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新型コロナウイルス感染症軽症例に対するアジスロマイシンの有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療の予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アジスロマイシンの新型コロナに対する効果.jpg
JAMA誌に2021年7月16日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症に対する、
抗菌剤のアジスロマイシンの有効性を検証した論文です。

新型コロナウイルス感染症の、
デルタ株主体の感染が日本で猛威を振るっています。

この感染症についてはその流行当初から、
多くの薬剤がその治療薬や予防薬の候補として、
臨床試験が行われたり、適応外治療が試みられたりしましたが、
今のところ重症の事例における、
ステロイド剤と抗ウイルス剤のレムデシビルのみが、
治療薬として世界的に認められていて、
抗体カクテル療法は微妙なところで、
一定の有効性は確認されているものの、
どのような対象に使用するべきか、
まだ明確ではないのが現状かと思います。

マクロライド系抗菌剤であるアジスロマイシン(商品名ジスロマックなど)は、
抗菌作用以外に免疫調整作用があると報告されていて、
それが新型コロナウイルス感染症に、
一定の有効性があるのではと指摘されている薬です。

これまでに幾つかの臨床試験が行われていますが、
その結果はあまり明確なものではなく、
特にヒドロキシクロロキンと併用されることが多かったので、
単剤での有効性はまだ明確にはなっていない、
という部分がありました。

そこで今回の研究ではアメリカにおいて、
遺伝子検査もしくは抗原検査で新型コロナウイルス感染症と診断され、
登録の時点では入院はしていない、
診断から1週間以内で18歳以上の263名を対象とし、
くじ引きで2つの群に2対1で分けると、
171名はアジスロマイシン1.2グラムを1回投与し、
92名は偽薬を同じように投与して、
その後の経過を比較検証しています。

その結果、治療開始後14日の時点での治癒率は、
アジスロマイシン群と偽薬群で有意な差はなく、
21日の時点でも入院率についても有意な差はありませんでした。

このように、
新型コロナウイルス感染症の初期に、
アジスロマイシンを使用しても、
その予後には今回の臨床試験においても、
明確な違いは認められませんでした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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