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妊娠中の新型コロナウイルス感染症のリスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
妊娠中の新型コロナウイルス感染症のリスク.jpg
JAMA Pediatrics誌に、
2021年4月22日ウェブ掲載された、
妊娠中の新型コロナウイルス感染症のリスクを、
比較検証した論文です。

妊娠中の新型コロナウイルス感染症が、
母体にも胎児にも悪影響を与え、
大きなリスクになるという推測は、
その流行の当初から指摘はされていました。

しかし、実際には少数の感染事例のみで、
そうした推測がされていただけで、
信頼のおける多数例の実証的な検証は、
殆どされてはいませんでした。

今回の疫学データは、世界18カ国の43の研究機関が協力したもので、
トータル705名の妊娠中新型コロナウイルス感染事例を、
1424名の感染していない妊娠女性と比較して、
そのリスクを検証しているものです。
その結果、妊娠中に感染した女性は感染していない女性と比較して、
重症感染のリスクが3.38倍(95%CI:1.63から7.01)、
集中治療室に入室するリスクが5.04倍(95%CI:3.13から8.10)、
母体の死亡リスクは22.3倍(95%CI:2.88から172)、
胎児についても重症の合併症や死亡のリスクを、
2.14倍(95%CI:1.66から2.75)有意に増加させていました。

つまり、妊娠中の女性への新型コロナウイルス感染は、
特に母体に大きな悪影響を及ぼします。
最も深刻な重症化要因である、
という言い方をしてもそう間違いではないと思います。

今のデルタ株主体の新型コロナウイルス急拡大を見る限り、
このリスクの高い妊娠された女性を感染から守ることは、
最重要のポイントの1つであることは間違いなく、
多くの人が感染拡大のリスクに無責任かつ無防備になっている現状では、
守るべき対象をクローズアップすることも、
重要な視点の1つではないかと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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