法界寺「薬師如来立像」(2016年秘仏公開) [仏像]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
先日奈良と京都に出掛けましたが、
最大の収穫は京都の法界寺で、
50年間開扉されなかった薬師堂の薬師如来様が、
お厨子の横からという変則的な形ですが、
特別の御開帳をされたことでした。
行くまで知らずにいたのですが、
帰りがけに情報を得たので、
慌てて出掛けたのです。
その薬師如来のお姿がこちら。
このお写真は、
平成20年刊の古寺巡礼のシリーズから取ったものです。
転載の許可は取っていませんので、
問題のあるようでしたらご指摘下さい。
50年非公開ということですが、
このお写真が50年前のものとは思えませんので、
記録や調査用の開扉はされているのだと思います。
ただ、このお写真は左側から撮られていて、
同じ向きの写真しか存在していないので、
未だかつて、
この薬師如来様の厨子の正面の扉が、
開かれたことはないことは事実のようです。
厨子の前には鏡が置かれて封印されています。
今回の公開でも、
仏様の左側の扉のみが開かれて、
横から拝観するという格好です。
ただ、本当に間近から、
覗き込むようにして拝観することが可能で、
係のボランティアの方が、
LEDライトを照らして頂けるので、
昔では考えられなかった、
ある意味無作法な感じではあるのですが、
鑑賞環境としては納得のゆくものでした。
この写真と同じように、
平安時代の造仏当時の切金文様が、
ほぼ完璧に残っていて、
非常に神秘的で美しいお姿でした。
同時に本尊の厨子の両側にある厨子の扉も開かれて、
鎌倉時代の十二神将が同時に御開帳されました。
そのお姿がこちら。
こちらも全て重要文化財の指定を受けていますが、
動きのある優れた造形で、
頭部に干支の動物が載っているところなど、
興福寺当金堂の十二神将に非常に良く似ています。
大きさは小さいのですが、
その造形美は勝るとも劣らないと思いました。
法界寺は阿弥陀堂が有名で、
僕は好きで何度か足を運んでいるのですが、
たまたまタイミングが合って、
ちょっと伝説的な薬師如来を拝することが出来たのは、
望外の喜びでした。
旅はこうしたことがあるので嬉しいですね。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
先日奈良と京都に出掛けましたが、
最大の収穫は京都の法界寺で、
50年間開扉されなかった薬師堂の薬師如来様が、
お厨子の横からという変則的な形ですが、
特別の御開帳をされたことでした。
行くまで知らずにいたのですが、
帰りがけに情報を得たので、
慌てて出掛けたのです。
その薬師如来のお姿がこちら。
このお写真は、
平成20年刊の古寺巡礼のシリーズから取ったものです。
転載の許可は取っていませんので、
問題のあるようでしたらご指摘下さい。
50年非公開ということですが、
このお写真が50年前のものとは思えませんので、
記録や調査用の開扉はされているのだと思います。
ただ、このお写真は左側から撮られていて、
同じ向きの写真しか存在していないので、
未だかつて、
この薬師如来様の厨子の正面の扉が、
開かれたことはないことは事実のようです。
厨子の前には鏡が置かれて封印されています。
今回の公開でも、
仏様の左側の扉のみが開かれて、
横から拝観するという格好です。
ただ、本当に間近から、
覗き込むようにして拝観することが可能で、
係のボランティアの方が、
LEDライトを照らして頂けるので、
昔では考えられなかった、
ある意味無作法な感じではあるのですが、
鑑賞環境としては納得のゆくものでした。
この写真と同じように、
平安時代の造仏当時の切金文様が、
ほぼ完璧に残っていて、
非常に神秘的で美しいお姿でした。
同時に本尊の厨子の両側にある厨子の扉も開かれて、
鎌倉時代の十二神将が同時に御開帳されました。
そのお姿がこちら。
こちらも全て重要文化財の指定を受けていますが、
動きのある優れた造形で、
頭部に干支の動物が載っているところなど、
興福寺当金堂の十二神将に非常に良く似ています。
大きさは小さいのですが、
その造形美は勝るとも劣らないと思いました。
法界寺は阿弥陀堂が有名で、
僕は好きで何度か足を運んでいるのですが、
たまたまタイミングが合って、
ちょっと伝説的な薬師如来を拝することが出来たのは、
望外の喜びでした。
旅はこうしたことがあるので嬉しいですね。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
神童寺「愛染明王坐像」 [仏像]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日までクリニックは連休です。
明日は外来は金曜日で休診なので、
連休後の外来は土曜日から、
ということになります。
今日は奈良、京都の仏像の話題です。。
今日はこちら。
京都の南で奈良の北方の南山城にある、
神童寺(しんどうじ)に伝わる愛染明王の坐像のお姿です。
これはお寺で売られている絵葉書の画像です。
特に許可は取っていないので、
問題があるようでしたらご指摘下さい。
南山城には、
蟹満寺や観音寺など、
平安時代以前の古仏を伝えるお寺が多いのですが、
その中でこの神童寺は、
これまで訪問する機会がありませんでした。
古仏の多くを収蔵する収蔵庫が、
改修工事をしていて、
その間に拝観が出来なかったのが、
その主な理由でした。
今回初めて拝観の機会を得て、
非常に感銘を受けました。
神童寺は非常に愛すべき小さな古寺で、
南山城ののどかな田園風景の中、
幾多の風雪を経て現在に至る古寺の魅力を湛えています。
このお寺は室町時代に造られた重要文化財の本堂があり、
そこには室町時代の蔵王権現立像が本尊として安置されています。
更に本堂から石段を登った背後の小山の上に、
鐘楼と共に収蔵庫があり、
その中には主に永安時代の古仏が、
十驅以上もズラリと安置されています。
全ての仏像がガラスケースやガラス越しではなく、
そのまま間近に拝観することが出来、
住職が丁寧に説明をして頂けます。
本堂もライティングがされていて、
拝観環境は申し分がありません。
