのままにやりたいのなら、
普通に舞台録画をドキュメンタリーみたいにやればいいでしょ。
演劇として映像化するというのであれば、
もっと幾らでもやりようはあると思うのです。
でも、この映画はそういう撮り方はしていないんですよね。
舞台の設定を映画化してリアルに見せよう、
という趣向である筈なのに、
演劇の不自然さをそのままやっているので、
どっちつかずになってしまっていると思うのです。

演技も稚拙でとても映画レベルではないし、
演出も自主映画レベルでした。

ちょっと「カメラを止めるな!」のように、
演技や演出自体は稚拙でも、
アイデア勝負の拾い物を期待したのですが、
どうもそうしたものではなかったようです。

普通に映画でも観ようか、
というような方にはとてもお勧めは出来ません。
内容を分かった上で、
ご興味のある方のみにお勧めです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で須田医師が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
赤い闇.jpg
2019年のポーランド・イギリス・ウクライナ合作映画で、
ウェールズ出身の若いジャーナリストを主人公に、
スターリン政権下のソ連ウクライナ(当時)で、
無理な政策により人為的に起こった飢饉の真実を、
世界に伝えようと苦闘する姿を描いた社会派映画を観て来ました。

題材となっているのは、
ホロドモールと呼ばれるウクライナの人為的飢饉で、
1930年代の初め、スターリンが外貨獲得のために、
小麦を無理に量産して、
それによりウクライナの農民が飢餓状態で大量死し、
カニバリズムも横行する事態となったのですが、
その実体は政権により隠蔽され、
囲い込まれたジャーナリストや文化人も、
ソ連の偉業を礼賛して不都合な真実には目を瞑った、
という出来事です。

飢饉があったことは事実ですが、
そこにスターリンの関与が何処まであったのかについては、
色々な見方もあるところですが、
今回の映画はウクライナも制作に加わって、
明確にスターリンと、
当時のソ連に迎合した大物ジャーナリストを、
完全に「悪」として描く立場です。

何処まで事実通りなのかは分かりませんが、
主人公の向こう見ずな若いジャーナリストが、
なかなか無謀で魅力的で、
スターリンにインタビューしたいと興味を持つと、
あらゆるコネを使い、紹介状を捏造までして、
モスクワに潜り込み、更にウクライナに潜入します。
特にウクライナの悪を糾弾して失敗した後、
新聞王ハーストに食らいつくところなど、
その執念としぶとさには、
思わず拍手したい気分になりました。

ただ、惜しいと思うのは、
肝心のウクライナの飢饉の描写が、
ただ雪に埋もれた寒村を主人公がうろうろしているだけ、
という感じで面白みも説得力もないことで、
ここはその悲惨さを明確に知らしめるような、
分かり易く決定的な「画」が、
必要ではないかと感じました。

また、キャラも主人公以外は、
善悪が明確な割には立っておらず、
ヒロインもモヤモヤした感じですし、
オーウェルの登場も何か中途半端でガッカリします。

トータルには、
かつてのイギリスの社会派娯楽大作という感じなのですが、
その割には小粒でキャラ造形も展開も弱く、
「せっかく良い素材なのに…」と物足りなくなる思いはありました。

そんな訳で今ひとつの映画ではあるのですが、
イギリス製の社会派娯楽映画の好きな方でしたら、
興味深い素材と共に観て損はない作品ではあると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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