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モデルナ製オミクロン2価ワクチンの有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談や保育園の健診で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
モデルナワクチン、オミクロン対応の有効性.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2022年10月6日掲載された、
モデルナ社製のオミクロン対応2価ワクチンの有効性についての論文です。

日本でも追加接種として、
オミクロン株由来の抗原を含む、
2価の新型コロナウイルスワクチン接種が、
開始されていますが、
今回の研究は日本でも使用されている、
モデルナ社の2価ワクチンの、
アメリカで施行された発売前の臨床試験の結果を解析したものです。

今回の臨床試験では、
モデルナワクチンの3回接種を終えた被験者を、
くじ引きで2つの群に分けると、
そのうちの377名はこれまでと同じ従来型の抗原を50μg含むワクチンを接種し、
もう一方の437名は従来型の抗原25μgと、
オミクロンBA.1株由来の抗原25μgを含む2価ワクチンを接種して、
接種後28日の時点での抗体上昇などを比較しています。
今回の4回目接種は、
3回目から3か月以上の間隔を置いて施行されています。

その結果、
GMT(幾何平均抗体価)という指標で評価した、
オミクロンBA.1株のスパイク蛋白に対する抗体価は、
新型コロナに罹患していない対象のみで比較したところ、
従来型ワクチンでは1473.5(95%CI:1270.8から1708.4)であったのに対して、
オミクロン対応2価ワクチンでは2372.4(95%CI:2070.6から2718.2)で、
オミクロン対応ワクチンで有意な増加を示していました。

オミクロンBA.4とBA.5に対する抗体価で同様の検証を行うと、
従来型ワクチン接種後の抗体価は492.1(95%CI:431.1から561.9)であったのに対して、
オミクロン対応2価ワクチンでは727.4(95%CI:632.8から836.1)となっていて、
BA.1に対する免疫反応と比べると弱いものの、
矢張りオミクロン対応ワクチンで有意な増加が見られていました。
またα、β、γ、δのオミクロン株以前の変異株に対しての免疫反応についても、
従来ワクチンよりオミクロン対応ワクチンで、
より高い抗体上昇が認められました。

このようにオミクロン対応ワクチンは、
オミクロン株を含めたそれ以前の変異株についても、
従来ワクチンに勝る有効性が期待され、
その安全性や実際の感染予防効果については、
今後の検証を待つ必要がありますが、
取り敢えずは従来型ワクチンを、
オミクロン対応ワクチンに置き換えるという方針で、
問題はないように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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