仏像自体は写真では見ていて、
全体に造作が甘い感じがあり、
正直それほどの期待はしていませんでした。
しかし、実際に観るとその印象は大きく違いました。
平安時代の密教美術のプリミティブな魅力に満ち、
凄みのある迫力があるのです。
中でもこの愛染明王像は、
上方に弓を番う、
「天弓愛染」と呼ばれる他にあまり例のない構図が、
巧みに破格の感じを出していて、
多くの写真ではモノクロームな感じなのですが、
実際には護摩で燻された黒い姿の中に、
赤などの色彩が豊富に残っていて、
泥絵の曼荼羅のような、
不思議な魅力があります。
この像と白不動と称される不動明王の立像の二驅については、
間違いなく実物を拝むと印象が大きく変わると断言出来ます。
この仏像は京都国立博物館に出品されたことがあるのですが、
その時はライティングが悪く、
後背も欠損していて、
おまけにガラスケース越しの鑑賞でしたから、
とても今回のような感想を持つことは出来ませんでした。
あの博物館のライティングは、
本当に駄目だと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日までクリニックは連休です。
明日は外来は金曜日で休診なので、
連休後の外来は土曜日から、
ということになります。
今日は奈良、京都の仏像の話題です。。
今日はこちら。
京都の南で奈良の北方の南山城にある、
神童寺(しんどうじ)に伝わる愛染明王の坐像のお姿です。
これはお寺で売られている絵葉書の画像です。
特に許可は取っていないので、
問題があるようでしたらご指摘下さい。
南山城には、
蟹満寺や観音寺など、
平安時代以前の古仏を伝えるお寺が多いのですが、
その中でこの神童寺は、
これまで訪問する機会がありませんでした。
古仏の多くを収蔵する収蔵庫が、
改修工事をしていて、
その間に拝観が出来なかったのが、
その主な理由でした。
今回初めて拝観の機会を得て、
非常に感銘を受けました。
神童寺は非常に愛すべき小さな古寺で、
南山城ののどかな田園風景の中、
幾多の風雪を経て現在に至る古寺の魅力を湛えています。
このお寺は室町時代に造られた重要文化財の本堂があり、
そこには室町時代の蔵王権現立像が本尊として安置されています。
更に本堂から石段を登った背後の小山の上に、
鐘楼と共に収蔵庫があり、
その中には主に永安時代の古仏が、
十驅以上もズラリと安置されています。
全ての仏像がガラスケースやガラス越しではなく、
そのまま間近に拝観することが出来、
住職が丁寧に説明をして頂けます。
本堂もライティングがされていて、
拝観環境は申し分がありません。
仏像自体は写真では見ていて、
全体に造作が甘い感じがあり、
正直それほどの期待はしていませんでした。
しかし、実際に観るとその印象は大きく違いました。
平安時代の密教美術のプリミティブな魅力に満ち、
凄みのある迫力があるのです。
中でもこの愛染明王像は、
上方に弓を番う、
「天弓愛染」と呼ばれる他にあまり例のない構図が、
巧みに破格の感じを出していて、
多くの写真ではモノクロームな感じなのですが、
実際には護摩で燻された黒い姿の中に、
赤などの色彩が豊富に残っていて、
泥絵の曼荼羅のような、
不思議な魅力があります。
この像と白不動と称される不動明王の立像の二驅については、
間違いなく実物を拝むと印象が大きく変わると断言出来ます。
この仏像は京都国立博物館に出品されたことがあるのですが、
その時はライティングが悪く、
後背も欠損していて、
おまけにガラスケース越しの鑑賞でしたから、
とても今回のような感想を持つことは出来ませんでした。
あの博物館のライティングは、
本当に駄目だと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
若狭小浜妙楽寺「木造千手観音立像」 [仏像]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
昨日から1泊で福井に行きました。
福井在住の友達と会い、
小浜に仏像を拝観に行って、
それから越前海岸の民宿で蟹を食べました。
ほぼ数年前からいつものコースです。
昨年拝観出来なかった妙楽寺で、
ご本尊の千手観音を拝することが出来ました。
そのお姿がこちら。
二十四面千手観音と言って、
形相の違う3面のお顔があって、
その上に小さなお顔が21面乗っています。
腕も小さなものを含めると、
きちんと千本揃っています。
奈良時代に完成された千手観音の造形は、
唐招提寺の仏様など、
十一面千手観音が通常で、
このように二十四面千手というのは極めて珍しい作例です。
インドの神様に近い雰囲気ですね。
桧の一木造りで、
このような複雑な造形を、
破綻なく端正にまとめた技巧が素晴らしく、
また正面のお顔の優しい美しさにも魅了されます。
平安時代の中期、
藤原初期くらいの造仏だと想定されています。
お寺の雰囲気はなかなか素晴らしく、
田園地帯の中にあり、
参道をゆるやかに山の方に上って行くと、
鎌倉時代の藁葺きの本堂が、
静かに参拝客を迎えてくれます。
紅葉も少しずつ始まっていました。
静かで邪魔されるものもなく、
お堂のライティングもきっちりされていますし、
間近でしっかりと拝観することが出来ます。
仏像好きにはほぼ理想的な環境で、
なかなかこうしたお寺は、
奈良・京都にも数少ないと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
昨日から1泊で福井に行きました。
福井在住の友達と会い、
小浜に仏像を拝観に行って、
それから越前海岸の民宿で蟹を食べました。
ほぼ数年前からいつものコースです。
昨年拝観出来なかった妙楽寺で、
ご本尊の千手観音を拝することが出来ました。
そのお姿がこちら。
二十四面千手観音と言って、
形相の違う3面のお顔があって、
その上に小さなお顔が21面乗っています。
腕も小さなものを含めると、
きちんと千本揃っています。
奈良時代に完成された千手観音の造形は、
唐招提寺の仏様など、
十一面千手観音が通常で、
このように二十四面千手というのは極めて珍しい作例です。
インドの神様に近い雰囲気ですね。
桧の一木造りで、
このような複雑な造形を、
