三谷幸喜「日本の歴史」(2021年再演版) [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
2018年に初演された三谷幸喜さん作・演出のミュージカルが、
今新国立劇場中劇場で再演されています。
これは初演は観ていないので今回が初めてです。
これは一種の変化球なのですが、
幾つかの時代が歌でシンクロして行く辺りなどは、
さすが三谷幸喜さんという感じはします。
3時間弱の上演時間(休憩含む)を、
少しの緩みや眠気を感じさせることなく、
疾走するのは凄いですし、
7人のみの登場人物でこの壮大な絵巻物的世界を、
過不足なく成立させてしまう技巧も天才的です。
ただ、ベタな繰り返しや扮装で笑いを取るようなところは、
それが三谷さんの娯楽性なのだとは思いますが、
正直あまり好みではありませんし、
大の大人の役者の悪ふざけや悪のり的な部分も、
僕にはあまり楽しめませんでした。
ただ、その辺はまあ好みの問題だと思います。
三谷さんの作品の中では、
アイデアで強引に乗り切ったという感じのもので、
ラスト2つの世界の接点が、
兵士2人が出逢うだけ、というのも、
ちょっと弱いように感じました。
以下ネタばれを含む感想です。
鑑賞予定の方はご注意下さい。
これね、「日本の歴史」という題名なのに、
いきなり西部開拓時代のお話で始まるのですね。
それから歴史の先生が出て来て、
日本の歴史を解説するパートになり、
それが交互に展開されてラストは1つに結び付く、
という構成になっています。
アメリカの年代記的部分は、
昔のハリウッド映画の、
「わが谷は緑なりき」や「ジャイアンツ」、
「大いなる西部」みたいな世界なんですね。
農場経営にショービジネス、油田を掘り当てて一攫千金、
みたいなあれですね。
三谷さん、こういうのが1回やりたかったんでしょうね。
大真面目にやっている、という感じです。
「日本の歴史」の部分は細切れに人物を紹介して、
それがミュージカルの歌になっている、というような趣向なんですね。
赤報隊の話とか、秩父事件とか、信長に仕えた「弥助」とか、
歴史好きには今更感はありますが、
埋もれた人物も取り上げて居るのが特徴で、
さながら、三谷さんの没ネタ展示会、
みたいな感じもあります。
かなり、エピソードには出来不出来はあって、
面白いものもあるのですが、
有名人物についてはゲンナリするような、
ただの人物紹介という感じのものもありました。
ミュージカルとしては相当頑張っている感じはあって、
特にショービジネスの核になる一曲は、
バーンスタインばりの複雑な構成になっていました。
キャストもなかなか頑張っていたと思います。
この作品の一番の問題は、
日本とアメリカの2つの年代記が、
必ずしも上手くシンクロしない、
というところにあると思います。
多分最初は「日本の歴史」だけでやるつもりが、
かなり平板な感じになってしまったので、
それでもう1つの世界と同時進行しつつ、
互いに影響し合うような、
そうした趣向に変えたのかな、
というようにも思うのですが、
ラストがアメリカの登場人物が、
戦争で日本兵に殺されて終わり、
というのはちょっと後味も悪いですし、
2つの世界がもっと高いレベルでシンクロし共鳴するような、
そうした作品になって欲しかった、
というようには思いました。
そんな訳で大満足というようには思わなかったのですが、
さすが三谷さんの天才を感じさせる部分は随所にあり、
キャストの豪華さも含めて、
三谷さんをもってしかなし得ない、
斬新なミュージカルにはなっていたと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
2018年に初演された三谷幸喜さん作・演出のミュージカルが、
今新国立劇場中劇場で再演されています。
これは初演は観ていないので今回が初めてです。
これは一種の変化球なのですが、
幾つかの時代が歌でシンクロして行く辺りなどは、
さすが三谷幸喜さんという感じはします。
3時間弱の上演時間(休憩含む)を、
少しの緩みや眠気を感じさせることなく、
疾走するのは凄いですし、
7人のみの登場人物でこの壮大な絵巻物的世界を、
過不足なく成立させてしまう技巧も天才的です。
ただ、ベタな繰り返しや扮装で笑いを取るようなところは、
それが三谷さんの娯楽性なのだとは思いますが、
正直あまり好みではありませんし、
大の大人の役者の悪ふざけや悪のり的な部分も、
僕にはあまり楽しめませんでした。
ただ、その辺はまあ好みの問題だと思います。
三谷さんの作品の中では、
アイデアで強引に乗り切ったという感じのもので、
ラスト2つの世界の接点が、
兵士2人が出逢うだけ、というのも、
ちょっと弱いように感じました。
以下ネタばれを含む感想です。
鑑賞予定の方はご注意下さい。
これね、「日本の歴史」という題名なのに、
いきなり西部開拓時代のお話で始まるのですね。
それから歴史の先生が出て来て、
日本の歴史を解説するパートになり、
それが交互に展開されてラストは1つに結び付く、
という構成になっています。
アメリカの年代記的部分は、
昔のハリウッド映画の、
「わが谷は緑なりき」や「ジャイアンツ」、
「大いなる西部」みたいな世界なんですね。
農場経営にショービジネス、油田を掘り当てて一攫千金、
みたいなあれですね。
三谷さん、こういうのが1回やりたかったんでしょうね。
大真面目にやっている、という感じです。
「日本の歴史」の部分は細切れに人物を紹介して、
それがミュージカルの歌になっている、というような趣向なんですね。
赤報隊の話とか、秩父事件とか、信長に仕えた「弥助」とか、
歴史好きには今更感はありますが、
埋もれた人物も取り上げて居るのが特徴で、
さながら、三谷さんの没ネタ展示会、
みたいな感じもあります。
かなり、エピソードには出来不出来はあって、
面白いものもあるのですが、
有名人物についてはゲンナリするような、
ただの人物紹介という感じのものもありました。
ミュージカルとしては相当頑張っている感じはあって、
特にショービジネスの核になる一曲は、
バーンスタインばりの複雑な構成になっていました。
キャストもなかなか頑張っていたと思います。
この作品の一番の問題は、
日本とアメリカの2つの年代記が、
必ずしも上手くシンクロしない、
というところにあると思います。
多分最初は「日本の歴史」だけでやるつもりが、
かなり平板な感じになってしまったので、
それでもう1つの世界と同時進行しつつ、
互いに影響し合うような、
そうした趣向に変えたのかな、
というようにも思うのですが、
ラストがアメリカの登場人物が、
戦争で日本兵に殺されて終わり、
というのはちょっと後味も悪いですし、
2つの世界がもっと高いレベルでシンクロし共鳴するような、
そうした作品になって欲しかった、
というようには思いました。
そんな訳で大満足というようには思わなかったのですが、
さすが三谷さんの天才を感じさせる部分は随所にあり、
キャストの豪華さも含めて、
三谷さんをもってしかなし得ない、
斬新なミュージカルにはなっていたと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。