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大豆はコレステロールを下げるのか?(2019年累積メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
大豆の健康効果.jpg
2019年のJournal of the American Heart Association誌に掲載された、
大豆のコレステロール降下作用を検証した、
メタ解析の論文です。

大豆は良質の蛋白源であると共に、
女性ホルモン様作用を持つイソフラボンを含み、
心筋梗塞や脳卒中、骨粗鬆症の予防効果などが報告されています。

アメリカのFDAは1999年に、
その時点での臨床データを検証し、
大豆にコレステロール降下作用があると認め、
「大豆は心臓に良い」という健康表示を許可しました。

ただ、その後発表された臨床データにおいては、
コレステロール低下作用はあまり明確ではなく、
2017年にはFDAは大豆の健康表示の取り消しを検討している、
という発表をしました。

今回の研究はカナダの研究者によるもので、
FDAが今回の取り消し検討の根拠としている、
臨床試験46件のデータを、
累積メタ解析という年代順にデータを1つずつ解析し、
積み上げてゆくという手法で再解析し、
その結果を検討しています。

その結果、
1999年にFDAが根拠としたデータの再解析では、
大豆の摂取によるLDLコレステロールの低下は、
中央値で6.3mg/dLでしたが、
1999年以降のデータを解析しても、
4.2mg/dLから6.7mg/dLの範囲で推移していました。

つまり、累積メタ解析という手法で検証する限り、
1999年時点では明らかであった、
大豆によるコレステロール降下作用が、
それ以降の臨床データにより否定された、
というFDAの言い分は根拠がなく、
大豆によるコレステロール降下作用は認められるものの、
スタチンのような薬の効果と比較すれば、
小さな効果に留まる、
という判断が妥当であるようです。

要するに1999年の時点では大豆の健康効果は、
FDAによりやや過大に評価されていたものの、
今回の決定は今度は過小評価につながっているというのが、
上記論文の言いたいことであるようです。

真相はどうなのでしょうか?

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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