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ビタミンDの心血管疾患予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ビタミンDの心血管疾患予防効果.jpg
British Medical Journal誌に2023年6月28日付で掲載された、
ビタミンDのサプリメントの、
心血管疾患予防効果についての論文です。

ビタミンDはビタミンという名前は付いていますが、
体内でも合成されるステロイドホルモンの一種で、
骨の健康な成長と維持に必須であると共に、
細胞の成長や分化を調節して、
細胞の健康についても必要な成分であると考えられています。

実際にビタミンD濃度が低値であると、
骨粗鬆症や骨折のリスクが高まると共に、
心血管疾患のリスクや癌のリスク、
総死亡のリスクが増加するとする報告があります。

その一方でビタミンDをサプリメントとして使用したような、
介入試験と呼ばれる臨床試験の多くでは、
ビタミンDによる病気のリスク低下や、
生命予後の改善効果は確認されていません。

今回の研究はオーストラリアにおいて、
60から84歳の21315名の一般住民を、
本人にも試験担当者にも分からないように、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は月に1回60000IUのビタミンDを使用し、
もう一方は偽薬を同じように内服して、
それを5年間継続して心血管疾患予防効果を検証しています。

これまでで最も厳密な方法による、
大規模な臨床研究です。

その結果、
ビタミンD補充群で心血管疾患のリスクが、
9%(95%CI:0.81から1.01)低下する傾向を示しましたが、
有意なものではありませんでした。

これはこれまでの同種のデータとも合致しているもので、
ビタミンDの補充により、
心血管疾患のリスクは低下する傾向は見られるものの、
統計的に明確な低下が認められる、
というほど確実性のあるものではないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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