N95マスクとサージカルマスクの有効性比較 [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
Annals of Internal Medicine誌に、
2022年11月29日付でウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症予防に関して、
N95マスクとサージカルマスクを比較した論文です。
N95マスクは最も高性能の医療マスクですが、
これを正しく装着すると、
正直相当の息苦しさがあります。
それに準じるのがサージカルマスクで、
これは不織布を3枚重ねて作られています。
マスクの性能には色々な指標があります。
最も単純なものは、
マスクの構造がどのくらいの飛沫粒子を、
通過させるのか、
ということです。
医療関係者が通常装着しているサージカルマスクは、
5μm(5000nm)程度の大きさの粒子を、
濾過して捕捉する機能を持っています。
N95マスクと称されるより高性能のマスクは、
0.1から0.3μm(100から300nm)の粒子を、
95%以上濾過して捕捉する性能を持っています。
ただ、こうした違いは敢くまで理論上のもので、
実際に装着した際に、
新型コロナウイルス感染症の予防効果が、
どの程度あるのかを保証するものではありません。
今回の研究は実際の医療現場において、
日常的に使用継続しているマスクの性能が、
感染予防にどの程度の影響を与えるかを検証しているものです。
カナダ、イスラエル、パキスタン、エジプトの複数の医療機関において、
1009名の新型コロナの患者と直接接触している医療従事者を、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は医療用のサージカルマスクを装着し、
もう一方はN95マスクを装着して患者対応に当たり、
10週間の観察期間における新型コロナ感染の予防効果を、
比較検証しています。
その結果、
遺伝子検査で観察期間中に新型コロナの感染したのは、
サージカルマスク群の10.46%に当たる52名と、
N95マスク群の9.27%に当たる47名で、
N95マスクと比較した場合のサージカルマスクの感染リスクは、
1.14倍(95%CI:0.77から069)で、
両者に明確な差は認められませんでした。
ただ、国別の比較では、
カナダにおいてはサージカルマスク群の6.11%と、
N95マスク群の2.22%が感染していて、
N95マスクと比較した場合のサージカルマスクの感染リスクは、
2.83倍(95%CI:0.75から10.72)と、
有意ではないものの高い傾向は示していて、
国別にかなりの差があることが分かりました。
このように、
トータルで見ると適切に使用したサージカルマスクの感染予防効果は、
N95マスクと比較しても大きな遜色のないものと考えられますが、
その使用環境によって、
かなり大きな地域差が存在している性質のものであるゆです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
Annals of Internal Medicine誌に、
2022年11月29日付でウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症予防に関して、
N95マスクとサージカルマスクを比較した論文です。
N95マスクは最も高性能の医療マスクですが、
これを正しく装着すると、
正直相当の息苦しさがあります。
それに準じるのがサージカルマスクで、
これは不織布を3枚重ねて作られています。
マスクの性能には色々な指標があります。
最も単純なものは、
マスクの構造がどのくらいの飛沫粒子を、
通過させるのか、
ということです。
医療関係者が通常装着しているサージカルマスクは、
5μm(5000nm)程度の大きさの粒子を、
濾過して捕捉する機能を持っています。
N95マスクと称されるより高性能のマスクは、
0.1から0.3μm(100から300nm)の粒子を、
95%以上濾過して捕捉する性能を持っています。
ただ、こうした違いは敢くまで理論上のもので、
実際に装着した際に、
新型コロナウイルス感染症の予防効果が、
どの程度あるのかを保証するものではありません。
今回の研究は実際の医療現場において、
日常的に使用継続しているマスクの性能が、
感染予防にどの程度の影響を与えるかを検証しているものです。
カナダ、イスラエル、パキスタン、エジプトの複数の医療機関において、
1009名の新型コロナの患者と直接接触している医療従事者を、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は医療用のサージカルマスクを装着し、
もう一方はN95マスクを装着して患者対応に当たり、
10週間の観察期間における新型コロナ感染の予防効果を、
比較検証しています。
その結果、
遺伝子検査で観察期間中に新型コロナの感染したのは、
サージカルマスク群の10.46%に当たる52名と、
N95マスク群の9.27%に当たる47名で、
N95マスクと比較した場合のサージカルマスクの感染リスクは、
1.14倍(95%CI:0.77から069)で、
両者に明確な差は認められませんでした。
ただ、国別の比較では、
カナダにおいてはサージカルマスク群の6.11%と、
N95マスク群の2.22%が感染していて、
N95マスクと比較した場合のサージカルマスクの感染リスクは、
2.83倍(95%CI:0.75から10.72)と、
有意ではないものの高い傾向は示していて、
国別にかなりの差があることが分かりました。
このように、
トータルで見ると適切に使用したサージカルマスクの感染予防効果は、
N95マスクと比較しても大きな遜色のないものと考えられますが、
その使用環境によって、
かなり大きな地域差が存在している性質のものであるゆです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。