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大腸ファイバーによる大腸癌スクリーニングの有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で診察は午前中で終わり、
午後は介護保険の会議などの予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
大腸ファイバーによる大腸癌スクリーニングの有効性.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2022年10月9日掲載された、
大腸ファイバーによる大腸癌検診の有効性についての論文です。

大腸癌はスクリーニングの有効性が確認されている、
数少ない癌の1つです。
便の潜血反応の検査と、
大腸内視鏡検査(S状結腸までの検査を含む)の、
それぞれを単独で施行するか、
組み合わせて施行することで、
一定の有効性があることが、
これまでの多くの臨床試験において確認されています。

ただ、たとえば単独の大腸内視鏡検査による検診に、
どの程度の有効性があるかについての、
精度の高いデータはあまり存在していません。

今回の検証はポーランド、ノルウェー、スウェーデンにおいて、
55から64歳の一般住民84585名を登録し、
くじ引きで1対2に分けると、
28220名は1回の大腸内視鏡検査施行を推奨し、
56365名はそうした推奨はせず、
その後10年のリスクを比較検証しています。
実際には推奨された対象者のうち、
内視鏡検査は42%に当たる11843名で施行されています。

中央値で10年の観察期間においての大腸癌リスクは、
コントロールと比較して大腸内視鏡検査推奨群では、
18%(95%CI:0.70から0.93)有意に低下していました。
一方で大腸癌による死亡リスクや総死亡のリスクについては、
両群で有意な差は認められませんでした。

このように今回の大規模な検証において、
大腸内視鏡検査を1回のみ推奨するスクリーニングは、
10年の大腸癌リスクを一定レベル低下させる効果が確認されました。

こうしたデータの蓄積により、
今後どのような大腸癌スクリーニングが、
大腸癌のトータルな抑制と予後改善に結び付くのか、
実証的なガイドラインに結び付くことを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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