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ワインの心血管疾患予防効果(2023年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ワインの健康効果メタ解析.jpg
Nutrients誌に2023年6月17付で掲載された、
ワインの心血管疾患予防効果についての論文です。

健康のために適切な飲酒量はどのくらいか、
というのは未だ解決はされていない問題です。

大量のお酒を飲んでいれば、
肝臓も悪くなりますし、
心臓病や脳卒中、高血圧などにも、
悪影響を及ぼすことは間違いがありません。

ただ、アルコールを少量飲む習慣のある人の方が、
全く飲まない人よりも、
一部の病気のリスクは低くなり、
寿命にも良い影響がある、
というような知見も複数存在しています。

日本では厚労省のe-ヘルスケアネットに、
日本のデータを元にして、
がんと心血管疾患、総死亡において、
純アルコールで平均23グラム未満(日本酒1合未満)の飲酒習慣のある方が、
全く飲まない人よりリスクが低い、
という結果を紹介しています。

その一方で、
2016年のメタ解析の論文によると、
確かに飲酒量が1日アルコール23グラム未満であれば、
機会飲酒の人とその死亡リスクには左程の差はないのですが、
1日1.3グラムを超えるアルコールでは、
矢張り死亡リスクは増加する傾向を示していた、
というようなデータが紹介されています。

2017年に発表されたイギリスの大規模疫学データでは、
概ね多くの病気において、
全くお酒を飲まない人より、
1日20グラム程度のアルコールを摂取している人の方が、
その発症リスクは低く、
それが適正量を超えるとリスクの増加に繋がる、
というものになっていました。

ただ、喉頭癌、食道癌、乳癌など、
一部の癌はより少ないアルコール量でも、
そのリスクが増加した、
というデータもあります。

2023年のJAMA誌に報告されたメタ解析でも、
少量の飲酒では生命予後には明確な悪影響はなく、
1日23から24グラムを超えるような飲酒量において、
初めて総死亡の増加傾向は見られていました。

このように、
1日23グラム未満のアルコール量の健康影響は、
データによっても異なる点があり、
まだ結論が出ていません。

ただ、少量の飲酒にリスクがないとは言えませんが、
現状のデータの範囲においては、
生命予後への悪影響は概ね1日1合を超える飲酒により生じると、
そう考えて大きな間違いはないようです。

もう1つ飲酒に関して問題となるのは、
アルコールの種類によって、
その健康影響に差があるのではないか、という点です。

ワインには抗酸化作用のあるポリフェノールが多く、
そのためワインはそれ以外のアルコール飲料と比較して、
より心血管疾患予防効果が高いことを示唆する報告があります。

それは事実なのでしょうか?

今回の検証は、
ワインの摂取と心血管疾患についての、
これまでの主だった臨床データをまとめて解析する、
システマティックレビューとメタ解析の手法で、
この問題の検証を行っています。

これまでに発表された22の臨床データをまとめて解析したところ、
ワインを飲む人は飲まない人と比較して、
冠動脈疾患の発症リスクが24%(95%CI:0.69から0.84)、
心血管疾患の発症リスクが17%(95%CI:0.70から0.98)、
心血血管疾患による死亡のリスクは27%(95%CI:0.59から0.90)、
それぞれ有意に低下していました。

これは摂取量はまちまちであるため、
ワインの摂取量と健康影響との関連を確認出来るデータではなく、
他のアルコール飲料との比較も困難です。
ただ、死亡リスクを明確に抑制している点は興味深く、
今後他のアルコール飲料との比較やワインの種別による違いなど、
より詳細な検証が行われることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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