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週1回投与インスリン イコデクの有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
インスリンインコデクの有効性.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2023年7月27日付で掲載された、
週1回の注射で治療可能が新規インスリン製剤の、
第3a相臨床試験結果についての論文です。

インスリン イコデクというのは、
ノボノルディスク社が開発した新しいインスリン注射製剤です。

これまでのインスリン製剤は、
持続性と言われるタイプのものでも、
1日1回の皮下注射が必要でした。
しかし、このインスリン イコデクは、
その構造に変化を加えることにより、
週に1回注射をするだけで、
継続的に安定した血糖コントロールを得られる、
というタイプの薬剤です。

たとえば毎日10単位の持続型インスリンを、
皮下注で使用している患者さんでは、
1週間に一度70単位を注射することにより、
ほぼ同等の効果が得られるというのです。

場合により100単位を超えるインスリンを、
一気に注射するというのは、
単純にそれを聞くと、
重症の低血糖を起こさないのだろうかと、
ちょっと怖い感じもします。

実際にはどうなのでしょうか?

今回の第3a相臨床試験においては、
2型糖尿病の患者さんトータル492名を、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は毎日1回の持続型インスリンを継続し、
もう一方はインスリン イコデクを週1回注射継続して、
78週に渡る長期の血糖コントロールを比較しています。
その結果、
安定した血糖コントロールを維持出来た時間は、
従来の持続型インスリンよりイコデクの方が、
より長くなっていました。
重症低血糖などの有害事象のリスクについては、
両者で明確な差は認められませんでした。

このように、
現状の臨床試験結果から判断する限り、
週1回のイコデクには毎日1回の持続型インスリンと、
同等以上の有効性と同等の安全性があり、
今後インスリン治療の基礎分泌の補充に対しては、
週1回の製剤が主流となる時代が、
もうそこまで来ているような気がします。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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