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「オールド」(M・ナイト・シャマラン監督新作) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
オールド.jpg
20年前に意外性のあるスリラーで一世を風靡した、
M・ナイト・シャマラン監督の脚本・監督による新作が、
今ロードショー公開されています。

シャマラン監督は、
「シックス・センス」から「アンブレイカブル」、
「サイン」までは結構気合いを入れて観ていて、
個人的には「アンブレイカブル」を最も評価しています。
「サイン」は思わせぶり自体はピークの感じがありましたが、
期待とは真逆のラストには相当ガッカリしました。
次の「ヴィレッジ」は典型的な1アイデアのネタ物でしたが、
かなり月並みなネタで演出も安っぽく、
その後は何を目指したのか分からないような、
レベルの低い作品が続きました。

そんな訳で、今回も、
あまり期待はしていませんでした。
ただ、予告編は、
1日で50年年を取る脱出不能のビーチ、
といういつもながら魅力的なもので、
どうせ大したことはないのだろうな、
と思いながらも、
騙されてつい観てしまいました。

その結果は…

今回はそう悪くなかったですよ。

今のシャマラン監督の技量としては、
上から目線で失礼ですが、
相当頑張った感じじゃないかしら。

ただ、初期の絶好調の頃と比較すると、
演出は明らかにB級なんですよね。
もう露骨にB級スリラーという感じ。
それから、急に年を取ってしまった夫婦の会話などに、
ちょっとメッセージを入れたり、
人間ドラマにしようとしたりしているんですね。
言いたいことは分かるのですが、
この映画でそんなことをすると、
却って間抜けになるだけなのに、
という感じを強く持ちました。

これね、1アイデアなんですが、
「アンブレイカブル」に近い感じなんですね。
超常現象が起こるビーチがあるのですが、
その謎自体は結局は解明はされないのです。
仕掛けはそれとは別のところにあるんですね。
こういうセンスは、
イギリスのブラックバーンという作家が得意にしていたもので、
1980年代くらいのホラースリラーには、
結構こうした趣向のものがありましたね。
一歩間違うとだだの「ガッカリ」になってしまうので、
その処理は難しいのですが、
今回はまあまあではないかと感じました。
ただ、超常現象の謎に一定の理屈を付けていて、
それがあまり辻褄が合っていない感じなのが、
少し残念には感じました。

そんな訳でシャマラン監督としては頑張った1本で、
こうしたSFスリラーのようなジャンルのお好きな方なら、
観て損はないと思います。

ただ、今こうしたジャンルは、
ジョーダン・ピールとアリ・アスターという天才がいるでしょ。
今回のテーマでも、その2人が監督したら、
数段レベルの上の作品になったことは容易に想像が出来ます。
シャマラン監督にはない、
確固たる作家性とビジュアルイメージの独創性があるからですね。
そうした意味では、
残念ですがシャマラン監督の時代は去ったな、
ということはつくづく感じる作品ではありました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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