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「沈黙のパレード」(2022年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
沈黙のパレード.jpg
東野圭吾さんのガリレオシリーズの長編「沈黙のパレード」が、
福山雅治さん主演のテレビドラマの映画版として、
今ロードショー公開されています。

これはまずまずだったと思います。

テレビドラマの映画化は、
他の局よりフジテレビのものが、
頭一つ抜けてクオリティが高いんですよね。
特にミステリーに関しては、
抜群という印象があります。

今回の作品も女刑事などの設定を除けば、
ほぼほぼ忠実に原作を映像化しているのですが、
よくもまああの複雑な原作を、
綺麗に2時間強にまとめたな、と感心しました。
唯一何だこりゃと思ったのは、
タイトルバックの変な踊りですが、
それを除けば文句のつけようがありません。

伏線も忠実に再現していて、
解決編で説明に元に戻るとことがあるのですが、
ちゃんと同じカットを使っているんですよね。
ちょっとした表情にも意味合いを残していて、
しかもとても分かり易く映像化しています。

ここまで本格ミステリーを忠実に映像化して、
しかも破綻なく分かり易く観客に伝えられるというのは、
かなり奇跡的と言って良いレベルの偉業で、
それだけで個人的にはこの作品は、
元は取ったという気分になりました。

ただ…
映画として抜群かと言うとそれはまた別の話です。

今回は原作がちょっと地味だったんですよね。
刊行当時非常に評価は高かったのですが、
僕の読後感としては今一つかな、
という印象を持ちました。
このシリーズは犯人のキャラの強烈さが、
1つの特徴であるのですが、
今回はキャラがかなり分散されている印象で、
そこまでの強烈さや凄味を感じない、
というところがあるんですね。
内容的にも「真夏の方程式」にかなり似通った部分があって、
映像化した場合に新味を感じにくい、
というきらいがあります。
主人公の湯川教授もキャラがかなり変わってきていて、
もう「新参者」とほぼ見分けがつかない感じでしょ。
その辺りにもシリーズの限界を感じました。

それからラストにお話しが2回ひっくり返るでしょ。
2回目のひねりがちょっと弱くて、
かなり無理矢理感があるんですね。
これは原作自体がそうなのですが、
その弱さが映像化されると、
余計目立ってしまった、という感がありました。

ですから今回は、
映画としては120%頑張った感じで、
忠実な映像化を実現したので、
却って原作のアラが目立ってしまった、
という感じの作品になっていたと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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