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高トリグリセリド血症に対するEPAの効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
オメガ3系脂肪酸の中性脂肪降下作用..jpg
2019年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
青身魚の脂の成分であるEPA(イコサペント酸エチル)を、
中性脂肪の高い患者さんに使用した、
臨床試験の結果についての論文です。

発表は2019年の1月ですからご紹介が遅れましたが、
EPAの心血管疾患に対する効果が、
久しぶりに明確に確認されたという意味で、
かなり画期的な意義のある論文だと思います。
アメリカの各種ガイドラインにも大きな影響を与えています。

EPAやDHAという、
オメガ3系多価不飽和脂肪酸は、
心血管疾患の予防効果のある成分として有名で、
こうした成分を食事で多く摂った方が、
心血管疾患になりにくい、
という点はほぼ間違いのない事実です。

ただ、このEPAやDHAをサプリメントや薬として服用することで、
明確な健康上の効果を示すのか、
という点については、
まだ明確な結論に至っていません。

日本にはエパデール(及びそのジェネリック)というEPA製剤と、
ロトリガというEPAとDHAの合剤があり、
海外の多くの国とは違って、
処方箋薬として流通しているのが大きな特徴です。
国外ではEPAもDHAもほぼ全てサプリメントの扱いだからです。

エパデールについては、
2007年のLancet誌に掲載されたJELISという臨床試験があり、
コレステロール降下剤のスタチンに上乗せでEPAを使用したところ、
心血管疾患のリスクが低下し、
特にサブ解析では脳卒中のリスクが20%低下した、
というものです。

ただ、その後の多くの同様の臨床試験では、
こうしたEPAの効果は確認されませんでした。

今回の研究では、
心血管疾患を発症しているか、
糖尿病があってそれ以外にも1つ以上の心血管疾患のリスクを持っていて、
血液の中性脂肪が150から499mg/dLと中等度までの高値で、
スタチンを継続使用している、
という条件の脂質異常症の患者さん、
トータル8179名を、
本人にも臨床試験施行者にも分からないように、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は高純度のEPA製剤を1日4グラム使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
中間値で4.9年の経過観察を施行しています。

その結果、EPA製剤使用群は、偽薬と比較して、
心血管疾患による死亡と非致死性心筋梗塞、
非致死性脳卒中、虚血性心疾患の治療や不安定狭心症を併せたリスクを、
25%(95%CI: 0.68から0.83)有意に低下させていました。

一方で心房細動や粗動による入院はやや多く、
出血系の合併症も、
有意差はないもののEPA群でやや多くなっていました。

今回の検証はJELISと同じように、
高純度のEPA製剤を使用している点に特徴があり、
症例を選んで施行すれば、
治療薬としての有用性があることを示したもので、
この論文以降の流れをみても、
EPAは脂質異常症の治療薬として、
明確に復権したと言って良いように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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