破綻なく端正にまとめた技巧が素晴らしく、
また正面のお顔の優しい美しさにも魅了されます。
平安時代の中期、
藤原初期くらいの造仏だと想定されています。
お寺の雰囲気はなかなか素晴らしく、
田園地帯の中にあり、
参道をゆるやかに山の方に上って行くと、
鎌倉時代の藁葺きの本堂が、
静かに参拝客を迎えてくれます。
紅葉も少しずつ始まっていました。
静かで邪魔されるものもなく、
お堂のライティングもきっちりされていますし、
間近でしっかりと拝観することが出来ます。
仏像好きにはほぼ理想的な環境で、
なかなかこうしたお寺は、
奈良・京都にも数少ないと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
戒光寺「釈迦如来立像」 [仏像]
こんにちは。
石原藤樹です。
10月1日の北品川藤クリニック開院に向け、
バタバタとした日々が続いていますが、
今日は家で終日過ごす予定です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
京都は泉涌寺の塔頭の1つである、
戒光寺のご本尊、
本丈六の釈迦如来立像のお姿です。
この仏様は本丈六の大きさです。
つまり、仏様の原寸大で、
背丈は5メートルを超えます。
制作は鎌倉時代で、
鎌倉まで遡る本丈六の釈迦如来立像というのは、
他にあまり類例がないと思います。
大仏という名称が不自然でない、
迫力と大きさです。
この仏様は大仏師運慶とその実子による作品と、
お寺では伝えられていますが、
それはにわかに信じ難い感じです。
運慶は日本の風土に根ざした、
写実的な造形を得意としたのですが、
この仏様は当時の中国であった宋風の様式で、
全体のフォルムは良く言えばおおらか、
率直に言えばかなり荒い感じの作品です。
ただ、これだけの大作ですから、
当時の一流の工房が、
全力を傾注しての仕事であったことは間違いがないと思います。
金箔などの彩色は当初からのものとは考えられませんが、
全体に違和感はなく、
金色に輝く神秘的な感じは、
当時の参拝者の気持ちを感じさせてくれます。
お顔の下、首の辺りに茶色い染みがあります。
寺伝によればこれは血の跡で、
これは後水尾天皇が暗殺者に狙われた時に、
この仏様が身代わりに立たれたのだとされています。
仏像として単独で観ると、
それほど優れたものとは言えないのですが、
お寺の雰囲気と合わせて考えると、
非常に忘れ難い印象が残ります。
お寺は大仏様のいらっしゃる本堂のみと言って良い、
小さなお寺ですが、
非常に気さくな雰囲気で、
特に拝観料などはなく、
フリーアクセスでお堂に入り、
ご本尊を拝観することが可能です。
一部の時期に、
特別拝観として有料でより仏様に近付ける機会があるようですが、
そこまでの必要は通常はないように思います。
それほど凝った照明をしている、
ということはないのですが、
それでもお堂の奥に、
神秘的に輝くように見えるのが不思議です。
この雰囲気だけでも得難い財産なのです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
石原藤樹です。
10月1日の北品川藤クリニック開院に向け、
バタバタとした日々が続いていますが、
今日は家で終日過ごす予定です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
京都は泉涌寺の塔頭の1つである、
戒光寺のご本尊、
本丈六の釈迦如来立像のお姿です。
この仏様は本丈六の大きさです。
つまり、仏様の原寸大で、
背丈は5メートルを超えます。
制作は鎌倉時代で、
鎌倉まで遡る本丈六の釈迦如来立像というのは、
他にあまり類例がないと思います。
大仏という名称が不自然でない、
迫力と大きさです。
この仏様は大仏師運慶とその実子による作品と、
お寺では伝えられていますが、
それはにわかに信じ難い感じです。
運慶は日本の風土に根ざした、
写実的な造形を得意としたのですが、
この仏様は当時の中国であった宋風の様式で、
全体のフォルムは良く言えばおおらか、
率直に言えばかなり荒い感じの作品です。
ただ、これだけの大作ですから、
当時の一流の工房が、
全力を傾注しての仕事であったことは間違いがないと思います。
金箔などの彩色は当初からのものとは考えられませんが、
全体に違和感はなく、
金色に輝く神秘的な感じは、
当時の参拝者の気持ちを感じさせてくれます。
お顔の下、首の辺りに茶色い染みがあります。
寺伝によればこれは血の跡で、
これは後水尾天皇が暗殺者に狙われた時に、
この仏様が身代わりに立たれたのだとされています。
仏像として単独で観ると、
それほど優れたものとは言えないのですが、
お寺の雰囲気と合わせて考えると、
非常に忘れ難い印象が残ります。
お寺は大仏様のいらっしゃる本堂のみと言って良い、
小さなお寺ですが、
非常に気さくな雰囲気で、
特に拝観料などはなく、
フリーアクセスでお堂に入り、
ご本尊を拝観することが可能です。
一部の時期に、
特別拝観として有料でより仏様に近付ける機会があるようですが、
そこまでの必要は通常はないように思います。
それほど凝った照明をしている、
ということはないのですが、
それでもお堂の奥に、
神秘的に輝くように見えるのが不思議です。
この雰囲気だけでも得難い財産なのです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
吉田寺「丈六阿弥陀如来坐像」 [仏像]
こんにちは。
石原藤樹です。
六号通り診療所での診察も、
残すところ2日となりました。
まだやらないといけないことは多く、
プレッシャーもきつく、
やり切れるかどうか分かりません。
今は全身を神経のようにして、
やれることをやれるスピードでやるだけです。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
奈良の斑鳩町、
法隆寺にほど近い場所にある吉田寺(きちでんじ)の本尊、
丈六阿弥陀如来坐像のお姿です。
ちょっと知名度的には地味な存在なのですが、
ご覧のように、
極めて完成度の高いフォルムをしています。
平安時代の後期に造られたものだとされていますが、
本丈六と言って、
