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血圧低下に最も有効なトレーニング法 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
産業医活動などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
高血圧に最も有効なトレーニング法は?.jpg
British Journal of Sports Medicine誌に、
2023年掲載された、
血圧降下に最も有効な運動法を検証したメタ解析のレビューです。

高血圧などの生活習慣病の予防や治療には、
適切な運動が有効であると言われています。

しかし、それではどのような運動をすれば良いのでしょうか?

よく言われているのは、
ジョギングなどの有酸素運動です。

また意識的に運動をしなくても、
1日5000歩以上歩くことで、
心血管疾患リスクの低下など、
生活習慣病の予防効果があるとする報告もあります。

ただ、生活習慣病と言っても様々です。

高血圧に対する運動療法と、
糖尿病に対する運動療法、
高コレステロール血症に対する運動療法は、
果たして同じで良いのでしょうか?

こうした点についての科学的検証というのは、
実はあまり行われていません。

今回の研究は、
これまでの主だった臨床試験結果をまとめて解析したメタ解析ですが、
血圧の降下作用のみに力点を置いて、
個々のトレーニング法の有効性を比較したものです。

これまでの270の介入試験に含まれる、
トータル15827名の臨床データをまとめて解析したところ、
高強度インターバルトレーニングや、有酸素運動などよりも、
アイソメトリックトレーニングが、
最も血圧低下作用が強い、
という結果が得られました。

アイソメトリックトレーニングというのは、
たとえば両手の掌を胸の正面で合わせて、
両側から力を加えて10秒くらい維持する、
というような運動を各筋肉で繰り返すもので、
関節を動かさずに筋肉を収縮させる、
というトレーニングの方法です。

従来は高血圧の運動療法には、
ジョギングのような有酸素運動が良いとされ、
推奨されていましたから、
その常識とは違った結果となっていました。

今回のデータはメタ解析ですから、
また単独の研究結果で別個に確認される必要がありますが、
今後病気の予防や治療のための運動療法については、
再検証され、これまでの常識が覆る、
ということがあるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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