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神童寺「愛染明王坐像」 [仏像]

こんにちは。

北品川藤クリニックの石原です。

今日までクリニックは連休です。
明日は外来は金曜日で休診なので、
連休後の外来は土曜日から、
ということになります。

今日は奈良、京都の仏像の話題です。。

今日はこちら。
神童寺.jpg
京都の南で奈良の北方の南山城にある、
神童寺(しんどうじ)に伝わる愛染明王の坐像のお姿です。
これはお寺で売られている絵葉書の画像です。
特に許可は取っていないので、
問題があるようでしたらご指摘下さい。

南山城には、
蟹満寺や観音寺など、
平安時代以前の古仏を伝えるお寺が多いのですが、
その中でこの神童寺は、
これまで訪問する機会がありませんでした。

古仏の多くを収蔵する収蔵庫が、
改修工事をしていて、
その間に拝観が出来なかったのが、
その主な理由でした。

今回初めて拝観の機会を得て、
非常に感銘を受けました。

神童寺は非常に愛すべき小さな古寺で、
南山城ののどかな田園風景の中、
幾多の風雪を経て現在に至る古寺の魅力を湛えています。

このお寺は室町時代に造られた重要文化財の本堂があり、
そこには室町時代の蔵王権現立像が本尊として安置されています。
更に本堂から石段を登った背後の小山の上に、
鐘楼と共に収蔵庫があり、
その中には主に永安時代の古仏が、
十驅以上もズラリと安置されています。
全ての仏像がガラスケースやガラス越しではなく、
そのまま間近に拝観することが出来、
住職が丁寧に説明をして頂けます。
本堂もライティングがされていて、
拝観環境は申し分がありません。

仏像自体は写真では見ていて、
全体に造作が甘い感じがあり、
正直それほどの期待はしていませんでした。

しかし、実際に観るとその印象は大きく違いました。

平安時代の密教美術のプリミティブな魅力に満ち、
凄みのある迫力があるのです。

中でもこの愛染明王像は、
上方に弓を番う、
「天弓愛染」と呼ばれる他にあまり例のない構図が、
巧みに破格の感じを出していて、
多くの写真ではモノクロームな感じなのですが、
実際には護摩で燻された黒い姿の中に、
赤などの色彩が豊富に残っていて、
泥絵の曼荼羅のような、
不思議な魅力があります。

この像と白不動と称される不動明王の立像の二驅については、
間違いなく実物を拝むと印象が大きく変わると断言出来ます。

この仏像は京都国立博物館に出品されたことがあるのですが、
その時はライティングが悪く、
後背も欠損していて、
おまけにガラスケース越しの鑑賞でしたから、
とても今回のような感想を持つことは出来ませんでした。
あの博物館のライティングは、
本当に駄目だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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