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「プロミシング・ヤング・ウーマン」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。
これから8月13日までクリニックは夏季の休診となります。
受診予定の方はご注意下さい。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
プロミシングヤングウーマン.jpg
2020年製作のアメリカ映画で、
今年の米国アカデミー賞では脚本賞を受賞しています。

これは結構複雑な趣向の作品で、
雰囲気はポップでアメコミヒーロー映画のようなスタイルなのですが、
中身はかなりドロドロしています。

女主人公の復讐ものですが、
敵は特定の男というよりも、
自分達の社会的優位を保ち、
互いにかばい合う、男達の社会と、
それに迎合する女性を含めた、
トータルな男性優位社会のシステムそのもの、
というところが特徴です。

特異なのが前半の主人公の描き方で、
将来有望な医学生であったのに退学し、
コーヒーショップでアルバイトをしながら、
恋人はおろか交友関係自体を全く持つことなく、
高齢の両親に寄生するように生活。
夜になると女目当てのどうしようもない男が集まる、
バーやクラブなどに出没して、
泥酔した風を装って、わざわざ男の家に連れ込まれ、
そこでしらふであることをカミングアウトして、
男を狼狽させるのを日課としている、
という塩梅です。

その生活を主人公は少しも後悔したり、
恥じたりする様子がなく、
むしろ真面目に仕事をしたり、勉強したり、
友達を作ったり、
恋をしたり、家庭を作ったりすることを、
何か恥ずべきことのように考えている風があるのです。

要するに主人公は、
男優位社会を憎んでいて、
そこに迎合するような行為全てを拒否しているのですね。
そうすると結果的に、
社会集団に所属することは困難なので、
こうして一匹狼のような生活を送っているのです。

ただ、その後主人公の前に、
かつての医学生時代の同級生の男性が出現すると、
その意志は存外簡単に揺らいでしまいます。
主人公はその男性を愛するようになる一方で、
彼から聞いたかつての「敵」の動静から、
復讐への強い意志が生まれ、
その実行に向けて動き出すのです。

その後物語は二転三転しますが、
何となく読めてしまう展開ではあるので、
それほど盛り上がりは感じませんでした。
ラストも何となく消化不良の感じです。
ただ、この映画は観る立場によっても、
かなり興味のあり方が違う作品だと思うので、
何処を面白いと感じ何処を詰まらないと感じるかは、
かなり千差万別ではないかと思いました。

個人的には前半の主人公の生き方自体が、
とても面白く感じたので、
それが簡単に揺らいでしまうような後半は、
あまり面白いとは感じませんでした。

ただ、繰り返しになりますが、
観る立場によって感想は大きく変わる作品ではあると思います。

そんな訳でそれほど乗らなかったのですが、
僕が絶賛したら、それこそおかしなことだと思いますし、
今のアメリカ映画の1つの流れを代表する作品として、
観て損はない1本だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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