このままお立ちになると5メートルを超える、
座像でもお身体だけで2メートルを超える、
非常に大きな仏様ですが、
それでいて、
工芸品のような完成度を示しています。
特徴的な光背は江戸時代のもので、
そう思って見ると、
ちょっと詰めの甘い感じがあるのですが、
お身体とのマッチングはしっかりと出来ていて、
お身体の金箔が、
状態良く残っているのが良いのです。
当初からのものではないと思いますが、
江戸時代に塗り直したような金箔は、
もっと大雑把で下品な感じのものになるので、
そうではないと思います。
お顔にちょっと神秘的な感じがあります。
これも平安時代の末頃の所謂定朝様の規格品の仏様には、
ない特徴であるように思います。
この仏様は、
本堂に続く収蔵庫に安置されていて、
薄暗い中、
お堂の奥に仄かに金色に輝いているように見えます。
この神秘的な感じが非常に良くて、
金箔を貼られた仏像本来の姿を、
昔の人になったような気分で、
そのまま感じることが出来ます。
まさに陰翳礼讃の世界です。
大谷﨑が言われるように、
暗闇の中で仄かに光る金色ほど、
美しくも幽玄なものはなく、
確かに浄土というのは、
そうしたものではないかというようにも思えます。
今はほぼ失われたその感触が、
斑鳩の古寺にひっそりと残っていることが、
一段と味わい深く思われるのです。
拝観環境はまずまずなのですが、
僕が行った時には、
ご住職はいらっしゃらずに、
遠目に仏様を拝むことしか出来ませんでした。
ネットの情報などを見ると、
お近くで拝観させて頂くことも可能であったようなので、
その辺りは不公平に少し感じました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
何とか今日一日僕も走り続けることが出来ますように。
石原がお送りしました。
石原藤樹です。
六号通り診療所での診察も、
残すところ2日となりました。
まだやらないといけないことは多く、
プレッシャーもきつく、
やり切れるかどうか分かりません。
今は全身を神経のようにして、
やれることをやれるスピードでやるだけです。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
奈良の斑鳩町、
法隆寺にほど近い場所にある吉田寺(きちでんじ)の本尊、
丈六阿弥陀如来坐像のお姿です。
ちょっと知名度的には地味な存在なのですが、
ご覧のように、
極めて完成度の高いフォルムをしています。
平安時代の後期に造られたものだとされていますが、
本丈六と言って、
このままお立ちになると5メートルを超える、
座像でもお身体だけで2メートルを超える、
非常に大きな仏様ですが、
それでいて、
工芸品のような完成度を示しています。
特徴的な光背は江戸時代のもので、
そう思って見ると、
ちょっと詰めの甘い感じがあるのですが、
お身体とのマッチングはしっかりと出来ていて、
お身体の金箔が、
状態良く残っているのが良いのです。
当初からのものではないと思いますが、
江戸時代に塗り直したような金箔は、
もっと大雑把で下品な感じのものになるので、
そうではないと思います。
お顔にちょっと神秘的な感じがあります。
これも平安時代の末頃の所謂定朝様の規格品の仏様には、
ない特徴であるように思います。
この仏様は、
本堂に続く収蔵庫に安置されていて、
薄暗い中、
お堂の奥に仄かに金色に輝いているように見えます。
この神秘的な感じが非常に良くて、
金箔を貼られた仏像本来の姿を、
昔の人になったような気分で、
そのまま感じることが出来ます。
まさに陰翳礼讃の世界です。
大谷﨑が言われるように、
暗闇の中で仄かに光る金色ほど、
美しくも幽玄なものはなく、
確かに浄土というのは、
そうしたものではないかというようにも思えます。
今はほぼ失われたその感触が、
斑鳩の古寺にひっそりと残っていることが、
一段と味わい深く思われるのです。
拝観環境はまずまずなのですが、
僕が行った時には、
ご住職はいらっしゃらずに、
遠目に仏様を拝むことしか出来ませんでした。
ネットの情報などを見ると、
お近くで拝観させて頂くことも可能であったようなので、
その辺りは不公平に少し感じました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
何とか今日一日僕も走り続けることが出来ますように。
石原がお送りしました。
東大寺四月堂 [仏像]
こんにちは。
石原藤樹です。
今日は日曜日で診療所は休診です。でも、色々とやることは山積みで、
更新は夕方になってしまいました。
休みの日は趣味の話題です。
今日は比較的マイナーな仏像とお堂の話です。
それがこちら。
東大寺の四月堂に安置されている、
普賢菩薩像です。
普賢菩薩は文殊菩薩と対のような存在で、
お釈迦様の両脇侍となっていることが多いのですが、
普賢菩薩が独立して祀られることもあり、
その場合はこのように、
象の上に乗った姿で造形されます。
対になる文殊菩薩は獅子に乗った姿で造形され、
こちらは作例が多く残っているのですが、
象に乗った普賢菩薩の仏像は、
それほど古仏としては見ることが出来ません。
その中では岩船寺の普賢菩薩像が有名で、
次に語られることの多いのが、
この東大寺四月堂の仏様です。
ただ、時代は室町と少し下るので、
重要文化財などの指定は受けていません。
四月堂は三月堂のすぐそばにある小さなお堂です。
現在のお堂は江戸時代の再建になるもので、
当初は普賢菩薩が本尊であったという記録があるようです。
ただ、お堂のご本尊としては、
現在安置されているお像は小さいので、
別個の仏像であった可能性の方が高いと考えられています。
このお堂には明治の頃から、
長く平安時代の千手観音像が本尊として安置されていました。
特異なフォルムを持つ魅力的な仏様で、
僕は小学生の時に、
一度そのお姿をこのお堂で拝観しています。
それが諸般の事情があり、
東大寺ミュージアムという博物館に、
その千手観音が移動したために、
平成25年から平安時代の十一面観音像が、
代わりにご本尊としてお出ましになっています。
それほどの特徴はない、
水準作という感じの仏像ですが、
このこじんまりとしたお堂には、
