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新型コロナワクチン1回目アレルギー発症事例の対応について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は終日レセプト作業の予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ワクチン接種後アレルギーの対応.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2021年7月26日ウェブ掲載されたレターですが、
新型コロナウイルスmRNAワクチン1回目接種後に、
アレルギー反応が発症した事例の対応についての内容です。

ファイザー・ビオンテック社とモデルナ社のmRNAワクチンの接種後には、
2%程度で蕁麻疹などのアレルギー反応が認められ、
1万人に2.5人を越えない程度の頻度で、
全身性のアレルギー反応である、
アナフィラキシーが起こると報告されています。

アナフィラキシー以外の蕁麻疹などのアレルギー反応については、
特に2回目の接種を中止したり延期する必要はないと考えられていますが、
発熱などの副反応については、
1回目より2回目の接種後の方が、
強くなることが指摘されていて、
アレルギー反応の増強についても、
危惧する意見があって不思議はありません。

今回の検証はアメリカの複数施設において、
ファイザー・ビオンテック社もしくはモデルナ社のワクチン初回接種後に、
4時間以内にアナフィラキシーを含む急性のアレルギー反応を来した、
189名のその後の経過を調査したものです。

アレルギー反応を来した189名中、
実に86%に当たる163名が女性で、
平均年齢は43歳(SD14)でした。
ワクチンの種別はモデルナ社が69%に当たる130名で、
ファイザー・ビオンテック社が31%に当たる59名でした。

アレルギー反応の内訳は、
発赤や湿疹が28%、ふらつきや眩暈が26%、
かゆみが24%、咽頭違和感が22%、蕁麻疹が21%、
喘鳴や呼吸困難が21%、17%に当たる32名がアナフィラキシーでした。

このうち84%に当たる159名は、
通常通り2回目の接種も施行されました。
接種前の抗ヒスタミン剤の使用は、
30%に当たる47名で施行されました。
19名のアナフィラキシー発症者を含む159名の2回目接種後、
アレルギー反応が同様に認められたのは、
20%に当たる32名のみで、
いずれも軽症もしくは中等症で、
全ての事例で問題なく接種が行われました。

このように、
1回目の急性アレルギー反応は、
必ずしもワクチン含有成分に対する、
即時型アレルギー反応ではない場合も多く、
アレルギー反応であっても、
非特異的なもので、
抗ヒスタミン剤などの事前使用で、
予防可能な場合も多いと考えられます。

アメリカのCDCは、
ファイザー・ビオンテック社もしくはモデルナ社ワクチンの初回接種で、
アレルギー反応が認められた事例において、
2回目にジョンソンアンドジョンソンのワクチンを、
使用可能という判断をしていますが、
それは必ずしも適切な判断ではないのではないかと、
上記レターの著者は記載しています。

そうは言っても、
全ての副反応やアレルギーのメカニズムが、
明かになってはいない現状で、
初回での強いアレルギー症状があった事例でも、
同じワクチンを2回目に使用するという判断は、
臨床的にはなかなか難しいところですが、
新型コロナワクチンによるアナフィラキシーが、
全て2回目の刺激でより増強する、
という性質のものではないことは確かで、
今後より詳細な検証が必要な事項ではないかと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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