SSブログ

高齢者の新型コロナ入院後の長期予後 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
COVID-19退院後の高齢者の予後.jpg
British Medical Journal誌に2023年8月9日掲載された、
新型コロナ罹患後の長期予後についての論文です。

新型コロナウイルス感染症に罹患し、
特に肺炎などで入院した高齢者については、
退院後の心血管疾患などのリスクが上昇し、
生命予後にも悪影響があることが知られています。

ただ、データは概ね退院後30日程度のものが多く、
それを超える長期のリスクについては、
信頼のおける知見は限られています。

今回の研究では、
アメリカの公的医療保険のデータを活用して、
年齢が65歳以上で2020年から2022年に新型コロナに感染し、
入院治療を受けて無事退院した、
トータル883394名の退院後180日までの長期の生命予後を、
2018年から2019年に季節性インフルエンザに罹患した、
56409名のコントロール群と比較検証しています。

その結果、
退院後30日、90日、180日までの総死亡のリスクは、
いずれもインフルエンザ罹患のコントロール群と比較して、
新型コロナ罹患群で有意に増加していました。
具体的には30日時点での、
インフルエンザ罹患時の死亡率が3.9%に対して、
新型コロナ罹患群の死亡率が10.9%、
90日時点では7.1%に対して15.5%、
180日時点では10.5%に対して19.1%、
となっていました。

このように今回の検証においても、
新型コロナ罹患後には、
退院後180日に至るまで生命予後に低下が認められ、
インフルエンザと比較しても、
その予後には差のあることが確認されました。

新型コロナに罹患後の高齢者については、
長期の慎重な経過観察が必要であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0)