非常にマッチしているように思います。
その隣には鎌倉時代の阿弥陀如来坐像がおられて、
この2つの仏様が重要文化財の指定を受けています。
そして、お堂の右奥に、
ひっそりとした感じで、
普賢菩薩を安置した厨子の戸が開いています。
岩船寺の普賢菩薩像は、
最近LEDライトが入ったので、
細部をそのまま見て取ることが可能ですが、
この四月堂ではそうしたものはないので、
目の前で拝んでも、
仏様は殆どシルエットのようにしか見えません。
それが、
お昼間の時間帯にゆっくりと目を凝らしていると、
少しずつ闇の中から仏様の美しいお顔が、
静かに浮かび上がって来るのです。
要するに陰翳礼讃の世界です。
こうしたところに、
些細な感動が潜んでいるのです。
四月堂は最近とても気に入っているお堂です。
重要文化財の仏像を2躯蔵しながら、
控え目で静かな感じでそこにあって、
補修を終えてそれほど経たないので、
極めて清潔で埃も殆ど積もっていません。
拝観料を取るようなこともなく、
いつも静かで、
それでいて係の方は常駐しているので、
御朱印をもらうことも出来ます。
仏像を拝観する環境としては、
結構理想的なのではないかしら、
といつも思うのです。
最後に御朱印をお見せします。
それでは今日はこれだけです。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
石原藤樹です。
今日は日曜日で診療所は休診です。でも、色々とやることは山積みで、
更新は夕方になってしまいました。
休みの日は趣味の話題です。
今日は比較的マイナーな仏像とお堂の話です。
それがこちら。
東大寺の四月堂に安置されている、
普賢菩薩像です。
普賢菩薩は文殊菩薩と対のような存在で、
お釈迦様の両脇侍となっていることが多いのですが、
普賢菩薩が独立して祀られることもあり、
その場合はこのように、
象の上に乗った姿で造形されます。
対になる文殊菩薩は獅子に乗った姿で造形され、
こちらは作例が多く残っているのですが、
象に乗った普賢菩薩の仏像は、
それほど古仏としては見ることが出来ません。
その中では岩船寺の普賢菩薩像が有名で、
次に語られることの多いのが、
この東大寺四月堂の仏様です。
ただ、時代は室町と少し下るので、
重要文化財などの指定は受けていません。
四月堂は三月堂のすぐそばにある小さなお堂です。
現在のお堂は江戸時代の再建になるもので、
当初は普賢菩薩が本尊であったという記録があるようです。
ただ、お堂のご本尊としては、
現在安置されているお像は小さいので、
別個の仏像であった可能性の方が高いと考えられています。
このお堂には明治の頃から、
長く平安時代の千手観音像が本尊として安置されていました。
特異なフォルムを持つ魅力的な仏様で、
僕は小学生の時に、
一度そのお姿をこのお堂で拝観しています。
それが諸般の事情があり、
東大寺ミュージアムという博物館に、
その千手観音が移動したために、
平成25年から平安時代の十一面観音像が、
代わりにご本尊としてお出ましになっています。
それほどの特徴はない、
水準作という感じの仏像ですが、
このこじんまりとしたお堂には、
非常にマッチしているように思います。
その隣には鎌倉時代の阿弥陀如来坐像がおられて、
この2つの仏様が重要文化財の指定を受けています。
そして、お堂の右奥に、
ひっそりとした感じで、
普賢菩薩を安置した厨子の戸が開いています。
岩船寺の普賢菩薩像は、
最近LEDライトが入ったので、
細部をそのまま見て取ることが可能ですが、
この四月堂ではそうしたものはないので、
目の前で拝んでも、
仏様は殆どシルエットのようにしか見えません。
それが、
お昼間の時間帯にゆっくりと目を凝らしていると、
少しずつ闇の中から仏様の美しいお顔が、
静かに浮かび上がって来るのです。
要するに陰翳礼讃の世界です。
こうしたところに、
些細な感動が潜んでいるのです。
四月堂は最近とても気に入っているお堂です。
重要文化財の仏像を2躯蔵しながら、
控え目で静かな感じでそこにあって、
補修を終えてそれほど経たないので、
極めて清潔で埃も殆ど積もっていません。
拝観料を取るようなこともなく、
いつも静かで、
それでいて係の方は常駐しているので、
御朱印をもらうことも出来ます。
仏像を拝観する環境としては、
結構理想的なのではないかしら、
といつも思うのです。
最後に御朱印をお見せします。
それでは今日はこれだけです。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
寳菩提院願德寺「如意輪観世音菩薩半跏像」 [仏像]
こんにちは。
石原藤樹です。
今日まで診療所は夏季の休診です。
やらなければいけないことは山積みですが、
なかなか捗りません。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
京都の市内からは少し離れた山里に、
寳菩提院願德寺という小さな寺院があり、
その収蔵庫に平安初期の、
この見事な仏様が伝わっています。
昔から拝観したかったのですが、
不便な場所でもあり、
なかなかその機会がなかったのですが、
今回初めて拝観が叶いました。
ここはまず門前でインターホンで許可を得ないと、
中に入れてくれませんし、
案内の方の対応も、
かなり怖いのです。
収蔵庫で説明などはしてくれないのですが、
監視カメラでは監視されています。
あまり良い気分ではありませんが、
こんな世の中なので、
仕方のないことなのかも知れません。
拝観環境は非常に良いのです。
中央の厨子の中に仏様はいらっしゃり、
三種類の明かりが用意されていて、
手元の操作で1つずつ点けることが出来ます。
正面のみですが、
かなり間近に拝むことが出来ます。
木の木目をそのまま活かした仏像で、
自然とこの青い色に変化しているのです。
非常に美しいフォルムを持ち、
完成度は高いのですが、
お顔は菩薩にしてはかなり厳しく、
冷厳なものを強く感じさせます。
その辺りが貞観彫刻という感じで、
神護寺のご本尊にも似た風格を有しているのです。
迫力と優美さと凄みを兼ね備えた名仏です。
傑作の多い貞観彫刻の中でも、
他に類のない造形で、
