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新型コロナワクチン交互接種の有効性(北欧の疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は在宅診療などの予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナワクチンの交互接種の差.jpg
British Medical Journal誌に2023年7月掲載された、
新型コロナワクチンの追加接種における、
交互接種の有効性についての論文です。

新型コロナワクチンは、
初回の2回の接種においては、
同一のワクチンを使用することが求められていますが、
3回目以降の追加接種(ブースター接種)については、
別の種類のワクチンを接種することも認められています。
これを交互接種と呼んでいます。

交互接種はワクチンの供給不足などのために、
止むを得ず行われた側面がありましたが、
その後のアメリカなどにおける解析により、
交互接種を行った方が同種のワクチンを追加接種した場合より、
抗体価の上昇が大きい、
というようなデータが発表されて注目を集めました。

ただ、実際に交互接種を行った方が、
同種接種より重症化予防効果が高いのか、
というような点については,
まだあまり明確なことが分かっていません。

今回の疫学データは、
北欧のデンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンのもので、
アストラゼネカ社などのウイルスベクターワクチン、
もしくはファイザー・ビオンテック社もしくはモデルナ社のmRNAワクチンを、
初回接種として2回接種し、
追加接種として、様々な組み合わせの接種を行った、
一般住民のデータを解析したものです。

1086418名がアストラゼネカワクチン2回接種後に、
2種類のうちどちらかのmRNAワクチンを追加接種し、
2505093名はどちらかのmRNAワクチンを2回接種後に、
もう一方のmRNAワクチンを交互接種していました。

2回の初回接種のみと比較した時、
アストラゼネカワクチン後のmRNAワクチン交互接種により、
新型コロナによる入院のリスクは82.7%、
死亡リスクは95.9%、
それぞれ有意に低下していました。
またmRNAワクチン同士の交互接種により、
新型コロナによる入院のリスクは81.5%、
死亡リスクは87.5%、
こちらも有意に低下していました。

同種ワクチンによる追加接種は、
2回の初期接種のみと比較して、
新型コロナによる入院のリスクを76.5%以上、
死亡のリスクを84.1%以上、
有意に低下させていました。

そこで同種ワクチンによる3回接種と比較して、
交互接種の予防効果を見てみると、
入院リスクはアストラゼネカワクチン後のmRNAワクチンで27.2%、
mRNAワクチン同士の組み合わせでは23.3%、
それぞれ有意に低下していました。
また死亡リスクについても、
アストラゼネカワクチン後のmRNAワクチンで21.7%、
mRNAワクチン同士の組み合わせでは18.4%、
こちらも有意に低下していました。

このように、
今回の臨床的検証においても、
同種のワクチンによる追加接種よりも、
複数のワクチンを併用する交互接種の方が、
その重症化予防においてより有効であることが示されました。

新型コロナのワクチンの交互接種が有効であることは、
どうやら間違いのない事実であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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