デルタ株に対する新型コロナワクチンの効果(スコットランドの住民データ) [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
Lancet誌に2021年6月26日掲載された、
デルタ株に対する新型コロナワクチンの有効性についての解説記事です。
新型コロナワクチンの接種は世界的に進行していますが、
最近危惧されているのは、
複数の遺伝子が従来型から変異していて、
その性質自体が変化したウイルスが、
従来型に置き換わって感染を拡大する、
所謂変異株の問題です。
特にインドで最初に感染拡大が報告された、
B1.617.2変異は、
WHOの呼称ではデルタ株と呼ばれていますが、
若年者に対する感染力と重症化率が高いとされ、
世界中で深刻な問題となりつつあります。
日本においても、
正確な疫学データはないので不明な点が多いのですが、
東京においてはB.1.1.7変異(アルファ株、以前の英国型)から、
デルタ株へ主体の流行に、
切り替わりつつあると想定されています。
デルタ株について問題となるのは、
現状使用されているワクチン、
特に有効性が高いファイザー社やモデルナ社のmRNAワクチンが、
どの程度の有効性を示すのか、
と言う点です。
アルファ株については、
従来型よりは劣るものの、
それほどは遜色のない有効性が、
イギリスの疫学データからは確認されています。
ただ、デルタ株に対する有効性については、
データが乏しいのが実際なのです。
今回紹介されているのは、
スコットランドにおける疫学データで、
スコットランドにおいては、
アルファ株主体の流行から、
現在はデルタ株主体の流行に置き換わっているようです。
これは全て遺伝子解析をして確認したデータではなく、
RT-PCR検査における、
その反応のパターンの違いからの推測で同定しているものですが、
全例に近い検証が行われている点がポイントです。
そこからの検証では、
デルタ株の感染により入院するリスクは、
アルファ株と比較して1.85倍(95%CI:1.39から2.47)有意に増加していました。
つまり、アルファ株と比較して、
デルタ株による感染は重症化のリスクが高いことを、
示唆するデータです。
ワクチンの有効率について現時点の情報で解析すると、
2回目接種から14日以上経過した時点で、
ファイザー・ビオンテック社ワクチンの、
遺伝子検査で診断された新型コロナ感染予防効果は、
アルファ株に対しては92%(95%CI:90から93)、
デルタ株に対しては79%(95%CI:75から82)と算出されました。
これは主に有症状感染の予防効果と同義と思われます。
一方でアストラゼネカ社ワクチンの同様の予防効果は、
アルファ株に対して73%(95%CI:66から78)、
デルタ株に対しては60%(95%CI:53から66)と算出されています。
このように、
ファイザー社のワクチンに関しては、
デルタ株に対しても一定の有効性が保たれている一方で、
mRNAワクチンの以外の有効性については、
甚だ心許ないというのが現状ですが、
今後変異株に対するワクチンの製造が急務であるとともに、
多くのワクチンをどのように使い分け、
どのような効果を期待するのかについては、
より詳細かつ実践的な検証が、
これも急務であるように思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
Lancet誌に2021年6月26日掲載された、
デルタ株に対する新型コロナワクチンの有効性についての解説記事です。
新型コロナワクチンの接種は世界的に進行していますが、
最近危惧されているのは、
複数の遺伝子が従来型から変異していて、
その性質自体が変化したウイルスが、
従来型に置き換わって感染を拡大する、
所謂変異株の問題です。
特にインドで最初に感染拡大が報告された、
B1.617.2変異は、
WHOの呼称ではデルタ株と呼ばれていますが、
若年者に対する感染力と重症化率が高いとされ、
世界中で深刻な問題となりつつあります。
日本においても、
正確な疫学データはないので不明な点が多いのですが、
東京においてはB.1.1.7変異(アルファ株、以前の英国型)から、
デルタ株へ主体の流行に、
切り替わりつつあると想定されています。
デルタ株について問題となるのは、
現状使用されているワクチン、
特に有効性が高いファイザー社やモデルナ社のmRNAワクチンが、
どの程度の有効性を示すのか、
と言う点です。
アルファ株については、
従来型よりは劣るものの、
それほどは遜色のない有効性が、
イギリスの疫学データからは確認されています。
ただ、デルタ株に対する有効性については、
データが乏しいのが実際なのです。
今回紹介されているのは、
スコットランドにおける疫学データで、
スコットランドにおいては、
アルファ株主体の流行から、
現在はデルタ株主体の流行に置き換わっているようです。
これは全て遺伝子解析をして確認したデータではなく、
RT-PCR検査における、
その反応のパターンの違いからの推測で同定しているものですが、
全例に近い検証が行われている点がポイントです。
そこからの検証では、
デルタ株の感染により入院するリスクは、
アルファ株と比較して1.85倍(95%CI:1.39から2.47)有意に増加していました。
つまり、アルファ株と比較して、
デルタ株による感染は重症化のリスクが高いことを、
示唆するデータです。
ワクチンの有効率について現時点の情報で解析すると、
2回目接種から14日以上経過した時点で、
ファイザー・ビオンテック社ワクチンの、
遺伝子検査で診断された新型コロナ感染予防効果は、
アルファ株に対しては92%(95%CI:90から93)、
デルタ株に対しては79%(95%CI:75から82)と算出されました。
これは主に有症状感染の予防効果と同義と思われます。
一方でアストラゼネカ社ワクチンの同様の予防効果は、
アルファ株に対して73%(95%CI:66から78)、
デルタ株に対しては60%(95%CI:53から66)と算出されています。
このように、
ファイザー社のワクチンに関しては、
デルタ株に対しても一定の有効性が保たれている一方で、
mRNAワクチンの以外の有効性については、
甚だ心許ないというのが現状ですが、
今後変異株に対するワクチンの製造が急務であるとともに、
多くのワクチンをどのように使い分け、
どのような効果を期待するのかについては、
より詳細かつ実践的な検証が、
これも急務であるように思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。