欠かせない名品だと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
石原藤樹です。
今日まで診療所は夏季の休診です。
やらなければいけないことは山積みですが、
なかなか捗りません。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
京都の市内からは少し離れた山里に、
寳菩提院願德寺という小さな寺院があり、
その収蔵庫に平安初期の、
この見事な仏様が伝わっています。
昔から拝観したかったのですが、
不便な場所でもあり、
なかなかその機会がなかったのですが、
今回初めて拝観が叶いました。
ここはまず門前でインターホンで許可を得ないと、
中に入れてくれませんし、
案内の方の対応も、
かなり怖いのです。
収蔵庫で説明などはしてくれないのですが、
監視カメラでは監視されています。
あまり良い気分ではありませんが、
こんな世の中なので、
仕方のないことなのかも知れません。
拝観環境は非常に良いのです。
中央の厨子の中に仏様はいらっしゃり、
三種類の明かりが用意されていて、
手元の操作で1つずつ点けることが出来ます。
正面のみですが、
かなり間近に拝むことが出来ます。
木の木目をそのまま活かした仏像で、
自然とこの青い色に変化しているのです。
非常に美しいフォルムを持ち、
完成度は高いのですが、
お顔は菩薩にしてはかなり厳しく、
冷厳なものを強く感じさせます。
その辺りが貞観彫刻という感じで、
神護寺のご本尊にも似た風格を有しているのです。
迫力と優美さと凄みを兼ね備えた名仏です。
傑作の多い貞観彫刻の中でも、
他に類のない造形で、
欠かせない名品だと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
「白鳳」(奈良国立博物館開館120年記念特別展) [仏像]
こんにちは。
石原藤樹です。
今奈良から戻って来たところです。
今日はそのお土産的な仏像の話です。
こちらをご覧下さい。
奈良公園の中にある奈良国立博物館で、
今「白鳳」と題する特別展が開かれています。
白鳳時代というのは、
飛鳥時代と天平時代の間を指す言葉で、
聖徳太子の時代の後で、
大化の改新後、奈良に都が移る前までの時期です。
飛鳥時代と一括りに論じられることが多いのですが、
一時的に全国的な仏教ブームが起こり、
今はその多くが遺跡としてしか残っていませんが、
巨大な仏教寺院が、
全国で一斉に建立されたのです。
飛鳥時代の仏像や仏教美術は、
基本的に大陸や半島の輸入品でしたが、
この時代にはそれが日本的に咀嚼され、
新たな文化として進歩を遂げました。
現存する仏像の名作としては、
薬師寺創建時の諸仏があり、
法隆寺の諸仏があり、
そして興福寺に伝わる山田寺仏頭があります。
今回の展覧会では、
その大部分が一同に会するという、
非常に豪華なものです。
中でも凄いのが、
薬師寺のご本尊薬師如来の脇侍である月光菩薩が、
そのまま会期中こちらにお出ましになっていることです。
ここまで大きな仏像を、
長距離移動させることは困難なので、
これは地元奈良でのみ実現可能な贅沢なのです。
そのお姿がこちらです。
高さ3メートルを超える大作で、
薬師寺の金堂で拝観すると、
後背を含めて周辺の飾りが多く、
その彫刻としてのシンプルな見事さが、
却って見えづらいという面があります。
今回はこのように月光菩薩様のみ、
後背もない姿で陳列室の中に据えられ、
360度グルリを見ることが可能となっています。
ギリシャ彫刻やルネサンスの彫刻など、
世界の神像彫刻の名品に、
引けを取らないばかりか、
その上を行くと言って過言ではない、
素晴らしい完成度でありフォルムであることが、
この写真からもお分かりになるかと思います。
目の前で観てもまさに完璧で、
鳥肌が立ちます。
今回初めて、
その後ろ姿も観ることが出来ます。
それがこちらです。
このシンプルな衣紋の感じなどが、
素晴らしく良いのです。
誰にも見られることが想定されていない背面に、
ある種の純粋な処女性のようなもの、
人間が決して触れてはならないような美が、
潜んでいるように思います。
それからもう1つ今回楽しみだったのがこちらです。
法隆寺にほど近い法輪寺に伝わる白鳳仏の珍しい木彫、
虚空菩薩のお姿です。
素朴で味があり、
非常にファンの多い仏様ですが、
法輪寺の収蔵庫で拝観すると、
このような美しい木の素地の色合いを、
観ることは出来ません。
全体が湿気て黒ずんでいて、
そのお顔などは黒い能面のようにしか、
観ることが出来ないのです。
とてもガッカリします。
それが今回、
すす払いをして、
絶妙なライティングにより、
こうした画像で観る美しさが、
そのままに鑑賞することが出来るのです。
必見です。
奈良国立博物館のライティングは素晴らしく、
その仏像を理想的な状態で拝観することを可能にしています。
良い仏像をここで観ると、
印象が大きく変わることが多いのです。
東京国立博物館もまずまずですが、
少し奈良と比べると暗すぎるのです。
京都は更に暗くて、
あそこのライティングはセンスを感じません。
優れた仏像を奈良国立博物館で観ることは、
今の日本では最高の贅沢だと断言出来ます。
他にも多くの素晴らしい展示があり、
お勧めの展覧会です。
ご機会の合う方は是非お出で下さい。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
石原藤樹です。
今奈良から戻って来たところです。
今日はそのお土産的な仏像の話です。
こちらをご覧下さい。
奈良公園の中にある奈良国立博物館で、
今「白鳳」と題する特別展が開かれています。
白鳳時代というのは、
飛鳥時代と天平時代の間を指す言葉で、
聖徳太子の時代の後で、
大化の改新後、奈良に都が移る前までの時期です。
飛鳥時代と一括りに論じられることが多いのですが、
一時的に全国的な仏教ブームが起こり、
今はその多くが遺跡としてしか残っていませんが、
巨大な仏教寺院が、
全国で一斉に建立されたのです。
飛鳥時代の仏像や仏教美術は、
基本的に大陸や半島の輸入品でしたが、
この時代にはそれが日本的に咀嚼され、
新たな文化として進歩を遂げました。
現存する仏像の名作としては、
薬師寺創建時の諸仏があり、
