ビタミンDによるうつ病予防は有効か? [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2020年のJAMA誌に掲載された、
ビタミンDのサプリメントのうつ病予防効果を検証する、
介入試験の論文です。
中高年のうつ病は腹痛や胸部痛など、
身体症状がメインとなることも多く、
治療にも困難が多いという特徴があります。
また、中高年のうつ病というのは、
脳梗塞や虚血性心疾患、認知症などを合併することが多く、
身体の器質的な疾患が、
その発症に関連しているという考え方もあります。
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進するなど、
骨代謝に深く関わっているビタミンですが、
血液のビタミンD(25(OH)D)濃度が低値であると、
その後中高年のうつ病を発症しやすいというデータがあります。
この知見は、
ビタミンDの不足が続くことが、
何らかのメカニズムで中高年のうつ病の発症に結び付いている、
という可能性を推測させます。
それでは、
中年の時期にビタミンDを補充することで、
その後のうつ病の発症を予防することが出来るのでしょうか?
この点についてはこれまでに、
複数の臨床試験が行われていますが、
明確な結論に至っていません。
今回の研究はアメリカにおいて、
50歳以上の一般住民18553名を対象として、
ビタミンDやオメガ3系脂肪酸のサプリメントの、
うつ病予防効果を検証したもので、
そのうちビタミンDのみの効果をまとめたものです。
対象者をクジ引きで分け、
一方はビタミンDのサプリメントを、
コレカルシフェロールで1日2000IU使用し、
もう一方は偽サプリメントを使用して、
中間値で5.3年の経過観察を行なっています。
その結果、
ビタミンDのサプリメントの使用は、
観察期間中のうつ病の発症リスクに、
有意な影響を与えませんでした。
この試験はうつ病の発症を見るには、
観察期間が短すぎるという気がしますし、
対象者ももともとは癌や心血管疾患の予防効果のための試験なので、
うつ病の発症予防効果をみるには、
適していなかったという可能性もあります。
従って、
対象者を選んで長期の検証を行なえば、
肯定的な結果が得られたという可能性も否定は出来ませんが、
少なくとも一般住民にサプリメントとしてビタミンDを使用しても、
それがうつ病の予防に結び付く、
という可能性はあまりないと考えて良いようです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2020年のJAMA誌に掲載された、
ビタミンDのサプリメントのうつ病予防効果を検証する、
介入試験の論文です。
中高年のうつ病は腹痛や胸部痛など、
身体症状がメインとなることも多く、
治療にも困難が多いという特徴があります。
また、中高年のうつ病というのは、
脳梗塞や虚血性心疾患、認知症などを合併することが多く、
身体の器質的な疾患が、
その発症に関連しているという考え方もあります。
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進するなど、
骨代謝に深く関わっているビタミンですが、
血液のビタミンD(25(OH)D)濃度が低値であると、
その後中高年のうつ病を発症しやすいというデータがあります。
この知見は、
ビタミンDの不足が続くことが、
何らかのメカニズムで中高年のうつ病の発症に結び付いている、
という可能性を推測させます。
それでは、
中年の時期にビタミンDを補充することで、
その後のうつ病の発症を予防することが出来るのでしょうか?
この点についてはこれまでに、
複数の臨床試験が行われていますが、
明確な結論に至っていません。
今回の研究はアメリカにおいて、
50歳以上の一般住民18553名を対象として、
ビタミンDやオメガ3系脂肪酸のサプリメントの、
うつ病予防効果を検証したもので、
そのうちビタミンDのみの効果をまとめたものです。
対象者をクジ引きで分け、
一方はビタミンDのサプリメントを、
コレカルシフェロールで1日2000IU使用し、
もう一方は偽サプリメントを使用して、
中間値で5.3年の経過観察を行なっています。
その結果、
ビタミンDのサプリメントの使用は、
観察期間中のうつ病の発症リスクに、
有意な影響を与えませんでした。
この試験はうつ病の発症を見るには、
観察期間が短すぎるという気がしますし、
対象者ももともとは癌や心血管疾患の予防効果のための試験なので、
うつ病の発症予防効果をみるには、
適していなかったという可能性もあります。
従って、
対象者を選んで長期の検証を行なえば、
肯定的な結果が得られたという可能性も否定は出来ませんが、
少なくとも一般住民にサプリメントとしてビタミンDを使用しても、
それがうつ病の予防に結び付く、
という可能性はあまりないと考えて良いようです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。
実年齢56歳、血管・骨年齢30代の名医が実践! コーヒーを飲む人はなぜ健康なのか?
- 作者: 石原 藤樹
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2020/07/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)