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イキウメ「天の敵」(2022年再演版) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
天の敵.jpg
イキウメの本公演として「天の敵」が、
下北沢の本多劇場で上演されています。

前川知大さんがもともとは短編集の1つとして描いた戯曲を、
2017年に同題の長編として初演、
今回がイキウメとしての再演となります。

イキウメには結構複雑で抽象的なお芝居も多いのですが、
この作品は120歳を超えて若さを保っている謎の男が、
ジャーナリストに自分の人生を語る、
という物語構造がシンプルで、
特有の哲学的な部分もあるのですが、
比較的観客には優しい作品になっていると思います。

前川さんに幾つか作例のある吸血鬼テーマの1つで、
他には「太陽」などがありますが、
不死と引き換えに何かを犠牲にしている、
という共通点はあっても、
吸血鬼そのものということではなく、
今回の作品では完全食を求めた結果として、
血液だけを飲むという食生活を持続して、
それに身体が適応して不老不死となる、
という趣向になっています。

イキウメの主軸俳優である浜田信也さんが、
主人公の不死の男を演じ、
その無機的な感じが役柄にマッチして、
代表作の1つと言って良い出来栄えです。
周辺のキャストにも手練れが揃っていて、
質の高い舞台となっていました。
僕の大好きな瀧内公美さんの出演も楽しく、
2時間15分を長いと感じることなく、
充実した観劇を楽しむことが出来ました。

全編に不思議な哀感のようなものが漂っていて、
全てのキャラが哀しい影を背負っているのが切なく、
人間の生まれながらに背負う業のようなものを、
シンプルに感じさせる作品に仕上がっていたのが印象的でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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