法隆寺の諸仏があり、
そして興福寺に伝わる山田寺仏頭があります。
今回の展覧会では、
その大部分が一同に会するという、
非常に豪華なものです。
中でも凄いのが、
薬師寺のご本尊薬師如来の脇侍である月光菩薩が、
そのまま会期中こちらにお出ましになっていることです。
ここまで大きな仏像を、
長距離移動させることは困難なので、
これは地元奈良でのみ実現可能な贅沢なのです。
そのお姿がこちらです。
高さ3メートルを超える大作で、
薬師寺の金堂で拝観すると、
後背を含めて周辺の飾りが多く、
その彫刻としてのシンプルな見事さが、
却って見えづらいという面があります。
今回はこのように月光菩薩様のみ、
後背もない姿で陳列室の中に据えられ、
360度グルリを見ることが可能となっています。
ギリシャ彫刻やルネサンスの彫刻など、
世界の神像彫刻の名品に、
引けを取らないばかりか、
その上を行くと言って過言ではない、
素晴らしい完成度でありフォルムであることが、
この写真からもお分かりになるかと思います。
目の前で観てもまさに完璧で、
鳥肌が立ちます。
今回初めて、
その後ろ姿も観ることが出来ます。
それがこちらです。
このシンプルな衣紋の感じなどが、
素晴らしく良いのです。
誰にも見られることが想定されていない背面に、
ある種の純粋な処女性のようなもの、
人間が決して触れてはならないような美が、
潜んでいるように思います。
それからもう1つ今回楽しみだったのがこちらです。
法隆寺にほど近い法輪寺に伝わる白鳳仏の珍しい木彫、
虚空菩薩のお姿です。
素朴で味があり、
非常にファンの多い仏様ですが、
法輪寺の収蔵庫で拝観すると、
このような美しい木の素地の色合いを、
観ることは出来ません。
全体が湿気て黒ずんでいて、
そのお顔などは黒い能面のようにしか、
観ることが出来ないのです。
とてもガッカリします。
それが今回、
すす払いをして、
絶妙なライティングにより、
こうした画像で観る美しさが、
そのままに鑑賞することが出来るのです。
必見です。
奈良国立博物館のライティングは素晴らしく、
その仏像を理想的な状態で拝観することを可能にしています。
良い仏像をここで観ると、
印象が大きく変わることが多いのです。
東京国立博物館もまずまずですが、
少し奈良と比べると暗すぎるのです。
京都は更に暗くて、
あそこのライティングはセンスを感じません。
優れた仏像を奈良国立博物館で観ることは、
今の日本では最高の贅沢だと断言出来ます。
他にも多くの素晴らしい展示があり、
お勧めの展覧会です。
ご機会の合う方は是非お出で下さい。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
羽賀寺「十一面観音菩薩立像」 [仏像]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日は日曜日で診療所は休診です。
体調が悪いので駒沢公園には行かず、
今PCに向かっています。
休みの日は趣味の話題です。
今日は昨日に引き続いて、
先日拝観した福井県若狭の仏像の話題です。
今日はこちら。
若狭は小浜市の羽賀寺の本尊、
平安時代の十一面観音菩薩様のお姿です。
この仏様は多分、
若狭の古い仏像の中でも、
最も有名なものの1つです。
このお寺は奈良時代の女性天皇であった、
元正天皇の勅願寺として創建され、
この仏様は元正天皇の等身大のお姿を模したものとされています。
この話は奈良の法華寺の十一面観音を思わせますが、
そうした伝説がそれなりの説得力を持っているのは、
この仏様の醸し出す、
非常に艶やかで神秘的な雰囲気があるからです。
この仏像が有名なのは、
この独特の神秘的な雰囲気と共に、
長く秘仏であったために、
平安時代の造仏当時の、
鮮やかな色彩がそのままに残っているからです。
正直実際に拝見すると、
色彩はこの画像よりかなり煤けたような印象があります。
ただ、他の同時期の仏像にはあまりない、
独特の艶やかさと、
奈良や京都の仏様にはない、
地方仏としてのフォルムの個性が、
得難い魅力です。
古いお堂の雰囲気も最高でした。
本尊の安置された厨子の向かって左隣には、
客仏のような扱いの千手観音立像が、
こちらは静かに立っていますが、
この像は非常に静謐で端正な美しさを持っていて、
飾り気のないいぶし銀のような魅力を放っています。
こちらも非常にお薦めの見事な仏様です。
昨日も書きましたが、
拝観環境には多くの配慮があり、
本当に間近で堪能することが出来ました。
仏像はこうでなくてはいけません。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
今日は日曜日で診療所は休診です。
体調が悪いので駒沢公園には行かず、
今PCに向かっています。
休みの日は趣味の話題です。
今日は昨日に引き続いて、
先日拝観した福井県若狭の仏像の話題です。
今日はこちら。
若狭は小浜市の羽賀寺の本尊、
平安時代の十一面観音菩薩様のお姿です。
この仏様は多分、
若狭の古い仏像の中でも、
最も有名なものの1つです。
このお寺は奈良時代の女性天皇であった、
元正天皇の勅願寺として創建され、
この仏様は元正天皇の等身大のお姿を模したものとされています。
この話は奈良の法華寺の十一面観音を思わせますが、
そうした伝説がそれなりの説得力を持っているのは、
この仏様の醸し出す、
非常に艶やかで神秘的な雰囲気があるからです。
この仏像が有名なのは、
この独特の神秘的な雰囲気と共に、
長く秘仏であったために、
平安時代の造仏当時の、
鮮やかな色彩がそのままに残っているからです。
正直実際に拝見すると、
色彩はこの画像よりかなり煤けたような印象があります。
ただ、他の同時期の仏像にはあまりない、
独特の艶やかさと、
奈良や京都の仏様にはない、
地方仏としてのフォルムの個性が、
得難い魅力です。
古いお堂の雰囲気も最高でした。
本尊の安置された厨子の向かって左隣には、
客仏のような扱いの千手観音立像が、
こちらは静かに立っていますが、
この像は非常に静謐で端正な美しさを持っていて、
飾り気のないいぶし銀のような魅力を放っています。
こちらも非常にお薦めの見事な仏様です。
昨日も書きましたが、
拝観環境には多くの配慮があり、
本当に間近で堪能することが出来ました。
仏像はこうでなくてはいけません。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
中山寺「馬頭観音坐像」 [仏像]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
朝から紹介状など書いて、
それから今PCに向かっています。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
先日福井県若狭に仏像に出逢いに出掛けました。
若狭地方は平安時代中期から鎌倉時代に掛けての、
優れた仏像が多く残っていることで知られています。
時間の関係で今回は、
中山寺、羽賀寺、明通寺の3か所のお寺を訪れました。
いずれのお寺も、
拝観環境が非常に整っている点で感心しました。
仏像は古いお堂の厨子の中に大切に安置され、
厨子の中にはLEDのライトが付けられていて、
細部までしっかりと観賞することが可能です。
更には住職さんかそれに準ずるお寺の方が、
団体や個人に関わらず、
気さくに説明してくれるのです。
奈良の観光寺院よりも、
遥かに行き届いた対応と、
何より仏様を大切にしようという姿勢に、
とても感心しました。
意地悪なお寺では、
内陣には入れて頂くことが出来ず、
遠目に拝観するしかないところも多いのですが、
今回拝観した3か所とも、
厨子の目の前で、
拝ませて頂くことが出来ました。
観光行政の対応もきめ細かいのではないかと推察しました。
今日はその中で、
高浜町の中山寺の秘仏の本尊、
馬頭観音坐像のお姿を観て頂きます。
こちらです。
この画像はお寺のパンフレットからお取りしたものです。
鎌倉時代の前期に、
大仏師運慶の系統の仏師により、
造仏された仏像で、
ご覧の通りの極めて見事な迫力のあるフォルムです。
御開帳は33年に一度と定められている秘仏ですが、
実際には今回のように、
特別開扉もちょくちょくあるようです。
馬頭観音は観音様の変身の1つですが、
日本の仏像としてはマイナーな存在で、
それほど明確な姿も決まっていません。
主に平安時代の後半から鎌倉時代に掛けて作例がありますが、
立ち姿が多く坐像はそれほと多くありません。
それがこの若狭の高浜町には、
中山寺と馬居寺という2つのお寺に、
共に重要文化財に指定されている坐像があり、
いずれも本尊として安置されています。
真言宗のお寺で馬頭観音様が本尊というのも、
良く考えるとかなり不思議です。
馬頭観音より愛染明王に似たフォルムですが、
非常に完成度が高く、
しかも長く秘仏として大切にされて来たので、
赤い彩色も含めて、
非常に優れた保存状態です。
実際に本物もこの画像と同じ状態で、
しかも色彩はより鮮やかで繊細です。
久しぶりに仏像を拝観する幸せを感じて、
お寺を後にすることが出来ました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
下記書籍引き続き発売中です。
よろしくお願いします。
六号通り診療所の石原です。
朝から紹介状など書いて、
それから今PCに向かっています。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
先日福井県若狭に仏像に出逢いに出掛けました。
若狭地方は平安時代中期から鎌倉時代に掛けての、
優れた仏像が多く残っていることで知られています。
時間の関係で今回は、
中山寺、羽賀寺、明通寺の3か所のお寺を訪れました。
いずれのお寺も、
拝観環境が非常に整っている点で感心しました。
仏像は古いお堂の厨子の中に大切に安置され、
厨子の中にはLEDのライトが付けられていて、
細部までしっかりと観賞することが可能です。
更には住職さんかそれに準ずるお寺の方が、
団体や個人に関わらず、
気さくに説明してくれるのです。
奈良の観光寺院よりも、
遥かに行き届いた対応と、
何より仏様を大切にしようという姿勢に、
とても感心しました。
意地悪なお寺では、
内陣には入れて頂くことが出来ず、
遠目に拝観するしかないところも多いのですが、
今回拝観した3か所とも、
厨子の目の前で、
拝ませて頂くことが出来ました。
観光行政の対応もきめ細かいのではないかと推察しました。
今日はその中で、
高浜町の中山寺の秘仏の本尊、
馬頭観音坐像のお姿を観て頂きます。
こちらです。
この画像はお寺のパンフレットからお取りしたものです。
鎌倉時代の前期に、
大仏師運慶の系統の仏師により、
造仏された仏像で、
ご覧の通りの極めて見事な迫力のあるフォルムです。
御開帳は33年に一度と定められている秘仏ですが、
実際には今回のように、
特別開扉もちょくちょくあるようです。
馬頭観音は観音様の変身の1つですが、
日本の仏像としてはマイナーな存在で、
それほど明確な姿も決まっていません。
主に平安時代の後半から鎌倉時代に掛けて作例がありますが、
立ち姿が多く坐像はそれほと多くありません。
それがこの若狭の高浜町には、
中山寺と馬居寺という2つのお寺に、
共に重要文化財に指定されている坐像があり、
いずれも本尊として安置されています。
真言宗のお寺で馬頭観音様が本尊というのも、
良く考えるとかなり不思議です。
馬頭観音より愛染明王に似たフォルムですが、
非常に完成度が高く、
しかも長く秘仏として大切にされて来たので、
赤い彩色も含めて、
非常に優れた保存状態です。
実際に本物もこの画像と同じ状態で、
しかも色彩はより鮮やかで繊細です。
久しぶりに仏像を拝観する幸せを感じて、
お寺を後にすることが出来ました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
下記書籍引き続き発売中です。
よろしくお願いします。
健康で100歳を迎えるには医療常識を信じるな! ここ10年で変わった長生きの秘訣
- 作者: 石原藤樹
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2014/05/14
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